第130話・怪盗アルセーヌの正体が5秒で発覚

 怪盗アルセーヌが現れたわけなのだが、その姿を魔力を見て誰だか一瞬どころか5秒で分かった。

 先生だ。

 いや何を言ってるんだと思われるかもしれないが。そうなのだ。先生なのだ。

 もちろん北先生ではない。この世界に来てから色々あって通った学園の先生だったのだ。


 えっと。名前はなんだっけ。忘れたな。

 いやでも凄く強い力を持っていたのは覚えている。

 多分この世界では最強クラスといっても過言ではない程の力を持っていた。

 うん。なるほどね。そういえば先生転生者やったな。

 そんで怪盗アルセーヌに憧れてやっちゃった的な感じか。

 なるほどね。なるほどなるほど。さてどうしようか?


 選択肢としたら二つかな?


 一つ目はこのまま見逃すだ。

 ぶっちゃけタダで賢者の石渡してもいいと思っている。

 まあ、理由はいくつかあるが。大まかに分けると二つだ。

 一つ目はお金に困っていないこと。二つ目は別に上げたところでさほど問題がないと思ったからだ。


 二つ目はフルボッコにして捕まえるか。殺して眷属にするかの過激コースだ。

 まあ、もちろん同郷の、それも女性をフルボッコってのは多少良心が痛むが、まあ神になったせいか元々か分からないが言うても気にはならん。

 それに彼女のやってる行為は立派な犯罪だ。

 怪盗アルセーヌだなんてカッコつけているけど、窃盗罪であり。その途中で負傷者は多々出ている、本人は死者は出さないように気を付けていると眷属から報告は来たが、言うても予期せぬ事態で死者が出たこともあり。それで悲しんでる遺族がいたらしい。

 まあ、眷属からの情報だけど。間違いはないやろう。


 う~ん。どうしようか。


 よし。決めたお金払えるのならば許してあげよう。

 そのまま盗んで逃げるんだったら捕まえて事情聴取させましょう。

 それにせっかくだしこれを一種のイベント、余興にして。お客さんを楽しませますか。タイトルをつけるならば怪盗アルセーヌの何でも明かします。秘密大公開ショーとかかな?

 うん。非常に面白そうだ。


 俺はその内容を今現在壇上に立って司会をしている闇助に念話で伝える。


「では42番さん、今すぐ金貨100万枚をお支払いください」

「その前に私に賢者の石を渡しなさい。そしたらしっかりと金貨100万枚払うわ」

 堂々とそんなことを言う怪盗アルセーヌ。

 うん。いや恰好考えろ。明らかに盗む気しかないやん。つか嘘探知したら嘘やん。払う気ゼロやん。持ち逃げする気しかないやん。

 まあ、でもせっかくだし。決定的な証拠を押さえるか。


【闇助。賢者の石渡していいぞ】

【分かりました。主様】


「では。お渡ししましょう。どうぞお受け取り下さい」

 闇助はそう言って怪盗アルセーヌに賢者の石を渡す。


 その瞬間だった。

「ハハハハハハハハハ。まさか本当に渡してくるとはね。この怪盗アルセーヌ賢者の石は頂いた」

 そう言ってマントを広げながら高笑いを上げると何処かに転移しようと、転移魔法を発動させたのを確認した。


「魔法破壊」

 俺はサクッと魔法を破壊させる。

 超簡単だ。


「え?どうして魔法が発動しないの?」

 困惑している怪盗アルセーヌ。まあ、そうだろうね。でも困惑していていいのかな?


「闇魔法・闇触手」

 俺は久しぶりに闇触手を出して。怪盗アルセーヌを縛り付ける。

 さて、じゃあ闇助経由で色々と聞いていきますか。


「死霊魔法・死霊感覚完全操作発動・闇助」

 俺は超絶久しぶりに懐かしの魔法を使い、闇助の体に憑依する。


「さて。じゃあ。怪盗アルセーヌさん。俺の質問に答えて貰うよ。因みに拒否権はない。後嘘はつかない方がいいよ。俺には嘘を見抜く力があるからね。という訳で皆様、オークションは一時中断して。余興を行いたいと思います。内容はかの有名な怪盗アルセーヌに質問をしてみたです。もしこんな質問をして欲しいというのがありましたら。何なりと言ってください」


「いいね」「最高だよ」「面白そうだな」「いい余興だな」「じゃあ。怪盗アルセーヌを脱がせ―」「盗んだ物をどうしたか答えさせろ」「殺せ~~~」「何故賢者の石を盗もうとしたか聞いてくれ」「どんな能力を持ってるのか聞いてくれ」「好きな男性のタイプは?」「俺から盗んだ物を返せ怪盗アルセーヌ~~~」


 俺の言葉と共に大量の言葉が飛び交う。

 いやはや怪盗アルセーヌ大人気ですな。


「オッケー。オッケー。分かりました。すみません。皆さん一回ストップしてください。このままでは質問しても声がかき消されちゃいます」

 俺のその言葉に静かになる会場。

 よしオッケー。


「では。怪盗アルセーヌさん。改めて楽しい楽しい質問タイムを始めますか」

 俺はというか闇助の体を使い。少々悪役感の強い笑みを浮かべながらそう言った。

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