第3話 お京さん助けて!!

 助産婦は母ちゃんが、出産する助けのためで医者では無い、儂の産湯を済ませ、母ちゃんの処置を済ませ帰っていった。


 助産婦は、普通医者も兼ねていて、危ない状態の産婦を放置しないが、教会に聖人様の誕生を報告するため、旅に出たことを、儂が知りようも無い事だった。



「おい!かあちゃん、初乳は免疫の為にも大切なんだぞ!!何で乳が出ん?」


「ゴメンねマルス、母ちゃん歳でもうダメかも」

「おい!冗談だろ!新生児が乳無しで生きて行けるか!母ちゃん頑張れ!!」


 母ちゃんの声が聞こえん?

「お京さん!!助けてくれぇ!!」


『マルス、落ち着いて!お母さんまだ生きてる!気絶してるだけよ。マルスは完全回復の魔法が使えるの忘れてる!!』

「おぅ!忘れてた······って儂、魔法なんてどうやれば良いのか知らんぞ」


『お母さんが元気になった所を、思い描いて「回復」と唱えなさい』

「分かった!!むぅん~~『回復!!』」



 部屋が輝き、消えた時には母ちゃんは、元気に飛び起きていた。

「あれ?私衰弱して、死にそうだったよね?」

「母ちゃん、良かった!回復魔法間に合った!!」

「マルス?お前が魔法?」


「おぅ!凄いだろ!!儂はお京さんの友人!!お京さんから魔法を授かったんだぞ!」


「うそ?私の赤ちゃんが女神様の友人?」

「それより母ちゃん!こんな大変なのに、親父はどうした!!」


「父ちゃんは、納税出来ず代わりに半年の労役に行ってる」

「半年で帰って来るのか?」

「半年でも、一度奴隷契約すれば、何やかや細工されて、ズルズル期間が延びるのよ、おそらく2年程帰してもらえ無いでしょ」


「ひでぇな!!」

「それよりマルス?何で赤ちゃんのお前が、普通に会話してる?」


「今更かよ!気付くの遅過ぎ!!母ちゃん大丈夫か?儂すげぇ腹ペコなんだが!チョットオッパイ飲ませてくれ」


「マルスと話してたら、調子狂うよ」


 と言いながら、オッパイが口に······「全然乳が出ん!!頭に血管浮く程吸い付いてるのに、ちびっとも出てこんじゃねぇか!!」


「やっぱお京さん、助けて!!」


「マルス!お待たせ」


 オーキョウ神が光と共に現れた。

「め、女神様!!」

 母ちゃんは平伏し、ふるえてる。


「カンナ!恐れる事はない、友達のマルスの危機に降臨しただけ、用が済めば帰る、気にせず見ておれ」


 オーキョウ神は、儂のおでこに手を乗せた。

 儂は優しい光に包まれ、空腹がおさまった。


「神力で少し成長させた、食事は普通に食べられる、マルス!好き嫌いせず健やかに育つよう祈っておる」


「お京さんって、どこかの星のヒーロー?3分で帰っていった」


「本当にオーキョウ神の友達だったのね」

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