第7話 「社会」を出汁に、相手の人生を人質にとる
先程から述べている(ターゲットにしている)無能な人物と目した職員氏に限った話でもないが、昭和末期の私の周りの年齢「だけ」は上だった人たちの言葉、特に、学生時代の私に投げてきた言葉で、今もって許せん言葉がある。
そんなことでは、「社会に出て通用しない」。
オドレは、何様のつもりや!?
と言いたくなるところで、今なら、もうそれだけでその人物の話など一切聞く必要はないと判断し切るところだが、当時は、そこまでの力が私にはなかった。
私のことはさておいて、その言葉を分析することとする。
そのほうが、罵倒するよりは建設的な論議にもなろうからね。
まず、「そんなこと」がどんなことかについては、あえて論じない。場合分けをしてみても、個々の事例を述べていても、とうていキリがないからね。
とはいえ、そこを弁えず与太話するのは、無能の無能たるゆえんでもある。
問題は、「社会に出て」の、「社会」。
どこのどのような「社会」なのか?
とりあえず、話者の述べる社会とやらで、言われる側にとって個々の言動か何かはともあれ、通用しない要素が見受けられるということだな。
大体、無能は能力がないから、無能なのね。まあ、なまじ自信を持たれても困るけど、自分自身に実際は自信がないから、こういうことを人に向けてホザくわけや。
では、どんな社会で通用しないのかと言われれば、どうなのかな?
まあせいぜい、テメエの見聞きした範囲の群れ合い社会程度のことであろう。
実態は、その程度のものであることなど、とっくにお見通しだよ。
クズどもと群れて、家庭とやらを築くと言いつつ、傷の舐めあいしかできねえようなら、そんなものは、百害あって一利なしだな。
そんなゴミのような組織、さっさと解体してしまえ。
あるいは、仕事場と称するはいいが、こんなことを述べる人もおいでや。
先輩後輩の公私にわたる付合いと、そこで誰もが成長できる「職場」。
素晴らしく、崇高な理想であることは、認める。
だが、わしに言わせれば、そんなものは「武器のない世界」みたいなものや。
これは、昭和の国鉄の乗客専務車掌を描いた漫画「カレチ(池田邦彦作)」に出てきた、主人公の言葉。
一見尊く素晴らしく聞こえはするが、善意ごかしの押し付け感にあふれていないだろうかという疑問が、わしには、沸いてかなわん。
私のいた養護施設の職員氏も、そのような「生活の場」にしたいという思いがあったのは確かである。だが、彼のその思想というかコンセプトというか、いえいえ、あまりに崇高なその理想像は、その言葉と裏腹に、何ら現実化することもないまま、何度も破綻していたように記憶しておりますけどね。
ではなぜ、こんな言葉がありがたがられるようになったのだろうか?
その答えは、明白である。
閉鎖的な環境で、身内だけで満足・完結しようと思えばできるだけの状況が整った場所だからこそ、そのような言葉が出る羽目になったのである。
この際だから、明言してやるよ。
その「社会」とやら、「職場」とやら、そして「生活の場」とやらは、しょせん、オドレの幻想に過ぎんかったんや!
まあ、シャブだかなんだかの薬も打たずして、大酒も飲まずして、そんな理想像が生物進化史上、全霊長類の希望の星とも申すべき、世にも優秀極めし御頭から繰り出せて、それで相手を指導した気になれて、ついでにご自身のお言葉のあまりの美しく素晴らしい出来具合に酔えた、ってわけや。
なんせ、明治時代の寒漁村民の息子である大正時代の酔っ払いと呼ばれておるわしにおいては、やな、少々のはした酒では、酔いもしねえよ。正直、幼稚園中退・高校中退のなけなしの頭では、理解不能よ(わっはっは)。しまいにはプリキュアの少女らにまで「酔っ払いさん」と呼ばれるわしには、とてもうらやましい才能だわい。
~あ、一部からは「酔っぴー」とも呼ばれていたっけ(わっはっは)!
相手がいわゆる「社会人」に至っていないことを奇貨として、その「社会」とやらを人質よろしく引合いに出してネガキャンの出来損ない事をホザく、そんな大人には、なりたくねえな。そんな不遜千万な態度こそ、わしの周辺の「社会」じゃなくたって、通用しねえどころか、相手にも、されねえよ。
孫(わし)が6歳のときに満年齢で50歳に至らずして亡くなった父方の祖母の年齢を超えた今でも、わし、つくづく、思いだしては、やっぱり、腹立つ。年をとったらそのうち「時が解決」していい思い出になるなんてことは、金輪際、ないな。
残念だったね、無能の諸君。君らの考えたようには、なってないよ。
かくも見通しがおめでたいのも、無能の無能たるゆえんってことね。
だけど、警告しておくよ。
自分がそれなりの年に至って早々と社会人になって「荒波にもまれている」感にこれまた酔い食らっておるのか知らんが、まだ学生の若い者に、その「社会」とやらを出汁にして、相手の人生を人質にとるような真似は、するなって。
そんなものは、鬼軍曹でも何でも、ねえ。
単なる、盆暗の盆暗たることを立証しただけの寝言戯言に、過ぎねえよ。
私は阿呆でございます、とわめいとるだけにしか見えんぞ、わしには。
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