第127話・異世界オークション

「どうも皆様、大変お待たせいたしまし。ただいまより世界最高のオークション。この世界の神にしてあの悪神を滅し、帝国に蔓延っていた悪魔を討ち滅ぼし、このオークションの開催国である上野王国を救った大英雄、全知全能とはまさに彼の為にある言葉。そう。我らが主。ウエノ・タイト様主催・神のオークションを開催いたします」


「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお」

 何か。想像以上に俺持ち上げられてて。ほんでもって会場もメチャクチャに喜んでる。

 何だこれ?つか、いつの間に上野王国なんて名前になってるんだ?マジで知らんぞ俺?


 元の名前、なんやったけ。・・・・・思い出せんけど。絶対に上野王国ではなかったぞ。それだけは確かだぞ。

 まいっか。別に俺に被害は出てないし。知らんけど。


「さて。会場もいい具合に温まってまいりましたね。では、早速ですがオークションを開催しましょう。というわけで出品№1・ありとあらゆる全ての傷を癒す神の薬・エリクサーです。お値段は金貨100枚から」

 おい、待て、エリクサーなんて俺出したっけって?ああ、普通に俺の眷族か。

 うん。つか何だろうエリクサーって凄いモノってイメージあるのに。俺の力考えたらスポドリと変わらない気がする。そんなわけはないのにさあ。それでもねえ、ねえ。本当に。俺強すぎ。


「金貨1000枚」

 いきなりの10倍。ヤバいな、いやでも金貨100枚という最初の値段が安すぎか。

 だって日本円で・・・いくらだろう。確か金貨1枚10万くらいやっけ?そうなると最初が1000万で今は1億か。なるほどねありとあらゆる全ての傷を癒すのであれば1億は安いな。


「金貨3000枚」

 ほら、簡単に上がった。ほんでもまだ3億や。


「金貨3200枚」

「金貨3300枚」

「金貨3330枚」

「金貨3345枚」

 おい。凄く中途半端だぞ。何だコイツ?何の45枚だよ。増え方だろ。


「金貨6000枚だ」

 おっと。一気に上がったな。えっと上げたのは誰だ。なるほどなダンディーなオッサンか。いや誰だろう。分からないな。まあ、気になったら眷族にきくか。


「金貨6100枚」

 お、太ったオッサンが増やした。これは太ったオッサンとダンディーなオッサンの一騎打ちかな?


「金貨8000枚だ」

 ダンディーなオッサンの上げ方が鬼。強すぎんか。1900枚ってちまちま上げても主催者の俺怒らんぞ。


「ぐぬぬぬぬ。金貨8050枚」

 太ったオッサンくらいついてく。おお。凄く顔が赤いな。これは中々に辛そうだな。


「金貨1万枚ですわ」

 全然違う所から耳の長い凄く豪華な服を着た少女がいきなりそう言った。

 これは、また荒れそうだな。

 つか1万枚って凄いな、何者だよ。この少女。おい、眷族答えろ。


「はい。この少女はエルフの女王でございます」

「なるほどね。理解したわ」


「金貨1万1000枚だ」

 お、ダンディーなオッサン更に上乗せした。しかも顔色一つ変えていない。凄いな。やっぱりこの人が何者なのかも気になるな。

 というわけで眷族。このダンディーなオッサン誰や。


「はい。このダンディーなオッサンは帝国の皇帝でございます」

「なるほどね。マジかよ帝国の皇帝かよ。うん何だろう帝国か・・・まいっか、別にいきなり召喚されて失礼な態度を取ってきたことに対してイラっとは来たけど。その分の罰は与えたし。つか俺帝国に蔓延っていた悪魔を退治した英雄になってたけど、それどういうことかね?何眷族が俺の評判を広めるためにやったの?」

「はい。主様を神と皆に思わせるために主様の成した偉業を様々な形で様々な人に伝えていきました」

「ああ。なるほどね」


「落札されました。落札したのは4番さん。落札金額は金貨1万3500枚です。皆さん大きな拍手を」

「あ、眷族と話をしているうちに落札されてた。えっと落札したのは誰かなって。あ。ダンディーなオッサンもとい皇帝さんやん。なるほどね。さてとじゃあ続きを見て行きますか」


 30分後


「大分。面白いなオークションって。結構皆白熱するし、盛り上がりますね。後落札された分の金が全部俺の懐に入ると思うと凄く愉快だ。さて、じゃあ次は聖剣・エンドミリオンか。これは中々いくらで落札されるか楽しみですな」


「さあさあ。皆さんお待ちかねの。聖剣・エンドミリオンです。世界に4本しか存在しない、ありとあらゆる全ての魔を滅する神さえも殺すことのできる、聖剣。剣の頂点に君臨する最強の剣。さあ、これを金貨1000枚から。どうぞ」


「金貨1万枚だ」

 お、帝国の皇帝がいきなり釣り上げた。

「金貨3万枚」

 今度は。山田王国の王様がいきなり3倍だしやがった。

 あれ?山田王国ってそんな金持ってんの、戦争で結構ボロボロにされてた記憶あるけど。つか。山田王国の王様って俺の眷族になってない。うん、なってるよな。何で眷族が俺の開催しているオークションに参加してるんだ。

