第107話・悪神・へレストスとの戦い

 というわけで俺はというか俺達は今聖教国の最大の神殿パレストスの目の前にいます。


 え?どうやって来たかって。そんなもの集団死霊転移を使って転移したに決まっているでしょ。まあ俺の移動手段は基本この死霊転移が多いし、当たり前だな。因みに今回の転移に協力してくれ眷属はデスキングの一員かつ俺にさっき光神についての説明をしてくれた眷属だ。この眷属の過去が気になったんで聞いてみたら。

 元々は聖教国の物凄い献身的な信者だったらしいけど、突如として仲間が聖教国の悪事を叫びながら暴れだしたらしい。それで不思議に思い自分の持ってる全ての力を使って全力で調べたら聖教国の悪事を次々と知ってしまい、落胆し闇落ち、デスキングに入ったらしい。ほんで俺の眷属となったと。

 なるほどね。まあ、中々に納得やな。つかこの暴れた奴らって俺が前冒険者ギルドで襲われて眷属にした奴らやない?というかそうだった。

 何ともなあ意外なところで繋がりますね。いやはや驚きやわ。世界は広いようで狭いですな。さてとじゃあ取り敢えず今目の前にいる聖騎士達の相手をしますか。


「さてと。しっかし流石だね。俺達が転移してからものの数分で俺らを殺すために聖騎士が来るなんて。尊敬だわ、まあ絶対に勝つけど。つかお前ら命を無駄にしたくなかったらお前らの神を呼んで来い。俺らがようあるのはそいつらだけだ、他はどうでもいいから。パレストス神殿の最奥でぐうたら三昧の贅沢三昧でいるだろ。来ないならこっちから攻めるけど?」

 俺はそう大きな声で怒鳴った。


「我らが神を愚弄するか。皆の者あの化け物どもを皆殺しにしろ」

 そう怒鳴りながら突っ込んでくる。


「いやはや。よく悪神にそこまで信仰できるな俺には理解に苦しむわ。さてと。邪魔だし殺すか。死魔法・抗えぬ死」

 俺が魔法を唱えただけで格下である聖騎士共は皆死んでいった。


「じゃあ、神殿にお邪魔しますか。皆行くぞ」

「「「かしこまりました。主様」」」

「ああ。そうだな」

 眷属達とガイメイがそう返事をしてくれる。うん。やっぱり返事をしてもらえるとありがたいですな。まあいいか。サクッと悪神を引っ張り出してぶっ殺しますか。


「じゃあ。まずは盛大に行くぞ。破壊魔法・物体破壊」

 俺は魔法を唱えて大きなパレストス神殿の門を破壊する。もちろん破壊しなくてもいいけど、そっちの方がカッコよさそうなんで破壊をする。


「ヒアアアアアア」「キャアーーーーーーーーー」「神よ、神よ、神よ」「助けて~~~~。誰か~~~」「聖騎士は何をしてるんだ」「神よ我らを助けたまえ」「こんなことして許される思っているのか」「この化け物どもめ、失せろ」

 中にいた信者たちがわめきふためく。何か少し可哀そうだな。まあこいつらは何の力もない一般人だし。殺さないでおくか。そこまで俺の心は堕ちてはいない。


「俺達はお前らに危害を加えるつもりはない。俺達が望むのは光神との戦いただ一つだ。さあ光神よ。お前の信者を守りたかったら俺達の前に姿を現せ」

 俺は大きな声で高らかとそう告げた。

 聖騎士の時は来なかったけど。今回はどうかな。


 ・・・・・・・・・・・・・・・・


「うん。来ないね。じゃあもっと奥に進んで無理やり引っ張り出すしかないか」

 俺はそう言って歩き出す。それにもちろん四天王に魔王がついてくる。

 俺は人間の形してるけど。他はまあ明らかに人外の化け物って姿をしているので、周りの信者たちは恐れて逃げ出してくれ、向かってくる聖騎士も基本弱いし、死魔法・抗えぬ死で一発即死でサクサク進んでいける。


 てくてくてくてくてくてくてくてくてく


 そうして歩くこと10分。

 凄くよさげな扉を見つけた。

 さっき破壊した扉よりも小さいが豪華で。金銀宝石で超贅沢に装飾されている。凄いなこれは。

 ここまでくると破壊するのが勿体なく感じるな。よし。全部闇空間に収納するか。

 というわけで俺は闇空間を作り出し、豪華そうな扉ごと無理やり引きちぎり、収納させる。

 その瞬間だった。


 ソイツは俺の目の前にいた。

 身長は3メートルほどの人型で、肌の色は白く髪は金色の長髪目は緑色。服装は金ぴかに輝く法王が来てそうなローブを羽織っていた。


「お前が悪神・へレストスか?」

 俺はソイツを見た瞬間すぐにそう判断した。何故ならこいつから俺と似た力を持つ気がしたからだ。


「お前。何故それを知っている?誰から聞いた。言え。言わぬとお前を拷問してこの世のありとあらゆる責め苦を負わせた後に殺すぞ」

 滅茶苦茶歪んだ顔でそう怒鳴ってくる。うん冷静さをそこまで欠くってことは、こいつにとってそれはどうしても隠したいことなんだな。まあ確かにそうだよな。だって神を殺してその地位を奪うなんて、とんでもない大罪だよな。


