第122話・異世界に召喚されたらしいっす

 というわけでサクッと走ってSクラスの教室に着きました。

 いやはや。懐かしいね。ほんの一か月と少ししかいなかっただけなのに。

 うん。懐かし過ぎて軽く泣きそうだ。いや泣かんけど。

 さてと、じゃあ教室の扉を開けますか。


 ガラガラ


「よう。久しぶり皆」

 俺はそう言ってドアを豪快に開ける。


「お前は泰斗か?」

 俺の顔を見て北先生が驚きの声をあげる。


「どうも北先生お久しぶりです」


「お久しぶりってお前、今まで何処に行ってたんだよ?」

 北先生が凄い心配してくれる。


 まあ、確かにいきなり授業中にいなくなったからな。そりゃ心配するわなって、そういえば責任問題とかは大丈夫なんだろうか。結構大変そうだけど。だって俺に勇気がいなくなってるんだ。普通にヤバいだろ。


「まあ、異世界に行ってましたね。それよりも北先生責任問題とかは大丈夫何ですか。普通に大問題だと思いますけど?」


「ああ。それは俺もヤバいと思ったが。あの状況下、そしてあんな一瞬の出来事だったんで。誰がいても変わらないということで無罪放免となった。後まあお前の眷族が安否情報をくれたからな。まあ生きてるし大丈夫って話になったんだよ」


 あ~、なるほどね。確かにあの状況下だったら、誰がいても無理だろうな。つか流石俺の眷族有能だな。

 あれ?てことは勇気の安否情報もあげたのか。何か渡してなっかった気が・・・・・・まいっか気にするの面倒だし。


「まあ。確かにそうですね」


「だろ。なのにまだグチグチいうアホがいるから困ったもんだよ。文句言いうならお前らで解決してみろって話だ。つか。それよりも泰斗、勇気とは一緒じゃないのか?」

 あ~、やっぱりそれ気になるよな。

 

 ぶっちゃけ。俺も勇気があの異世界で新しいハーレム作りながら帝国と戦ってるってのは知ってるが。逆に言えばそれくらいしか知らないんだよな。

 うん。ここはありのままに言ってやるか。もちろん悪意マシマシで。


「勇気とは一緒じゃありません。アイツは今異世界でまたハーレム作ってイチャイチャしながら帝国軍とかいう国相手に戦争をしてますね」


 ・・・・・・・・・・


「は?待ってよ。ねえ、勇気が異世界でハーレムを作っているってどういうこと?本当なのそれは?私は勇気は私の事を忘れたの」

 いきなり白木さん胸倉をつかまれてそう叫ばれた?


 あれ?この娘こんなヤンデレやったけ?いやでも確かに自分の愛する人がいつの間にか、異世界に召喚されてそこでハーレム作ってたらそんな反応にもなるか。それに白木さん腐っても婚約者だったはずやし。腐っても。うん白木さん腐ってるしね。いろんな意味で。


「まあ。多分忘れてるんじゃないですか?結構はっちゃけてますし」

 俺はわざと煽るようにそう言った。

 何故ってそっちの方が勇気が戻って来た時に楽しそうだからだ。我ながら良い性格をしていると思うよ。本当に。


「は?は?は?何それ何それ何それ。私が私達がどんな気持ちで勇気を待っていたと思ってるの。それなのにそれなのにそれなのに許さないわ。絶対に許さないわ。許されないわ。そもそも私は勇気の彼の婚約者なのよ。婚約者をないがしろにするなんて、アイツが帰ってきたら監禁してやる」

 おい。待て待て待て何か恐ろしくヤバいことを言い出しているぞ白木さん。ヤバくないか?まあうん自業自得ですね。うん俺知らね。俺は悪くない。


「あ、泰斗君久しぶりだね。元気にしてた?」

 何か急に知らない女子に話しかけられた?


 かなり可愛い女子だ。背は俺よりも少し小さいくらいで胸も控えめ肌は雪の様に透き通るように白かった。それでいて魔女のような妖美なオーラも感じれた。うん?あれ?何か石嶋に似てるな。


 ・・・・・・・・・・・


 まさかまさかまさかまさかまさかのまさかまさか?


