第4話  めんどくせえ後輩だな…

カタカタッ カタカタカタカタッ カチッ

なんか今日、調子いいかも…!


「ふぅ~一段落だ~」

いつもの何倍も速くできてる気がする…

朝ごはんの力、恐るべし!これからも柚葉にお願いしないとな。

「あ。もう12時か、昼休みだな。」

少し休憩するか。と思った時に同室にいた部長に呼ばれた。


「木島君、ちょっといいかな。」

「はい。何でしょうか?」

緊張しながら、部長の席に近づいていく。

あれ?俺なんかしたかー。どうしよう…!


「今日なんか、いつもよりも調子がいい感じがするんだけど、どうしたんだい?」

ギクッ

まあいいことだけど、急に妹が帰ってきたなんて言っても信じてもらえないだろうし…

「そうですか?いつもどうりだと思いますが。」

「そうかい?いつもより目に生気があるような気がしたんだが…」

「いつもは、目が死んでるってことですか~?」

「はっはっは。そういうわけではないんだがな。」

と部長は、豪快に笑う。


そして、急に真剣な顔になった。

ごくりと俺は、息を吞む。

「あのね木島君。君に新入社員の教育係をしてほしんいだけど…どうかな?」

「ああ。そのことですか、いいですよ!そろそろ来るって言っていた人でしょうか?」

「ありがとね。うん。そうだよ、いつも頼んじゃってごめんね~」

「いえいえ。失礼します。」

あー死んだかと思ったー。


「はあ…」と、ため息をつきながらいったんオフィスの外に出る。そして、自動販売機の前に立ちコーヒーのボタンを押す。

これは、いつも俺がやっているルーティーンだ。あまりいい効果はないが。


来週からはもっと忙しくなるのかあ。

浩平はふと、柚葉の顔が浮かんだ。

あ。一応、柚葉に言っとくか。メアド交換してないや。一緒に住むんなら…


「せんぱ~い!さっきなんて言われてきたんですか」

「うわっ!ビックリしたー」

振り向くと、凛がふてきな笑みを浮かばせていた。

「そんな驚くことですか~?」

「急に後ろから声をかけられたらびっくりするだろ!」

「まあまあ~そんなに怒らずに~♪」

「誰のせいだと思ってるんだ?」

「誰だろー?」とわざとらしく手を額にあてて、あたりを見渡す凛。


「もうおしえてやりませーん!」

「教えてくださいよ~そこをなんとか~」

「はあ…しょうがねえなぁ。新入社員の教育係に選ばれたんだよ」

「そうだったんですか~あれ?なんか先輩いやな顔してません?」

「そりゃそうだろ。新入社員に教えながらも自分の仕事もしなきゃいけないんだぞ。」

いつもの2倍ってなるときついよな…

教えるのは嫌いじゃないけど、


「も~そんなこと言って~。ホントは…『私とこんな風に喋れないよ~。ぴえ~ん』って思ってますよね~?」

「ぴえんって少し古くないか?」

「あ。それは、そうだけど~でも、私と喋りたいことは否定してないな~あれれ~?」

いつもの敬語はどこにいったんだよ。一応先輩だぞ。


そして、勢いよく俺は立ち上がった。そして、

「俺は、飯食べに行くからな。」

俺は逃げるようにそう言って、会社の中にある食堂に向かった。

「はあ…今日はいつもにましてうるさかったな…」

まったく、めんどくせえ後輩だな…


そんな思いとは裏腹に、いつの間にか浩平の疲れはすっと消えていった。

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