第113話・ただいま
俺は死霊神となった。そのおかげというか、神に元々付随する能力として、一度訪れたことのある世界を自由に行き来できるという能力を手にいてた。
ほんでまあ、一応千鬼死霊大行進を使って物知りな眷属呼んで質問したら、神である主様は自由に世界を行き来できます。何の問題もありませんって言われたので、帰りますか。
まあ、何だ。アメリアとその両親との出会いもあってか、少々家族に会いたいなって気分になったんでな。
まあしかし、最初は元の世界に帰れるのに1年かかると言ってたけど、ふたを開けてみれば神になったおかげで1か月と少しで帰れるようになったからな、まあ凄いね。
ついでに言えば。どうせこっちの世界に来ようと思えばいつでも来れるし、というかまだオークションとか済んでいなければ、光神を俺が殺しちゃって起こる大問題も解決してないというグダグダ状態で進んでいるしね。
まあ取り敢えずは両親と妹に顔見して、鉄志にも顔見せて、あとは北先生にも一応の事情説明と、ユウキのハーレムメンバーにユウキがよろしくやってることを悪意マシマシで伝えたら戻るか。
こう考えてみると中々にやることがありますね、まあいいや、一つずつ確実に終わらせていきましょう。
さてと、じゃあ今度こそ帰りますか。
あ、因みに聞いたら四天王も強化が入ってて全員異世界を自由に行き来できる力を持ってたらしいんで、四天王にはもうすでに全員帰らせた。
「よし、じゃあ。死霊神である我が命ずる。我の想像する場所に転移しろ」
こんなことを言わなくても念じれば戻れるらしいけど、せっかくなのでカッコをつけ、大声でそう叫んでから俺は転移した。
―――――――――――――――――――――
転移は一瞬だった。
そりゃもう驚くほど一瞬だった。
目を開けたら、俺の想像した通りに、15年間俺が暮らしてきた家の前に転移していた。
「よし。しっかり成功してるな。さて、じゃあ入りますか」
俺はそう独り言を呟いたら、闇空間から家の鍵を取り出して、開けて入る。
「ただいま」
俺はそう言ってドアを閉める。
「もしかしてその声、タイト」
ドタバタドタドタ
お母さんがそう足音を響かせて、こちらに向かってくる。
「タイト。良かった。やっと帰ってきたのね」
そう言って俺に抱き着いてくるお母さん。
そうして俺は気が付く。そういえば俺学校に通っていたら突然ユウキに巻き込まれて転移したんだったな。そんでもって、そっから一か月以上も音信不通と。確かに心配されるな。
「お母さん。ごめんなさい。心配をかけて」
俺はそう言って素直に謝る。
「いいのよ。タイト。こうしてタイトが無事に帰ってきてくれたことだけでお母さん本当に嬉しいわ。それよりもタイトけがはしていない、ちゃんとご飯は食べてた?夜更かしとか不摂生な生活はしてない、危ない目には合っていない?大丈夫だった?」
俺を質問攻めにしてくるお母さん。
でもこれは俺を心配してくれてのことだ、お母さんからの愛情だ。俺はそれを考えたときに何故か涙がこぼれてきた。多分俺は一か月ぶりに母親に会えて凄く嬉しかったのだと思う。それでいて、死霊神なんていう神になったけど、心はまだ成人すらしていない15歳の子供だ。
まだまだ母親という存在は俺の中で大きく、無償の愛情を注いでくれる大いなる母の前では一人の子供に過ぎないから。
「ごめんね。お母さん心配をかけて、本当にごめんね」
俺は泣きながら母親に何度も謝る。
「もう。そんなに謝らなくてもいいよ。それに、男の子がそんな号泣しないの」
お母さんはそう言って俺の涙をポケットからハンカチを取り出して拭いてくれる。
「ありがとう。お母さん」
「いいのよ。さてと、タイトお腹は減っていない?お夕飯もうすぐ出来るからね」
「ありがとう。お母さん、久しぶりのお母さんのご飯楽しみだよ」
「そう言ってもらえるとお母さんとしても作り甲斐があるわね、じゃあお母さん台所に戻るわね。少し待っててね」
お母さんはそう言って台所に戻っていった。
さてと、じゃあ俺は久しぶりに妹にも顔を見せておくか。何だかんだで俺の妹だからな、別にシスコンというわけではないが。まあ妹に付く虫がいたら死ぬよりも辛い目にあわせるつもりではあるけど。
というわけで、俺は妹の部屋に行き、ノックをする。
コンコンコンコン
「誰?ってアニイ、帰ってきてたの?」
妹は俺の顔を見るや否やなんとも言えない微妙な顔をしながら喜ぶわけでもなく怒るわけでもなく、そう言ってきた。
「いや、帰ってきてたのは酷いでしょ。まあ何だ、俺がいなくて心配をかけたでしょ、ごめんな」
俺はそう言って一応謝る。
「心配何てしてないよ、だって闇助さんが私たちの所に来てアニイは無事だってことを伝えてくれたんだから」
え、マジすか、闇助そんなことしてくれてたの?