「お前もしかし石嶋か?性転換スキルでも手に入れた?」

 俺は恐る恐るそう質問をした。


「流石泰斗君よく分かったね。そうだよ。泰斗君がいない間に性転換スキルを買ったんだよ。50万円使ってね」

 50万か。まあそこそこのお値段だけどそんなものか。つか、ヤベ今一瞬50万円が高くないと思ってしまった。いや高いよ。50万円はかなり高いよ。

 まあ俺がお金持ち過ぎってのはあるけど。


「そうか。しかしあれだ、凄く似合ってるぞ」

 取り敢えずそう言って褒める。まあ褒めるしか無くね?可愛いのは事実だし。


「えへへ。そうありがとう。泰斗君にそう言って貰えると嬉しいな」

 顔を赤らめてそんなことを言い出す。不覚にも可愛いと思ってしまった。

 うん。止めてくれ俺にそっちに趣味はない。まあ性欲ないから大丈夫だけど。


「おい、泰斗いや、泰斗様、どうしたんですかその莫大なお力は世界を滅ぼせる程の莫大な力は。その力どうすれば手に入れられるのですか。この私に教えてください」

 いきなり金山に土下座させられた。


 確かコイツは少し頭のネジが飛んでる戦闘狂だったな?

 いやはやコイツこの俺の神の力が分かるんだ。抑えてるつもりやったし。特に誰にも指摘されなかったのに。流石戦闘狂だな。


「おう。教えろと言って教えられるものではないが。まあよく俺のこの力に気が付いたな。びっくりだぞ。よければ理由を教えてくれるか?」


「はい。それは私のスキル・勝利の可能性によるものです。このスキルは相手との力量差を把握しどれくらいの確率で勝てるのか、どれくらいの強さを相手が持っているかを確かめるスキルです。このスキルによって泰斗様との勝利が0%であり私が1万の束になっても絶対に勝てないと分かってしまいました」

 1万の束になっても勝てないか。まあそりゃ俺の神の権限発動させて、全員皆殺しに終わるからだろうな。

 多分今の俺には大人数でかかってきても一定以上の力がなければいないのと変わらないからな。


 そう考えると凄いな。多分今の俺が全ての人間死ねとかいったら、超絶大英雄純武とかギリ北先生レベルの存在を除き全員死ぬからな。いやそんな物騒な事絶対にしないけど。


「なるほどね。まあ確かにそうだな。今の俺じゃあお前がいくら束になっても絶対に勝てないな」

 俺がそう言うと急に何かを決心した顔をした鉄志が来た。


「泰斗殿、今の某の実力では泰斗殿と一緒に戦うのは無理でござろう?」

 鉄志がそんなことを言ってきた。それは事実だった。多分今の鉄志の実力的には四天王の10分の1も無いと思った。俺と一緒に戦うには最低でも四天王クラスの実力は欲しいからな。


「ああ。そうだな。俺と一緒に戦うにはせめて後10倍以上の力はつけて欲しいかな」

 少し上から目線な気もしたが俺は正直にそう言った。


「分かったでござる。では20倍。今の20倍某は強くなるでござる。そしてまた一緒に敵と戦おうでござるよ」

 鉄志はそう言ってくれた。

 俺はそれを見て鉄志がカッコよすぎて少し泣きそうになった。俺が強くなっても一緒に戦える仲間いや同士でいたいと思ってるその姿が、馬鹿野郎。別に鉄志が俺より強くなくても同士な事には変わりないのに。

 だけどそう決めた鉄志の覚悟は俺には決して覆せるものではなかった。


「そうか。ありがとう鉄志」


「あ、で泰斗お前今からどうするんだ?このまま授業を受けるか?」

 北先生がそう言ってくれる。あ、そういえば今授業中だったな。


「ちなみに今何の授業をしてるんですか?」


「今?今はダンジョン起きた珍しい現象とその対処法だな」

 何それ凄く面白そう。


「面白そうなんで受けます」

 俺はそう言って空席だった俺の席に座る。


 そうして北先生による非常に面白い授業が始まった。


 30分後


 とても面白かったです。

 やっぱり北先生の授業は面白いです。


「さてと。じゃあ今から久しぶりに泰斗交えて学食で昼飯とするか?」

 授業が終わった後北先生がそう提案してくれる。


「いいでござるよ」「鉄志が一緒なら私もいいよ」「うん。良いと思うよ」「そうしましょうか」「私も泰斗に勇気の事を詳しく聞きたいですし」「あ私も聞きたい」「俺も聞きたい」「泰斗様が望むなら」

 何だかんだで皆オッケーを出してくれる。


「さてと。じゃあ学食に行くか」

 そんなわけで皆で楽しく昼飯を食べました。

 俺が異世界で起こったことを話したり。勇気の今の状況をデスキング使って調べて話してあげたりと。まあ基本俺主体で話をしました。


 そっから昼飯も食べ終わり午後の授業が始まったわけなのだが。授業内容はダンジョン攻略だった。

 行ってもよかったが、今の俺だったら正直ダンジョンそのものを破壊しそうで怖かったので遠慮しておいた。

 うん、流石に学校で使っているダンジョンを破壊なんてのは洒落にならないのでな。

 そんなわけで久しぶりのSクラス寮に行き。適当に俺が異世界行ってる間に新しく出てた漫画の新刊と前々から読もうと思ってた漫画に今やっているアニメの続き等を読み漁りながら一日を終わらせた。


