第137話・筋肉の神と魔法少女の神というパワーワード

 

 ドン


 鉄志の拳を俺は何とかギリギリの所で避ける。


「今のを避けるでござるか。流石でござる泰斗殿」

「それはお褒めにあずかり光栄だよ。というわけで闇魔法・闇拘束からの闇魔法・闇盾からの闇魔法・闇触手からの闇魔法・闇纏いからの闇魔法・闇爆破」

 俺は鉄志を拘束して更に闇盾覆って、闇触手で身動きを封じて、全体に闇を纏わせて簡単に破壊されないようにして。その上で思いっきり爆発させた。


 これで少しはダメージを負ってくれればいいのだが。


「それくらいでは傷は負わないでござるよ」

 案の定無傷の鉄志が出てくる。

 まあ、そうだよな。

 しょうがない。眷属に頼りますか。


「闇助召喚からの憑依」

 俺は闇助を召喚させて憑依させる。


 その瞬間に体中に力を溢れるのを感じる。


「死霊憑依でござるか」

「ああ。そうだ。これで俺の方が身体能力は上だ。そして元々上だった魔力は更に上になった」

「そうでござるな。これは少し厳しいでござる。だが。某も負けていられないでござるよ。ハアああああああ」

 鉄志の体から更にオーラが溢れ出す。

 これは凄いな。


「じゃあ、俺も。来い。万死手・ヘカトンケイル、憑依」

 俺は更に死霊憑依を重ねる。


「おいお前らストップだ。ここら一帯を更地にするつもりか」

 俺と鉄志がノリノリで戦おうとしていた時。北先生からまさかのストップが入る。

 そうして一旦冷静に周りの様子を確認してみる。


 まず空が割れていた。

 綺麗に日が通っていた。

 なのに周りで雷が発生して、ゴロゴロ鳴っている、更に何故か台風か発生していて周りがここを中心もとい台風の目として嵐に包まれている。

 そんでもって闘技場には大きなクレーターが出来ていて。最初張ってあったはずの結界も何故かなくなっている。

 そして観客たちのほとんどが。何処か怯えるようなそれでいて尊敬をするような目で俺と鉄志を見ている。


 うん。とどのつまりどういうことかという。

 あ。やらかしたね。これは。はい。


「取り敢えず鉄志引き分けにするか」

「そうでござるな。うん。そうするでござるか。これ以上やったら周りの被害がえぐいことになりそうでござるし」

「というわけで先生引き分けで終わりました」

「おう。そうだな。いやしかし。お前らいつの間にそんなに化け物、ゲフンゲフン強くなったんだ。泰斗は100歩譲らなくても分かるが鉄志はどうした?」

 おい。北先生俺が化け物なのはいいのかよ。

 そこは100歩譲れよ。譲らなくてもええよ。

 でも。確かに鉄志がこんなに強いのは気になるな。まあ俺の予想は筋肉の神の使徒になったとかだと思うが。神になって普通の攻撃が効かない俺が攻撃された訳だしね。


「あ。そういえば伝えてなかったでござるね。某の筋肉が筋肉神様に認められて。筋肉神様の使徒になったのでござる」

 あってたよ。予想がドンピシャだよ。まあ、そりゃそうだよなって話だな。


 いやおい。つか待てよ。なんだよ筋肉神に認められるって。いやまあ確かに納得出来る筋肉だけど。色々とぶっ飛びすぎんか。自分で予想しといてあれだが筋肉の神とか初めて聞いたぞ。

 まあ、死霊神の俺が言えた義理じゃないかもだけど。


「お。そうか。筋肉神に認められたのか。それは、なんというか納得だ」

 北先生が戸惑い気味で頷く。

 中々にレアな光景だな。


「まあ、それでも泰斗殿には敵わなかったでござるが」

「いや。それはまあ一応俺は死霊神だからな。それでも普通に負けかけたけど」

「一応某は筋肉特化の近接戦闘型でござるからね。筋肉神様からは魔法型や特殊型の近接戦闘に弱い神だったら結構勝てると言われたのでござるが、魔法型眷属型の死霊神に負けるとは、某もまだまだでござるな」