 ・・・・・・・分からないな。

 まいっか。別に。特に害無いし。


「金貨5万枚」

 今度は聖教国の教皇が釣り上げた。いやはややはや。やるね~~~。


「金貨8万枚だ」

 またもや帝国の皇帝来た~~~。額が化け物やな。


「金貨10万枚じゃ」

 ここでエルフの女王来たよ。凄いな金貨10万枚って100億円か。ヤバいな。額が化け物やな。たった一振りの剣が100億か。


「金貨12万枚だ」

 帝国の皇帝いくねえ、やるねやるね。やりますね。


「金貨15万枚でどうじゃ?」

 うお。髭もじゃもじゃの筋骨隆々なオッサンがエグイ額たたき出しやがった。

 誰だろう。いや待て。これ分かったわ。ドワーフの王様だな。


「というわけで眷族。この人ドワーフの王様だろ」

「はい。その通りでございます。主様」

「お。やっぱりか。それは良かった」


「金貨15万5000枚だ」

 お。帝国の皇帝さん粘りに来たね。


「金貨17万枚ならどうじゃ?

 うわお。ドワーフの王様ヤバいな。強すぎんか。


「金貨17万枚、17万枚以上出せる方はいませんか?」

 闇助の声が会場に響き渡る。


 それに対する答えは沈黙だ。

 流石に金貨17万枚以上出せる人はいないということか。


「では。7番さんの落札という事でよろしいでしょうか。本当に他に誰かいませんか?」


 ・・・・・・・・・・・・・・・・


「いませんね。では落札されました。7番さんおめでとうございます。皆さん盛大な拍手を」


「パチパチパチパチパチパチ」


「いやはや。これで聖剣を分解して新しく聖剣を作り出してみせますよ」

 ドワーフの王様がそんなことを言って豪快に笑う。

 うん。ちょっと待てこの人聖剣を分解するつもりなのか。いやまあ別にいいけど。どう扱おうが買った人の自由だしな。


「お。ではもしそれで聖剣が出来たら私に売ってくれないか?」

「儂も頼もうかな?」

「お。では某も頼もうかな?」

「では我も頼もうかしら」


 おいおい。何か商売始まってるよ。まあいいけど。ほんでもあれだなこのドワーフの王様は聖剣を自分達の力で作ろうとしているのか。だからあんな大金だして買ったのか。大金だしたとしても、聖剣を自分達の手で作れば取り返せると思ったんだろうな。

 でもまあ、多分だけど無理だな。いや聖剣って感覚的にかなり優れた剣に対して神かは分からないが凄い力を持った存在が神聖力を大量に詰め込んで生まれたって感じの剣だからな。

 人のというかドワーフの手で聖剣の元となる剣を生み出すというのは多分簡単に出来るだろうけど。神聖力を宿すというのは多分無理だろうな。

 ああ。可哀想に。


「さてさて。聖剣・エンドミリオンの落札で大分会場が温まってきましたが。次は今回のオークション最大の目玉といっても過言ではない商品のご紹介です。では、賢者の石・強化Ver金貨1万枚からどうぞ」

 そう闇助が今日一番の大きな声を出した。

 そして思う、賢者の石強化Verって何ぞや?と

 いや。俺強化した覚えないぞ。マジで。


「おい。眷族。賢者の石・強化Verって何だ?」

「はい。賢者の石をそのまま出品しても良かったのですが。我らの力を注ぎこめば強化できるのではないかと思いまして、それで強化した方がより高く売れるんじゃないかなとも思いまして。それで勝手ながら我らの死の力を注ぎこみ強化しました」

「ほう。強化したのか。それで強化した結果、どんな性能になったんだ。あ、いいや、別に教えて貰わなくても。自分で鑑定するわ」


 死者の石

 これを持った者は一度死に死霊神・タイトの眷族として蘇り無限の命を得ることが出来る。

 これを持つ者は下位の存在の死という概念をこの石の魔力が続く限り操ることが出来る。

 この石は人の魂を捧げることにより魔力を回復させることが出来る。

 元は賢者の石であったが、死霊神の眷族達の死の魔力を大量に取り込み変質し死者の石となってしまった。この石は神のアイテムであり、人の手に渡れば世界を滅ぼしかねないものである。


「おい。待て。お前ら。賢者の石じゃないやんこれ」

「あ。はい。そうですね。でも元は賢者の石ですし。それに主様の眷族が増えますし。良い物かと思います」


「なるほどね。多分お前らは俺の眷族だし忠誠心MAXだから裏切りとか俺を憚ろうとかしないのは分かっている。でもなあ。流石に死者の石はこの世界を壊しかねないヤバい代物だ。それを売るのは不味い。まず過ぎる。というわけで、しょうがない中止だお前ら。今すぐに出品を取り辞めろ」

「でも。主様それでは私達に非難の声が上がりますし。主様の名誉も落ちる可能性がありますが大丈夫でしょうか?」


「そうだな。そうなんだよな。でも流石に死者の石はヤバいんだよなって、待てよ。そうだ待てよ。アルセーヌだ。怪盗アルセーヌがいるやん。俺が怪盗アルセーヌに化けて死者の石を盗んだ後。死者の石の代わりに俺が直接出向いて蘇らせたい人を蘇らせるという方式にすればええやん。そうだそれなら非難も出にくそうやし。円満解決しそうだ。よし、そうしよう」


――――――――――――――――――

 今更な感じの補足説明

 闇助含むある程度力を持った眷族は全員影魔法・影分身が使え、異世界でも日本でも、主人公の為に活動しています。

 頑張れ眷族達

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