「はい。そうです。主様のご家族が心配なされないようにと思いまして」
俺が念話で闇助に質問したらすぐに答えが返ってくる。うん闇助有能過ぎませんか。後で何かあげるか。
「あ、そうだったんだね。つか、待て妹よ、何で兄である俺がアニイでその俺の眷属である闇助が闇助さんなんだ?」
「え、だって、闇助さんイケメンだし、言葉使いも丁寧だし、強いしカッコいいし、人望もあるし、イケメンじゃん。アニイの何百倍も凄い人じゃん」
酷いな。アニイの何百倍も凄い人じゃんって酷いなドストレートだな、おい。ついでにイケメンが二回入ってるぞ、何だ?やっぱりイケメンは正義なのか、イケメンなのがそんなに偉いか。こんちくしょう。つか俺だって別に顔悪くはないやろ、そりゃダンジョンにもぐる前はパットせんかったけど、美肉体と美骨格のおおかげでそこそこ良くはなったからな。少なくとも素材の味は100パーセント生かせてるからな。
はい。何か自分で言ってて急に悲しくなってきました。うん辛い。ピエン。
「まあ、にしてもあれだな。凄く可愛くなったな?もしかして闇カスダンジョンに潜って美肉体と美骨格でも乱獲した?」
俺は妹の顔を見てなんか元々可愛くはあったが、それに更に磨きがかかってい要るのと、魔力量が前会った時から何倍にも膨れ上がってるのをみてそう思い質問した。
「そうよ。よくわかったね、アニイ。まあ何。アニイのくれたスキルの書のおかげで結構強くなれたからさ、それで最初は人気どころのダンジョンで潜ってたんだけど。私よりも弱いくせいて私の容姿と力に惹かれて一緒に潜りませんかっていう誘いが凄く多くてね。そんで断ったら逆切れしたり、悪い噂を流したりしてくるし、まあ。そういうのは全て闇助さんが助けてくれたんだけど。それでどうしようか悩んでいたら闇助さんがアニイの保有するダンジョンに潜ればいいって教えてくれてさ、アニイのダンジョンならアニイの眷属が私の事絶対に守ってくれるし、面倒な人間関係もないし、凄く楽にダンジョン攻略が出来たよ」
そう言って嬉しそうに笑ってくれる妹。
うん、何だろう。何か釈然としない。兄としての威厳がない気がする、いや元々内に等しかったけど。よしここは一つ俺の凄さを見せつけてやるか。
「そうか。それは良かった、そうだ何か欲しいものはあるか?こう見てえてもお兄ちゃん神になったから、基本的に何でも出来る」
俺はなんとなとく兄の威厳を見せるためにそう言ってみる。正直少し悪訳みたいなセリフだと思ったのは心に閉まっておこう。
「本当に何でも出来るの?」
俺の言葉を疑ってくる。酷いなこれでも兄だぞ俺は。いやまあ、何でもって言ったし当然の反応かもね。まあここは一つ分かりやすいように例を出してみるか。
「ああ。何でもだ、不老不死も寿命を延ばすことも。殺したい相手を自由に殺すことも、目もくらむような金銀財宝も。勇者の持つ聖剣に人知を超えた力だって。何でも俺は与えられる」
これは全部今の俺ならば簡単に出来る。こう考えると中々に凄いな俺という存在は。
「じゃあ。闇助さんを頂戴」
「は?」
自分の妹ながら要求してきたものに対して驚きが強すぎでそんな声が漏れる。
うん。一応闇助人型で超イケメンだぞ。そんな闇助を物のように頂戴って。頂戴って。我が妹ながらショックなのだが。
「え、そんなことを言われても困るのだが。まて考え直せ、闇助だぞ。思いっきり人型のイケメンの闇助だぞ。それを物みたいに欲しいってお前。発想が怖いよ」
「いや。何言ってるの何でもしてくれるって言ってきたのはアニイの方じゃない、それとも何?アニイは自分の言葉に責任を持てないわけ?」
そう妹に凄まれる俺。うん辛い。兄としての威厳がむしろ下がった気がする。
でも確かに自分の言葉に責任を持たなければ駄目だな。うん上げるか闇助。いやまあ正確に言えば、闇助を常に妹の側においてあげるだけなんだけどね。何かの非常事態の時には徴収させるか。