 ――――――――――――――――――

 気が付いたら朝になっていた。


 死霊神となって寝なくてもいい身体になったせいか。何かに集中していると夜とか完璧に忘れてしまう。まあ楽しかったし便利やからいいけど。それに寝ようと思えば寝れるしね。

 さてと。取り敢えず学校に行って北先生の授業でも受けますか。


 そんなわけで数日間学校に行って北先生の授業を受けたりクラスの皆と楽しく過ごしたり。漫画を読み漁ったりラノベを読み漁ったりアニメを見て、ひたすらに自分の好きな事を楽しいことをして過ごしました。

 そうして過ごしててふと勇気を探すっていう依頼を受けていたのを思い出す。

 まあ、面倒だし後回しにすると決めたけど。


 だって勇気と関わったら絶対に問題事起こるやん。まあそれはそれで楽しそうだとは思うけどさあ、でもさあ、何か今それを解決しようっていう気力が起きないんだよな。

 結構な間グウタラグウタラとオタク文化にどっぷりと浸ってらせいかもしれんけど。うん。しれんというかそうだろうけど。

 何だろうな。何かきっかけがあればやる気も起こるんだが。


 ピコン

 アメリアが死霊神の加護付与の申請をしてきました。

 許可しますか?

 YES・NO


「ん?何か急に出てきたぞ。どういうことだ?アメリアって確か俺の恩人だよな。加護付与の申請って何かあったのか?これは少し気になりますね。何か異世界に対するやる気が少し出てきたぞ。まあいいや、取り敢えず許可しない理由もないし、YESっと」


 ピコン

 アメリアに死霊神の加護【大】を付与しました。

 残り付与できる数は9です。


「お、何か出てきた。つか残り付与できる回数が9回って、回数制限があるんだな。うん9回か、これは多いような少ないような。悩む数値だな。まあいっか。取り敢えず今部屋に散乱しているラノベや漫画を片付けたら異世界に行ってみるか」

 俺はそう結論を出してから部屋の掃除をし始めた。

 で、気が付いたら漫画の2週目に入っていた。まあ、掃除あるあるだと思う。


 そんなわけで漫画を暫く読んていた時だった。急に魔法陣が現れた。その魔法陣は俺が一度見たことある物だった。ようは異世界召喚の魔法陣だったのだ。

 もちろん今の俺なら簡単に破壊できるし無効化できるが。まあせっかくなのでその魔法陣をわざと喰らった。


 そして俺が異世界に召喚された。


 ――――――――――――――――――


「おい。取り敢えずまずは奴隷にしてからいつもの様にステータスを確認させるぞ」

 何かローブを着た魔法使いって感じのオッサンがそんなことを言ってくる。

 これはクソみたいな国に召喚されてしまったかな?

 そう思っていた時だった。


 ピコン

 運命改変が発動しました。

 運命が巻き戻ります。


 ・・・・・・・・・・


 神が巻き込まれました。

 神には効果がありません。

 その神が世界の壁を超えていました。

 エラーが発生しました。 

 その神は正式なる神ではありませんでした。

 更にエラーが発生しました。

 その神は今回の運命改変理由に深く関わっていました。

 運命改変をさせるにはスキルに多大なる負荷がかかります。

 ・・・・・・・

 負荷が限界値を超えました。

 エラーが発生しました。エラー・エラー・エラー・エラー。

 限定的に発動しました。

 エラーと負荷の反動で運命改変のスキルは消滅しました。


 何か急にそう聞こえた。

 確かにはっきりとそう聞こえた。

 そうしてみると、何かさっき俺に話しかけたオッサンが居なくなってて。俺の足元にさっきまでは無かった魔法陣があり周りにそれに魔力を注いでるであろう魔法使いが30人くらいいた。


 ・・・・・・・・・・・・


「え?どういう状況?」


――――――――――――――――――

 補足説明

 帝国軍の将軍・カエストロス・アレキサンデストの持つユニークスキル運命改変、滅茶苦茶強いチートスキルで普段ならば完璧に運命を改変させて、時を戻せるのですが。今回は主人公こと死霊神が深く関わったせいでエラーが発生しスキルが壊れてしまった上に主人公の記憶だけ残るという中途半端な結果になりました。

 因みに主人公の殺した光神とかも神何でスキル効きませんが、特に関わってなかった為問題はありませんでした。

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