第2話 泥棒ですか…?
「もしかして…泥棒?」
と恐る恐る聞いてみる。今俺はパニック状態だったのだ。変な事を言っているということは理解しているつもりだ。
「あははっ!泥棒ですか。って~」
と彼女は笑った。
年は20歳くらいだろうか。いったい誰なんだ…知ってる顔ではないし。
「すみません。笑ってしまって…」
「私は、あなたの妹です!お久しぶりです!」
「は?」
頭がグルグルする。まるで何かで頭を殴られたようだ。
「あはは、いきなり言われても、びっくりしますよね。」
「え?どういう事…?」
俺は、混乱する。そして、何回も質問をしてしまう。
「だから!あなたの!妹です~!」
「わ、分かったって!」
俺は、大きな声を出している彼女を落ち着かせる。
「近所迷惑になるから、もう少し静かに…!」
「あ…すみません。つい…」
いや、ついじゃねーよ!
「はあ…明日また朝早いから俺は、もう寝る…って、お前は何処に…」
「あ。今日からここに住ませていただけませんかね…」
「まあ、いいけど。それより、何でここに俺がいるってわかったんだ?」
「あの、私お父さんが死ぬ一週間前くらいに言われたんです。『ここの住所にお前の兄がいる』って」
どうやら、父親が死んだことは知っているらしい。
まさか本当なのか…!?
だが、なんか強引なような…気がしないような…
でも俺は、自称妹を1度も見たことがない。だから、完全には信用できないし…
ってか、
「あの、じじい…俺が生活ギリギリだっていうのわかってんのか…?」
「あ!お金なら多少ありますよ!」
と俺に通帳を見せてきた。
「本当に多少だな!」
その額は浩平とあまり変わらない額で、家賃を数ヶ月払える程度だった。
「すみません…」
「まあ、しょうがないか。今日はお前、俺のベットで寝とけ。」
「いいですよ、私は、床で十分です。」
「そうか、ありがとうな。」
「そこは、お前がベットで寝とけっていうところですよ!」
「わりぃな。俺はもう疲れてんだ。もう寝る。」
「おやすみなさい。」
久しぶりに、そういわれた気がした。そして、俺は睡魔に襲われた。
優しい光が差し込んでくる。そして木々の擦れ合う音が聞こえてくる。
ここは森か…?
いや。そんなわけあるかあああ!
「おはようございます!浩平さん!」
とカーテンを開けて、スマホを持っていた彼女がいた。そのスマホからは森の音が流れていた。
なんか、味噌汁のいいにおいがするような…
気のせいか?まあいいや。
「ああ。おはよう」
「今日の目覚めはどうでしたか?こんな感じで自然の光を浴びながら起きるとすっきりと起きられるそうですよ~?」
「本当だ。あんまり眠くないな」
「お前は床で大丈夫だったか?」
「はい!このとうり元気です」
ふんす、と息を鳴らし、どや顔でこっちを見てきた。
ってかこいつ、意外とできるやつだな。朝も早いのに…
「今日の朝ご飯はみそ汁もついてますよ~節約のために今日からは自炊です!」
やっぱり作ってたのか。
「久しぶりだなあ、誰かが作ったご飯なんて…」
ぼそりと呟いた。
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