「分かった。じゃああげるよ。俺も男だ、兄だ。自分の言葉に責任を持たなければならないからな。というわけで来い。闇助」
俺はまあ神になったんで。能力が超上がったからか簡単に闇助をこの場に召喚させれる。
「お呼びでしょうか。主様」
「来たか。闇助。お前に任務を与える彼女の命令に従え。以上」
「は。分かりました。主様」
そう言っていつものように俺に跪く。
「さてと、これで闇助はお前の命令を自由に聞くようになったぞ。さあ好きに闇助を使ってくれ」
俺は妹にそう言う。うん。何だろう。妹に対して絶対服従のイケメンを与える兄って、兄って辛いな。ピエン。
「ありがとう。アニイ。じゃあ次は仲間を頂戴。私と一緒にダンジョンに潜ってくれて対等に話が出来て。私よりも強い仲間を」
・・・・・・・・・・・・
は?どうやら俺の妹は俺の相乗以上におバカだったようだ。つか倫理観狂ってない?仲間を頂戴って。頂戴って。それは仲間やないやん。
「あのな。俺に与えられたらそれは仲間じゃなくて良くて部下。悪い言い方だと奴隷だろ。分かるかこの意味。それは仲間とは絶対に言えない。仲間が欲しいなら自分で探してくれ」
俺の言葉の意味を流石の妹も理解して申し訳なさそうな顔をすると思ったら開き直った。
「でも。私強くて仲間を作ろうにもできないんだもん。だから頂戴。アニイ頂戴。それと男は絶対に駄目だよ。女の子の仲間じゃないと駄目だからね。後私よりも年上過ぎても年下でも駄目だからね。年齢は私と同じくらいでね」
妹じゃなかったら殴ってるわ。
にしても難しいな。女の子で年齢が同じくらいって、そんな化け物がそう簡単にいてたまるか、どうすればいい、ん?待てよ待てよ待てよ待てよ。良いこと思いついたかもしれない。俺が行けばええやん。俺が女体化していけばええやん。
ヤバいは我ながらかなりのナイスアイデアやわ。後まあ最悪何か問題が起きて、俺が向かわなければいけないという事態になっても闇系統の影魔法・影分身という素晴らしいコピー魔法があるし何とかなるやろ。
「分かった。一つだけ良い感じの人がいたわ。年も近くて女の子で超強くて仲良く話せそうなぴったりの人が」
「マジで。それ本当アニイ」
「ああ。本当だ。流石に今すぐに呼ぶのは難しいけど、明日以降なら多分いつでも大丈夫だと思うぞ」
「マジでマジでマジで。やった~~~。嬉しいよ。アニイありがとう。初めての仲間だ」
うん。喜んでもらえて何よりだ。何より何だが。それは仲間ではないんだよな。お兄ちゃん何だよな。まあいいか。知らね。
「お~い。泰斗、風香、お夕飯出来たわよ~~~」
一階にいる母親の声が聞こえる。
何だろう俺がこの家で暮らしていた時はいつもこうして夕飯が出来たよって声を聞いて一階に降りていたな、懐かしさで泣けてきそうだ。いやまあ泣かへんけど。
「あ、ご飯できたんだ。じゃあアニイ久しぶりに食べようか」
「ああ。そうだな」
そんなわけで久しぶりに三人でご飯を食べました、とても美味しかったです。
父親はどうしたって?今日は仕事が忙しくて帰るんが遅くなるらしいからしょうがない。まあ何だかんだでそういうの多いしね。しょうがない。しょうがない。
補足説明
まだ15歳になってないはずの主人公の妹がダンジョンに潜っている理由。
コネです。
敢えてもう一度いいます。コネです。そして圧倒的な実力です。
主人公が大量にスキルの書をあげたせいで軽く人間を辞めるレベルの力を手に入れてしまった上に主人公の眷属が護衛してるということ、というか主人公の眷属が裏ダンジョン連合との繋がりがあるので細かい規則程度簡単に無視できます。
後まあ、主人公の妹は結構成長速い方なので、周りから普通に15歳以上と思われていました。
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