第5話 やった!タカキビだ!!

 儂は、兄妹の後を着いて行った。


 儂の家は村外れに建ってるようだ。

 歩いて一分足らずの所に、大川から用水として村に取り入れたのか、溝川みぞがわが流れていた。


 村に対し川上になるこの場所は、綺麗に澄んだ水が流れているが。


「これは不便だ!手洗いを習慣化するには···これでは根付かん」



 家に帰り、皆が大喜びで、芋が多く入った大麦粥を、食っておる間に必死に考えた。


『村外れに建つ我が家、なぜここが村外れなのか、それは行く手に山が立ち塞がり、これ以上開墾出来ん場所だからだ。

 裏山、と言うか西は山がそびえておる。

 薪拾いは他の村人より有利な場所、逆に山から降りて来る猪等による、畑の被害は大きい』


 兄妹達が、家の畑の世話より他の家の手伝いで、僅かな手間賃(食べ物を貰う)稼ぎを頑張るのはそのためだ。


 ならば、対策は簡単、猪被害を受けない農作物の栽培に替えれば良い。

 芋累の栽培を止め、雑草扱いのあわひえそれに栗の栽培、お茶タバコの葉も被害に合わんが···お茶の代わりにこれも雑草扱いのハーブを栽培しても良いな。



「わぉ?考え事してたら、知らん間に空っぽ?······母ちゃん?お代わり···無いね」


「ゴメンねマルス、お前食べるのユックリ過ぎる」

「母ちゃん!皆も良く聞いて、シツコク何度も良く噛んで食べるの、大切なんだぞ!!」

「女神様の教えかい?」

「儂が、生まれる前に暮らしていた世界の常識だぞ!」


「マルスが言うと、信じられるな」

「ヒナシ兄ちゃん、ありがとう、良く噛んで食べるとお腹も膨れるよ!」



「マルス!まだ明るいから、村を散策するか?兄ちゃん案内するぞ」

「良いね!連れてって」


 ヒナシ兄ちゃんの誘いだけど、兄妹全員で散歩する事になった。



 我が家の麦畑から、案内が始まった。

「今日抜いた雑草だぞ」

 儂が興味を示した物をみて、マキロ兄ちゃんが説明してくれた。

「マキロ兄ちゃん、この雑草貰って良いの?」

「明日纏めて、雑草燃やす、無くなれば手間が省ける」




「これはタカキビと言って、美味しいし食べごたえがある穀物だぞ」

 儂が集めながら話すと。


「マルス!本当か?俺も村の手伝いで、同じ草を抜いたぞ!!食えるなら集めて来る!!」

 ヒナシ兄ちゃんとジュリ兄ちゃんが走っていった。


「私達も雑草扱いの!これ集めて来るわ!!」

 アズサ姉ちゃんとミズサ姉ちゃん、サダン兄ちゃんも走っていった。


 残った儂とセリねえちゃん、マキロ兄ちゃんの3人は、タカキビの穂を抱え家にかえった。

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