第123話・主人公無双

 何か知らんけど異世界に召喚されたと思ったら、急に景色が変わった。

 いや。というよりも。時が巻き戻ったのか?


「何だ、お前はいつからそこにいた」

 一人の魔導士っぽい人がそう驚いてくる。


「いや、いつからって言われても?つかお前ら誰?どこの国の人?」

 俺は適当に質問をしみてる。


「どこの国だろ。そんなもの帝国に決まっておろう。この世界で最も大きく偉大なる帝国だ」


「帝国?あ~、山田王国と戦争している国ね」

 俺は何か前聞いた話を思い出してそう言った。


「ハハハハハハハ。山田王国か。その国との戦争はもうすぐに終わるぞ。何故ならば今現在50万帝国兵が四方村々から攻め入り町を滅ぼし王都を滅ぼしているからだ」


 ん?そんなことになってるんだ。つか50万って凄い量の兵だな。これ普通に山田王国終わらんか。いくら勇者がいるとは言え。


 つか待てよ?

 そう言えば俺の恩人であるアメリアって山田王国の村に住んでいなかったけ?

 ほんで、さっき俺に加護の申請が来たけど。それってもしかし帝国に村を滅ぼされてそれを目の当たりにして力を欲したとか?

 そういうアレやない?


 ・・・・・・・・・・


 なるほどね。多分この仮説であってる気がするな。

 うん。そうか。非常に不愉快だな。

 俺はハッピーエンドが好きなんだよね。そして自分に優しくしてくれた相手に対して結構手助けをしてあげたいと考える人間なんだよね。

 だから、俺は山田王国の味方になってやりますか。


「そんなわけだから、じゃあ。まずは取り敢えず。神の権限発動・山田王国を攻めている帝国兵は死ね」

 俺はそう言った。

 その瞬間少しの脱力感と共に50万という人間の命が散った感覚が湧いた。

 流石神の力だな。

 ここまで圧倒的とは。マジで超ビックリだよ。


「お前、何だ今の発言はふざけているのか。おい、この馬鹿を殺すぞ」

 魔導士がそんな馬鹿なことを言ってくるので、死ねと念じる。

 そうしたら死んだ。

 うん。念じるだけで人を殺せるか。いやはや俺に死角はないね。


「じゃあ。俺は取り敢えず村の皆を生き返らすんでな。ほい転移」

 俺は加護を与えたアメリアの元に転移をした。


 ――――――――――――――――――


「ああああああ。帝国~~~~~~、殺してやる。殺してやる。殺してやる。殺して殺して殺して殺して肉片にしてやる」

 アメリアが凄い荒れてた。

 まあ、そりゃそうだな。

 ここまで村が酷い状況だとな。まるで地獄みたいだな。まあ、俺が来たからにはもう大丈夫だけど。


「おいおい、そんなに荒れるな。山田王国に攻めてきている帝国軍は俺が全部殺したし。今帝国軍によって殺された村の人も生き返らせてやるよ」

 俺はアメリアの背中をさすりながらそう言ってあげる。


「本当に?蘇らせてくれるの?」

 泣きながら発狂してたせいか涙でグチャグチャの顔で俺にそう言ってくる。


「ああ。本当だ。言っただろ俺は神だって。というわけで。取り敢えず死体を一か所に集めて布を被せてあげるぞ」

 まあ。このまま蘇らせても真っ裸な上に場所が危ないからな。


「というわけで死体よ我が近くに集まれ」

 俺は適当にそう言った。しかし死霊神である今の俺ならそれは魔法となりその言葉通りの現象が起こる。

 そっから焼けてる中々にエグイ死体に闇空間から適当に布とか毛布を取り出して被せていく。


「さてと、これで大丈夫かな?じゃあ。死霊神である我が命ずる蘇れ」

 俺がそう言った瞬間に死体はあっという間に再生されて元の状態に戻る。

 そして息を吹き返した。


「お父さん。お母さん」

 アメリアが蘇った父親と母親を見て抱き着く。

 家族の感動の再開だな。

 それと、一応サービスで死んだ瞬間の辛い記憶は削除したからトラウマとかもないやろうし。俺の眷族にサクッと村を建て直させればいつも通り暮らせるやろ。


「というわけで千鬼死霊大行進・部分発動この村を再建しろ」

 俺がそう言った瞬間に鬼に死霊が現れて村の再建を始める。


「どうも。皆さんこんにちは。俺は死霊神です。死んだあなた達を蘇らせた者です。まあ多少疑問があるかもしれませんが、知らん。正味俺はお前らに何も恩は無かったんでな。知らん。マジで知らん。何か口答えしてきたり文句を言ってきたら殺す」

