第126話・オークション開始前の小話

 眷族の手によって出来上がった剥製は思った以上にカッコよかった。

 そんでまあ、すっかり剥製の魅力に取りつかれてしまった俺は、オークションが始まるまでドラゴンとかドラゴンとかドラゴンとか、後はワイルドタイガーとかフェンリルとか巨大鮫とか鯨とか、グリフォンにキマイラにトロールにオーガ等々の様々な魔物とか動物を捕まえて剥製にしていった。

 相当楽しかったです。

 

 ――――――――――――――――――


 というわけで気が付いたたらオークションが始まる日となっていた。

 因みに今回のオークションにわたり俺が出したアイテムは恐ろしく凄いものばかりだ。

 まずは一番の目玉になるであろう聖剣・エンドミリオンに各種様々なスキルの書。もちろん富裕層に大変人気のある美肉体に美骨格は忘れてはいない。

 それでいて聖剣・エンドミリオン以外にも作られた聖剣もとい正教国の努力の結晶や、まあその正教国の支配者俺だけど。草。

 呪いの武器から、名工の作り上げた至極の武器に防具、聖なる力の宿った武器やら防具に。各種属性の宿った武器に防具。

 その他、見た目以上に物の入るアイテム袋に持ってるだけで身体能力や魔力が上昇する指輪や勾玉に、ありとあらゆる傷を治すエリクサーに死者を蘇生できる伝説級アイテム賢者の石等々。

 もちろん、俺がこのオークションをやるきっかけとなった。

 ドラゴンの剥製や追加で用意した虎王の剥製に大狼王の剥製にレッドドラゴンやホワイトドラゴンの剥製等々いろんな魔物の剥製も用意した。

 まあ、剥製は作り過ぎて少々だぶついていたしね。 


 ぶっちゃけ相当にすごいと思う。

 出品する物だけで国が買えるんじゃないかってくらいのアイテムだからな。

 後はまあ、オークション会場も相当にすごい。というかヤバイ。俺の眷属だけあってその仕事は完璧かつ100点、いや120点だった。

 空間魔法による空間拡張によって広さの確保はもちろんのこと、どこにいても一定の過ごしやすい温度に保たれるように冷房設備が完備され、椅子も非常にフカフカかつ豪華で、椅子一つ一つに匠の技を感じられる。

 商品を見るための巨大スクリーンも非常にきれいで、画像も鮮明に見える。

 これはもう成功間違いなしやろう。


 というわけで、来てくれた人はほぼすべての国の要人やら一部王様やら王子様に王女様含み。有名な商人やら資産家やら投資家やら。

 凄い人ばかりだ。まあ、神である俺が一番すごいだろうけど。

 ほんでまあ、もちろんここまで凄い人がそろってるのだから、怪我とかでもされたら即刻国際問題になりかねない。

 まあ死んでも蘇らせれるのだけど、それでももしもがあればかなり面倒なので、警備も超万全だ。

 警備の人は全員俺の眷属で絶対服従な為、警備員に賄賂を渡すことか絶対にできない、それでいて警備員1人1人が町を単騎で落とせるレベルの化け物であり、それが全部で3000もいる。

 まあ。こんな化け物の前で絶対に犯罪とかできないだろう。

 うん。素晴らしい。素晴らしい。


 もちろん警備員以外も俺の眷属はいっぱいる。

 今から商品の紹介をする人は闇助だし、商品を運んでくる女性役は俺が今回の為にわざわざ特別に作った眷族だし、もうこのオークションに一切の死角はないと思う。


 「主様、怪盗アルセーヌと名乗る人物が予告状を出してきました」

「ま?何それ絶対に日本人やん。え?俺と同じ転移者もしくは転生者やん。つか死角なしとかカッコつけてから秒で死角出てきたよ。フラグ回収が早すぎるだろ。まあいいや。ほんでその予告状はどんなの見せてくれ」

「はい。分かりました。主様。こちらでございます」

眷族から一枚のカードを渡される。

そこにはこう記されていた。

【今夜、そちらにある賢者の石を頂戴する】

      【怪盗・アルセーヌ】

「なあ、オークションって今から開始で賢者の石って今日の昼頃に落札されて落札者の手元にすぐに届けられなかったけ?」

「はい。そのようになっております」

「そんでもってアフターサービスで落札者には少しの間眷族を貸し出して、落札物が盗まれない様にするって仕組みを作ってなかったけ?」

「はい。作っております」

「ほんでもって、賢者の石とか超絶貴重だし、使い方も確認したいしってんで落札者に結構な数の眷族をつけるつもりじゃなかったけ?」

「はい。そうなっております」


・・・・・・・・・・・・・


「多分。この怪盗というか日本人、馬鹿じゃない?」

「多分、馬鹿だと思われますね」

「うん。一応警戒はしておいて、でもまあ、何か大丈夫な気がする」

「そうですね。では一応警戒はするということで」

「そうしてくれ。じゃあ、オークションを始めますか」

「そうですね。会場もいい具合に温まっていますし。始めましょうか。というわけで主様。特等席でご覧ください」

「ほいほい、じゃあ上手い具合にやってくれよお前ら」

「分かっておりますと主様」

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