第4話 7人の兄妹

 母ちゃんは、釜戸に土鍋乗せ、かき混ぜて何やら作ってる。

 チョット見土鍋は素焼き「今は縄文時代かよ」

 儂は寝返りして、柵を持って掴まり立ちした。


 立ち上がって、儂の寝床を見て驚いた。

 叩いて柔らかくした、麦ワラを並べただけの寝床「儂は馬かよ」


 周りを見渡す。広く思える部屋だ。壁は藁を混ぜた土壁、それ自体は儂が幼少(日本で)の頃有った百姓の家なら普通の民家だが「ボロい!!」崩れて穴がアチコチ空いて、隙間風がソヨソヨ吹いてる。

 風は爽やかで、寒さは感じん「季節は夏か?それに近い···四季は有るのか?」


 歩けそうな気がして、柵を取り除き外にでた。

「おぅ!歩ける!!」

 母ちゃんは、台所仕事、夕飯を作っておる。

「母ちゃん!晩飯は何?」

「えっ?歩いてる!!マルスは本当無茶苦茶だよ!さっき生まれたばかりの赤ちゃんが、話すし歩く、夕食の催促までしてる」


 表が何やら騒がしい「おぅ儂は8人兄妹の末っ子だった」

 大人に見えるのから、ヨチヨチ歩きの幼女まで、7人の男女が入ってきた。

⦅皆ガリガリに痩せてる⦆

「「「「「母ちゃんただいま」」」」」

「もう起きて大丈夫なの?」

「心配してくれて、ありがとうね、マルスが魔法で元気にしてくれたの」

「「「魔法?」」」


 皆が一斉に不思議そうに儂を見た。


 それからは、騒がしい事!てんでに話すものだから、聞き取れん。


 一人ヨチヨチ幼女が近付いて

「わたちは、チェリ!マルチュのねぇちゃんよ!!」

「セリねえちゃん、マルスです!仲好くして下さい」

 儂が姉ちゃんと言ったので満足したようだ、偉そうな態度が一変、ニチャっと笑顔になった。


 騒いでた皆が、一瞬黙って儂を見た。

「「マルス!!すげぇ!生まれたての赤ちゃんが、セリより確り話してる!!」」

「俺は一番年上の兄貴でマキロ!確りした弟が生まれて嬉しいぞ!!」

「はい、マキロ兄さんマルスです、宜しく!」

「俺は次男ヒナシだ」


 こんな感じで兄妹と順に挨拶した。

 長男マキロ16歳、次男ヒナシ14歳、長女アズサ13歳、三男ジュリ10歳、四男サダン8歳、次女ミズサ6歳、三女セリ3歳

 最後に、儂は五男マルス0歳となる。



「ご飯が出来たよ!今日はマルスの出産祝い!芋の麦粥だよ!!」

「「「「「「「やったぁ!!!」」」」」」」


(芋入り大麦粥······貧しい)


「お、おい!!飯の前は手を洗え!!腹痛や病気を防ぐ!洗ってこい!!」

「マルス?そんな事で病気が防げるのか?」

「あぁ!手には目に見えん病魔が取り付いている、綺麗な水で丁寧に手洗いすれば取り除けれる!」


「皆!!川に行くぞ!!」

(あれ?手洗いするのは、川?)

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る