第140話・メダルゲームって久しぶりにやると滅茶苦茶に楽しいよね

 しっかし、どうやって合コン行こうか?

 いや、何だ落ち着いて考えれば俺に合コンを行う伝手がないなって。

 うん。だってクラスメートはアレだし中学校の時の友人に頼むってのもなんかアレだし。というかろくな友人がいねえし。かなり仲が良かったけど滅茶苦茶に下ネタの多かった霜谷にマッシュルームカットが特徴的過ぎる松井に中二病拗らせてる八雲に。うん碌なのがいねえな。

 かといって眷属にでも頼んだらイエスマンしか合コンに現れなさそうだし。

 どうしようか?


「取り敢えずスマホで調べてみるか」

 俺はスマホを取り出していくつか調べてみる。

 基本的には怪しい出会い系サイトが出てくるのだが。一つ興味深いのをみつけた。

 それはダンジョン連合主催の合コン。


 ダンジョン連合に所属している25歳未満の男女のみが参加できる合コンで、目的としては若い世代の活発的な交流を深めるとともに、近年多発して問題になっている結婚したがダンジョンに潜る冒険者と潜らない一般時の価値観の違いによる離婚やDVが発生するという問題を未然に防ぐためにダンジョン連合が打ち出した政策の一つ。


 ようは格安でダンジョン連合がセットしてくれた結構いい感じのお店で合コンするってことだ。その上話題等にも困らないようにダンジョン連合の方から多少そういうのを決めてくれたり、イベントも行ってくれる。俺からすれば救いの手のような合コンだ。

 マジでダンジョン連合感謝っす。


 つか、確か冒険者と一般人の価値観の違いによる離婚やDVは問題になってテレビにも取り上げられていたが、いやはや、まさかじゃあ冒険者同士をくっつけようって中々に凄い考え方だな。

 でもまあ、確かにというべきが、意外とダンジョンに潜る冒険者達の男女比率は6対4くらいだしな。まあ多少は男の方が多いが、それでも結構バランスはとれているからな。

 それに若い世代だと意外と女性の方が多い場合あるって聞くしな。

 そういえば、どこかのラノベで男よりも女性の方が恐怖に対する耐性や痛みに対する耐性が高いって書いてあったな。ほんでもって男よりも度胸があるって。案外当たってるかも。


 うん。少し考えが脱線したな。


「さて、サクッとダンジョン連合の合コンに応募しますか、とその前に一応募集要項を見ますか」

 というわけで俺は募集要項を読み。場所を確認して日時を確認し。必要金額も確認する。


 場所はそこそこ遠いが先に死霊虫を向かわせれば転移で一瞬だ。日時は非常に都合の良いことに明日の夜7時からのがある。しかも締め切りは今日までだ。

 そんで必要金額は一回1万円と少しは高めだが、ダンジョンにある程度潜ってる人たちにしてみればそこまで痛い金額ではない、俺にとっても全く痛くはない。

 うん。いいんじゃないか?


「取り敢えず予約するか。えっと、何々必要な項目は名前と年齢と趣味と主な戦い方にダンジョン連合で貰ったダンジョンカードのIDか。まず名前は普通に上野 泰斗っと、年齢は15歳、趣味はラノベと漫画とアニメ鑑賞でいいかな。主な戦い方は闇魔法を使った近接戦闘かな?多分。ダンジョンカードIDは普通にそのまま入力してと。終わり」


 スマホに登録完了の文字が出る。


「これでいいかな。さて、じゃあ明日が楽しみだ。それまで普通にラノベでも読むか。あ、そうだ【名もなき英雄と有名な弟子】でも読み直すか」


 ―――――――――――――――――――――

 2時間後

 ―――――――――――――――――――――


「うん。最高に面白かったわ。さてじゃあ次は何をしようか。適当にアニメでも見返しながらスキルの書でも消費していきますか」


 ―――――――――――――――――――――

 6時間後

 ―――――――――――――――――――――


「うん。飽きた。流石に6時間もスキルの書の消費はキツいって、アニメもなんか飽きて来たし。うん。寝るか。いやまあ、肉体的には寝なくても平気なのだが。精神的に少し疲れを感じたからな。ありがたいことに寝ようと思えば寝れるからな」