 俺はほんの少しだけ力を解放してそう脅した。

 これで何かグタグタいうバカは現れないだろう。


「さてと、じゃあ俺は勇気に会いに行きますか」

 俺は両親との再会に涙を流しているアメリアにそう伝えて勇気を探そうとする。


「いえ。私もついていきます。いや。ついて行かさせてください」

 まさかのアメリアに止められた。


「両親との再会はもういいの?」


「はい。大丈夫です」


「そうか、じゃあ行くか。まあ勇気の近くに眷族いないけど。勇気の魔力波長は何となく分かるし。神である俺なら多分転移出来るやろ。というわけで集団転移」


 ――――――――――――――――――

「お。転移は成功したな。流石神やな。つかおいおいどうした勇気。そんなに頭を抱えて」

 俺が転移したら何か勇気が頭を抱えてブツブツ言っていたのでそうちゃかす。


「その声は。泰斗か?お前どうしてこんな所に、いや。そんな事はどうでもいい。頼む泰斗。この国を助けてくれ」

 勇気がそう言って俺に頭を下げた。


 正義心の塊で俺大嫌いの勇気が頭を下げるなんて相当切羽詰まってるんだな。

 これはしょうがない助けてあげますか。

 といってももう助けてあげたようなもんかもだけど。


「別に助けるのは構わないが。いいか?もう既にここを攻めてきた帝国軍は皆殺しにしてるぞ」


「え?」

 俺の言葉に勇気が素っ頓狂な声を上げる。


 ドン


「伝令・伝令・魔導通信にていきなり各町で帝国兵が死んだという報告がありました」

 兵士がそういってドアを開けた。


「え?マジで本当なのか」

 滅茶苦茶驚く勇気。そこまで驚かなくても。


「ああ、本当だよ。あ、一応蘇らせることも出来るけどどうするか?」

「どうするって。お前そんなことが出来るのか?」


「ああ。もちろんさ」

「そうか。流石に俺一人では判断できないし王様と話し合ってもいいか?」


「ああいいぞ」

 俺がそう言うと、勇気が王様もといオッサンと何かを話し始める。


 盗み聞きするつもりはなかったが俺の神の耳のせいで聞こえてしまう。


「では勇者様この神は我が国の味方という事ですか?」

「まあ。はいそうですね」

「全く神々しさを感じられないけど本当に神なんですか?」

「はい。神です」

「そうですか。勇者様がそう言うなら神で合ってるのでしょう。それよりもさっき攻めてきた帝国軍と死者を蘇らせれると聞こえたけど本当ですかね?」

「それも本当だと思います」

「そうですか。・・・・・・そんな神が我が国の味方だと?」

「はい。そうですね一応」

 何か絶妙にけなされているきもしなくもないが、話を黙って聞いてると急に王様が笑い出した。


「ハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハ。そうかそうかそうか我が国にこのような神が味方についてくれるか。では神様どうか帝国軍人を皆殺しにして、今まで帝国軍によっと殺された兵士を蘇らせてください。そうして我が国は帝国を支配してこの大陸いや世界の覇者になります。いや。なれます。ありとあらゆる全ての存在を無条件で殺せる力と蘇らせる力これがあれば恐れるものはありません」

 王様、いや俗物がそう言ってくる。

 俺に頭も下げずに。


 何だろう。凄く腹が立つな。別に俺はこの国を助けてもいいかなとは思ったが。あくまでそれは同郷の勇気がいたのと。アメリアがいたからってのが大きな理由だ。

 別にこの世界を征服するとか、そんな事に手を貸すつもりはさらさらないのだが。

 うん。それなのに勝手に勘違いして勝手に偉そうなことを言ってくる。俺の力を目がくらんだのかは分からんが。腹が立つんで殺すか。


「というわけで死ね」

 俺は何の躊躇いもなく王様を殺した。


「おい。泰斗お前今何をした」

 勇気が俺の胸倉をつかんでくる。


「俺に対して無条件で何千万という人間を殺して何万という人間を蘇らせて世界を征服しろとか言ってきた愚かな俗物、いや、世界の敵を殺した」

 俺は悪意を込めてそう言った。


 それに対して勇気は何も言わなかった。

 あれ?おかしいな?いつもの勇気なら何かしら文句を言ってきそうだけど異世界に召喚された結果成長でもしたか?知らんけど。


「そうだな。お前の言う通りだ。この王のあの発言は良くなかった。死んで当然だ」

 ありゃりゃ、勇気がまさかの俺の言葉を肯定した。いやこれはビックリだな。


「ふざけないでください、勇気様、今すぐお父様を蘇らせるように言って下さい」

 何か俺と同い年くらいの美少女が泣きながらそう叫んだ。


 これは異世界での勇気のハーレムメンバーかな?