「ああ、そんなもの自分の心に聞けよ。クソ野郎」

 俺はそう言って拳に闇と暗黒の魔力を込めてそいつの腹めがけてぶん殴った。


 メリメリ


 俺の拳は意外にも悪神の腹にめり込みダメージを与える。


「お前。この我に傷つけるとは一体何者だ。お前のような強者我は知らんぞ。この世界にいるはずがない」

 そう言って慌てふためく、まあそうだろうな。だって異世界から来てんだから。といってもそれを親切に教えてあげるほど俺は優しくはないけど。


「何。自分で考えな。さあ。今だ眷属共一斉攻撃だ」

 俺の合図で四天王が各々悪神めがけて攻撃を放つ。ついでにガイメイも攻撃を放っていく。

 更に俺も追い打ちをかけるようにめり込んだ拳を引き抜いたら遠距離から攻撃していく。

 これで死ぬとは思っていないが。相当ダメージは入るだろう。


「お前ら。ふざけるな。この程度の攻撃で我がやられると思ったか」

 そう言って光と闇が混ざった波動を出して、無理やり俺らの一斉攻撃を無効化させる。流石神といった所か、でもそんなものは予想済みだ。


「漆黒竜召喚・目の前にいるこの悪神を殺せ」

 そう言った瞬間俺の手札の中で最強の漆黒竜がその姿を現す。

 幸いなことに悪神がぐうたらしていた部屋はかなりの広さがあり、大きい漆黒竜も楽々と召喚できた。


「GAAAAAAAAAAA」

 漆黒竜のブレスが悪神に襲いかかる。

 もちろん俺らは巻き込まれてたら危ないので距離は取っている。


「ああああああああ。イテエエエエエエエエエエ」

 悪神がもがき苦しみだす。

 流石漆黒竜だ。


「よし。お前らついでに追撃を加えるぞ。闇魔法・闇弾」

「分かりました。では闇魔法・闇弾」

「ではこちらも闇魔法・闇槍」

「ならばこちらは竜魔法・闇魔法・複合・闇竜の砲撃」

「では千の手の力を見せつけてやりましょう。闇魔法・闇弾・千乱れ」

「私も負けてられませんね。魔王魔法・魔王の波動」


 俺ら5人の遠距離攻撃で更に悪神にダメージを与えていく。

 これによって更に悪神にダメージを与えていく。ぶっちゃけこれで決める必要はない少しずつダメージを蓄積させて確実に殺せばいいんだ。


「あああああああ。クソがクソがクソがクソがクソが。お前らのような存在にこの神である我が、我が我が我が我が我があああああああああ」

 発狂をしだす悪神。いいぞこれは悪神がダメージを負っているとう証拠だ。ついでにいえば発狂してくれて冷静さを欠いてくれれば戦いも非常にやりやすくなる。


「いいぞ。皆。更に攻撃を加えてけ」

 俺はそう命令を出し。更に悪神に攻撃を与えていく。よしよしよしいいぞ。特にこちら側はダメージを負わない遠距離から敵にダメージを与えられる。最高の状況だ。


 そうして10分程遠距離攻撃でダメージを与え続けていた時だった。


「神の権限発動・下位存在強制支配」

 悪神がそう言った。俺は明らかにヤバいと思い、全力で逃げようとした。しかし特に何も起きなかった。


 敢えてもう一度言おう。特に何も起きなかった。


 ・・・・・・・・・・・・・・


「あれ?何か下位存在強制支配とか言う、ヤバそうなもの聞こえたけど、何も起きてないんだけど?」

「ああ。そうだな。不思議だ。私が戦った時は四天王全員が操られてこちら側の敵になったはずなのに」

 ガイメイがそんなことを言ってくる。いや。そんな重要な情報戦う前に教えれよ。今でこそ無事だったから良かったけど。これもしも支配されてたら超ヤバかったぞ。


「何故何故我の支配が効かない。まさかまさかまさか。お前はもう既に神の支配を受けているのか?」

 神の支配?何それ、一切覚えないけど。


「いや。そんな覚えはないっすね。それよりも隙だらけだぞ。悪神よ。行け漆黒竜今だ喰らいつけ」

「GAAAAAAAAA」

 俺の命令に従い漆黒竜が悪神を噛みつく。


「さあ。万死手よアイツを拘束しろ。俺が大技をぶっ放すまで時間稼ぎだ。他の皆俺に魔力を貸してくれ」

 俺の命令に従い、万死手は手を伸ばし喰われている上半身以外の下半身をがんじがらめに拘束し。他の眷族とガイメイは俺の肩に手を置いて魔力を貸してくれる。

 よし。これならいけるぞ。


「魔法ってのはイメージだ。さあ行くぞ。詠唱・我の魔力よ。我が同法の我が眷族の魔力よ。我が手に集え。我が闇の力よ。我が死霊の力よ。我の持つ全ての属性よ我が前に立ちふさがりし愚かなる悪神を滅ぼす力となりたまえ。さあ我が手に形作れ神を滅ぼす剣を・神殺しの刃」


 そうして俺の作り出した非常に禍々しい神を殺す刃は拘束されている悪神に綺麗に突き刺さった。

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