 俺はそう独り言を呟いてから布団に入り、毛布にくるまりながら眠りについた。


 ―――――――――――――――――――――


「う~~~、よく寝たよく寝た」


 目が覚めてスマホで時間を確認すると朝の8時だった。


「うん。まだまだ合コンまで時間あるな。何をしようか?そうだ久しぶりにメダルゲームでもするか」

 俺はそう結論を出すと服を着替えてスマホで近くのメダルゲーム店を調べて早速向かう。

 距離はそこまで遠くなかったので久しぶりに歩きだ。


 てくてくてくてくてくてくてく


 5分程歩いて俺の目的であるメダルゲームのある大型ゲームセンターに到着する。

 そこでセールとかで1000円でメダル500枚売ってあったのでそれを買い、適当なプッシャーに座る。


 適当に昔を懐かしみながらメダルゲームをやっていく。


 うん非常に楽しいな。


 なんかこう小学生の時を思い出すわ。お母さんに100円をせがんでメダルゲームをした懐かしき思いで。

 大分上振れないとプッシャーには挑戦出来んかったし、お母さんの買い物が終わったらそのまま預けるか。全部消費するかしてたからな。

 いやなんかこう非常に懐かしいわ。


 お、当たったわ。いや楽しいねメダルゲーム。


 そんなこんなで暫くメダルゲームをすること1時間。


 メダルが全部溶けた。


 まあ、メダルゲームだって商売でやってるんだ。当たる時はあるかもだが、最終的にはメダルを消費するように出来てるんだよな。

 うん。まあそうだよな。

 さて。追加で買うか。何、お金なら腐るほどあるんだ。


 追加でメダルを買い。今度はプッシャーではなくミニゲーム系とかの小学生の時にこぞってやったゲームをやり始める。

 そうして遊んでいると昔滅茶苦茶に好きだった、金魚すくいのゲームを見つけた。


 滅茶苦茶感じる懐かしさに軽く心を震わせながら金魚すくいのゲームをやっていく。

 暫く遊んでて気が付いたのだが、どうやら蟹漁はまだ出来るようで久しぶりに蟹漁をつかって荒稼ぎする。

 その他、ミニゲームで誰かが消費した後にやったり。5枚ベットして大物を狙ったりとか。昔を思い出しながらひたすらにやっていく。


 1時間程立ち、


 メダルがかなり増えた。

 そう、増えたんだ。やっぱり小学生の頃とはいえ、結構やってきた経験値があるからな。まあ意外と増えてもおかしくはない。

 いやはや久しぶりにやるメダルゲームがほんまに楽しいわ。

 そんなわけでメダルも増えたことだし。プッシャーをやり始める。


 やっぱりメダルゲームの醍醐味はプッシャーだと思うんでな。

 さあ、当てるぞ。目指せジャックポット。


 そんな感じで暫くプッシャーをやってたら隣に誰かが来る。

 少し気になってチラッと見たら、なんか知ってる顔だった。


 ようは中学生の時にそこそこ仲の良かった友人。松井だったのだ。あの特徴的なマッシュルームカットは今も健在だった。

 ただ流石に顔と髪型が似てるだけというの可能性もあるし。話かけるなんてのはしない。というかここ広島だぞ。前通ってた中学校あるの岡山だぞ。

 なんで広島に松井がいるんだよ。常識的に考えてそっくりさんやろ。


「なあ、もしかして上野か?」

 松井が聞きなれた声でそう呟いた。否、話しかけてきた。


「も。もしかして松井か?」

「ああ。そうだ」

 どうやら本人の様だ。

 凄い偶然もあるもんだな。


「いや?え?マジかよ久しぶりだな」

「ああ。久しぶりだな」


 ・・・・・・・・・


 少し気まずい沈黙が流れる。

 やべぇ、何を言えばいいか分からねえ。


「なあ、何で上野こんなところにいるんだ?」

 先に沈黙を破ったのは松井だった。


「ああ、俺はちょっと久しぶりにメダルゲームがしたくなってな。近場のゲーセンがここだったんで来た」

「俺もだ。奇遇だな。今通ってる学校の闘技場がなんか壊れたとか、結界が貼られたからそれの調整とかで午前休みになったんでな、まあ、俺はその時ダンジョンに潜って死霊王の眷属から指導を受けてたから知らないんだけど」

 ん?あれ?もしかしてそれ俺じゃね?


「え?まさかお前冒険者育成教育学校に通ってる。それも広島の」

「おお。そうだが、よく分かったな、え?ということは、まさかお前もか?」

「ああ、そうだ」

「何というか、凄い偶然だな。こんなことあるんだな?因みに上野は何クラスだ?俺は自慢じゃないがAクラスだ」

 やべぇ、なんか自信満々にそう言われたのだが。俺Sクラスって少し言いにくい。いや、まあ言うけどさあ。


「俺はSクラスだ?」


 ・・・・・・・・・・


「は?待て待て待て待て、おいおい冗談はよしてくれよ、Sクラスって、あの人外最強のSクラスか?というかSクラスの男ってなると。筋肉のお化け鉄志に勇者・勇気に戦闘狂・金山に最恐最悪の最強の最凶死霊王の4人だろ?そこに上野なんて入ってないやん」

 いや。その死霊王なんだが。滅茶苦茶な悪名が付けられてる死霊王なんだが。というかしれっと石嶋抜かされてね?え?もうあれは性別女になってるの?


「いや。死霊王だよ。俺は死霊王だよ」

「え?すまん、よく聞き取れなかった、もう一度言ってもらえるか?」

「だから、俺が死霊王だ」

「え~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~」

 そして松井は多分俺が今まで聞いた中でも最もと言っていい程の叫び声をあげた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る