 ついでに隣で褐色肌のエロいお姉さんおるし。この娘もそうっぽいな。


「あ、そうだ勇気お前元の世界に早く戻ってい来い。皆心配してるぞ。お前の婚約者である白木さんはどうするつもりだ?お前のお母さんだってお前の帰りを待ってるぞ。北先生もクラスの皆も待ってるぞ」

 俺は裏ダンジョン連合の依頼を思い出してそう言う。


「でも帰り方が」


「あ。それなら俺が自由に帰らせれるぞ。こうみえても神だしな、その程度簡単に出来る」


「え?マジで本当に帰れるのか」

 凄い驚かれた、そんで凄い食いつきだ。まさか帰れないと思ってたのか?いやまさかじゃなくてそう思ってたんだろうな。

 まあ確かに俺と違って普通の勇者だからな。神になって帰るとかこの世界に身体馴染ませて転移とか分からんつか出来んやろうね。そうなると勇気この世界で骨をうずめる覚悟でもしてたのかな?まあ知らんけど。


「ああ。そうだ。どうする?一応アメリアは俺の加護を持ってるんで連れて行けるが他の2人は、まあ俺の加護をあげるか、俺が召喚すれば出来んこともないが。変な副作用が出ても知らんけど」

 一応ありのままに伝えたげる。まあ新しいハーレムメンバーを3人増やしても誤差やろうしね。白木さんは起こるかもだけど。俺知らね。むしろ修羅場になったら面白そううやし見てみたい。


「それなら帰りたい。俺は帰りたい。正直この世界は生きにくかったんだよな。飯は飽きてきたし。というかあまり美味しくないし、ゲームもラノベもアニメもドラマもないし、移動手段は走るという面倒くさいものだし、絶対に車や新幹線の方が楽だ。ついでに一緒に切磋琢磨できるような仲間もいないし。俺より強い師匠もいない。そして何よりウォシュレットが無い。マジで結構辛かったんだよな」

 勇気がなんか突然そうゲロった。


 なるほどね。まあ。確かにそうだな。俺は闇空間のおかげで飯にも娯楽にも困らんし。移動は基本高性能馬車が死霊転移だったけど。普通に考えれば不便だよ。後まあ排泄の方は俺しなくてもいい体質何で特に気にならんかったけど確かに不便だな。


「そうか。じゃあ。どうする今すぐ帰らすことも可能だけど?」


「じゃあもう帰ろうかな。正直言って結構重荷だったんだよね。国を救うとかは俺に向いてないわ。毎日のように帝国軍と命のやり取りをして。毎日のように帝国軍からの刺客に狙われて、まあ途中から殺し過ぎてこなくなったけど。それでも結構大変で辛かったんだよね」

 そう言った勇気の顔を見たら目に隈が合った。うん勇気も苦労してるんだな。


「まあ。そうだよ、お前も人間だからな。それもまだ15歳だもんな。そりゃ大変やろうな」


「ああ。本当に大変だよ。あ、いや一応最近誕生日迎えたんで16歳やけど」


「おう、そうだったのか。おめでとう」


「ありがとう。といわけで誕生日プレゼント替わりでええんで。もうサクッと帰らしてくれ、本当に疲れた。家に帰ってフカフカのベットと愛用してる枕でぐっすり寝たい」

 そりゃ目の隈あるしね、安眠出来てなかったんだろうな。


「そうか。まあ確かにこの世界の枕少し硬いという合わないもんだ。分かるぞその気持ち」


「お、分かってくれるか。そうなんよ。後ベットはベットで柔らかすぎるんだよ。何の羽毛か知らんが。もう少し良い感じの硬さのベットはないのかよってな」


「ああ。なるほどね。分かるよ、高いベットは柔らかすぎるし、それ以外は硬すぎるもんな。まあ俺は闇空間あるから気になったらベット引っ張ってこれたから問題はなかったが」


「それはずるいって、ああ、俺も闇空間使えたらな」


「お前闇魔法嫌いじゃなかったけ?」


「いや。もうそんなものどうでもいい。だって闇魔法持ってようが泰斗みたいに良い奴はいるし。光魔法持っても悪い奴はいる。だからそういうのにこだわるのは止めることにしたんだ」


「お前。本当に成長したな。いや何だろうな。今まで結構お前に酷い目にあわされてきたが。まあどうでもよくなってきたよ。何だろう今のお前とならいい友達になれそうだ」


「俺もだ。元の世界に戻ったら今期のアニメでも一緒に見ようぜ」


「お、いいね、一応俺は全部もう見てるんで。早くお前も見ろ。今期は豊作だぞ」


「それはありがたい、じゃあ頼む」


「オッケー、あ。で、アメリアはどうする?」

 俺は一応そう聞く。


「そうだな。アメリアは一緒に来たいか?」


「はい。是非もちろんです」


「というわけだ。よろしく頼む泰斗」

「オッケー。じゃあ神の権限発動・勇気とアメリアを日本に広島にあるダンジョン連合学園に転移っと」

 俺は力を込めてそう唱えて。勇気とアメリアを転移させた。


 ――――――――――――――――――

 補足説明

 勇気の立ち位置悩んだんですが。性格を変えさせました、というよりも父親からの呪縛に解放された感じにしました。

 前の勇気は正義心ガチガチに間違った方向に歪んでいましたが。異世界転移を経験して成長しました。

 というわけで今からはまあ主人公のほうが格上ではあるがライバルとして切磋琢磨する感じになりました。まあ私の気分次第設定を変えるかもしれませんが。


 え?久しぶり更新じゃないかって、それはまあ、本当に本当に申し訳ございません。

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