 筋肉神と話したことあるような口ぶりに少し興味を抱きつつも絶対に俺が死霊神の中でも異端だと思う。だってスキルにそう書いてあるんだもん。


「いや俺は死霊神だけど。肉体も鍛えられてるタイプの珍しい神だから、というかそういうスキルを持ってるから別に鉄志が弱いわけではないよ」


「おい。待て待て、泰斗お前死霊神なのか?え?神なの?」

 北先生からツッコミが入る。

 あれ?俺に北先生にいってなかったけ?言ったような気がしてたがきのせいか、もしくは勇気が言ってるかと。鉄志がすんなり受け入れてたから知ってるもんだと思ってた。


「はい。異世界で神を殺して神になりました」

「そ。そうなのか。なんか頭が追い付いてないのだが。勇気といい。鉄志といい、石嶋といいお前といい。簡単に俺よりも強くなるな。ハア。一応俺ころでも世界トップクラスの実力者だと思ってたのだが」

 北先生の深い深いため息が落ちる。

 何だろう。申し訳ございませんとしか言えないな。背中の哀愁が凄すぎる。

 にしても石嶋といいって言ったな、アイツも強くなってるのか。いやはやいやはや凄いですな。まあ、多分魔法少女的な感じで強くなったくさいけど、えっと。ワンちゃん異世界から来た地球外生命体とかと契約してね?

 まあ、知らんけど、聞いてみるか。


「石嶋もって、アイツも強くなったんですか。え?どういう風に強くなったですか。北先生よりも強いって考えるとなんか特別なスキルなり契約なり神の加護なり得たんですか?」

「それはでござるね。男であるということを対価に魔法少女の神と契約をして石嶋殿は魔法少女になったのでござるよ」


 ・・・・・・・・・・・・


「は?」

 一瞬今頭がフリーズした。

 ある意味で俺の予想当たってるじゃないか。

 というかなんだよ魔法少女の神って。マジでなんだよ魔法少女の神って。どんな神様だよ。


「そ。そうか。まあ。うん一応納得はしたよ。で、これからどうしようか?」

「結界の張り直しだな。という訳で泰斗、結界を張りなおしてくれ」

 北先生にそういわれる。いや。先生なんだから北先生がやれよと。一瞬思ったが。まあ原因俺やしと少々反省しながら結界の張れそうな眷属を呼ぼうと考えた時に。ふと。とある眷属の存在が思い浮かぶ。


 それは怪盗アルセーヌだ。

 いやまあそうそういつが勝手に名乗ってるだけで本家の怪盗アルセーヌとは違うパチモンだが。まあ本家の怪盗アルセーヌは実在したかも怪しい。創作上の人物だけど。


 まあ、グダグダ考えても意味はない。

 サクッと召喚させますか。


「というわけで来い、怪盗アルセーヌもどき」

 俺はかなり適当にそう言って怪盗アルセーヌもどきを呼び出す。


「お呼びでしょうか。主様」

 俺の眷属なのでもちろん忠誠心はマックスという訳で跪き俺に首を垂れる。いやはやあの反抗的な態度はどこへやら。


「さて。この闘技場に最高の結界を作れ」

「分かりました。主様。では最高の結界を作成するにあたり、良質な魔石を1000個程闇空間から使用してもよろしいでしょうか」

「いいよ。別に魔石なんていくらでも手に入るからな」

「ありがとうございます。主様。では空間魔法・時空魔法・結界魔法・三重複合・魔法強化・魔石消費・設定・時設定固定・空気中魔力吸収・魔力保存・魔力蓄積・結界強化・強度強化・時戻し設定・魔力消費設定・結界内時戻し必要魔力固定化・条件・回数制限付与・一日五回・結界自動強化・結界自動修復・発動・時戻しの空間結界・発動」


 そう唱え終わると闘技場内に俺でも分かるかなり高レベルの結界が貼られた。

 その様子を見て北先生は目を丸くしている。

 いや。違う結界を見てというよりも、怪盗アルセーヌもどきを見て目を丸くしている。いや心の底から驚いてる。


「どうしたのですか?北先生?」

「おい。何で。何でそういうがお前の眷属にいるんだ?」

「北先生この人のこと知ってるんですか」

 もしかして知り合いで良い人だったりした。それだったら普通に俺ヤバいような気がするのだが。ちょっと怖いんだけど。


「知ってるもななにも。そいつはショタコンの女王じゃないか」


「は?」

 俺は素でそう声が出た。

 うん。何を言ってるんだ北先生は?

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