第48話 EX:あいつの好きなもの

 俺だ、魔王軍糧食班班長で軍営第二食堂料理長のケイシーだ。今日はサニーのやつが酒のつまみによく注文する……いや、毎回頼む酒の肴の作り方だ。

 材料はこんな感じだな

 ・肉300g

 好きな肉を使え、豚とか鶏とかベーコンなんかでもいいぞ。あいつが一番好きなのは豚こま切れだったな、いい家の出をしてる割に安い肉が好きなんだよな。

 ・卵1ダース

 分量は適当だ、後で説明するが具材が隠れるぐらいの量を使え。メインになる肉と玉葱の量に合わせて調節する感じだな、今回の内容だとだいたいこんぐらい必要だ。

 ・玉ねぎ半玉

 嫌いなやつは入れなくてもいいぞ。どのみち酒の肴だからな、好きなもん食って好きな酒のんで楽しければそれでいいんだ。玉ねぎの代わりに芋なんかを合わせてもいけるぞ。

 ・ポテトチップス一袋

 調理中のつまみ食い用に……違ぇよ、土台とチーズの間に砕いてまぶすんだ。パリパリした食感がクセになるぞ。

 ・溶けるチーズ好きなだけ

 好きなだけ使え。熱々のドロドロに溶けたチーズは旨いよな、そういうことだ。

 ・ステーキスパイス好きなだけ

 塩コショウでもいいぞ、でもあいつはステーキスパイスを使ったときのほうがいい顔をする。

 これでだいたい3人前くらい、鍋のサイズは24~26cmってとこだな。深めの鍋を使えよ?溢れるからな。カロリーは……2500kcalぐらいだな、これをあいつは晩飯の後に一人で食う。その割には細身の体してるんだよなぁ、一体どうなってるんだ?


 さて、材料が準備できたら作っていくぞ。

 まずは具材になる部分に火を通すんだ、肉だな。一口大にカットして焼いていこう、下味をつけておくのを忘れずにな。

 玉ねぎはこの段階ではカットだけでいいぞ、食感を残したいからな。ざく切りくらいでいいぞ。後で卵を入れる直前に入れるんだ。

 芋を使う場合だが、拍子木切りにして肉と一緒に火を通しておけ。面倒なら電子レンジを使ってもいいし、さらに面倒なら冷凍のフライドポテトでもいい。

 火を通していこう、生は怖いからな。焦がさないように気をつけろよ?火から離したオーブンで加熱するのが理想だが、フライパンを使う場合は蓋を外しておけ、水分を飛ばすんだ。水分が多いと後で入れる卵が固まらなくなるからな。


 さて、肉(芋を使う場合には芋も含む)に火が通ったら、玉ねぎと卵を入れていくぞ、玉ねぎが先、卵が後の順番だな。ちゃんと卵の殻を割って入れろよ?目玉焼きを作る要領だ、さしずめでかいサニーサイドアップってところだな、サニーだけにってか。

 卵を割り入れたらここで追加スパイスだ。卵の量が結構あるからな、どうしても味が薄まりがちになる、加減がわからなかったら食べるときに後で追加するようにしてもいいぞ。

 このまま卵にも火を通していくぞ、さっきと同じように火から離したオーブンで加熱するのが理想だが、ない場合はフライパンでも構わない。その場合は蓋を外して弱火でじっくりだな、多少の焦げ付きは許容範囲だ、気にするな。

 卵に火が通ったら……あー、火が通ったらっていうのはアレだ、こいつの場合は黄身がちゃんと固まるまでだな。砕いたポテトチップスをまぶして、さらに上から溶けるチーズを乗せよう。好きなだけ乗せていいぞ、どうせここまで来たら多少のカロリーなど誤差だ、後で動いて消費すればいい。

 あとはチーズが溶けるまで加熱するだけだな、言うまでもないが熱いうちが一番うまいぞ。酒のアテにしてもいいし、未成年のお子様なんかはパンと一緒に食べるのもいいな。好きに食べろ、どうせお上品な料理じゃないしな。




 ケイシー著『美味しい魔物』から抜粋

 ※一部表現を人間界向けに合わせて変更しています

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