第105話・魔王城での出会い

 というわけで俺は今魔王城の目の前にいます。


 え?どうやって魔王城の目の前まで来たかって?

 そんなもの簡単だよ。魔王城の目の前な辺にいる眷族探して転移しただけだ。

 超絶簡単で超お手軽だ。

 そんなわけで魔王城なのだが、まあ凄いね。

 凄い立派かつ禍々しいね。よくライトノベルとか漫画で見るTHA魔王城って感じだ。期待通りだ。素晴らしい。


 ほんでもって魔王城の門の目の前にはこれまたテンプレの様にゴーレムがいる。

 これはもう突撃するしかないでしょう。


「どうもゴーレムさん。こんにちは」

 俺は適当に挨拶をしてみる。


「何だ何だ何者なんだお前は。一体何者だ。データベースに存在しないぞ。何なんだこの化け物は。」

 ゴーレムが俺の顔を見た瞬間に無機質っぽいけど結構感情のこもった叫び声を上げだす。うん。このゴーレムは自立志向型の感情持ってる系統かな。つか俺の事恐れすぎやろ。酷いな。

 理由は多分俺が死霊王ってのだろうけど。


「ん?何魔王に会いに来ただけだけど、まあいいや。取り敢えず開けてくれない。邪魔するようだったら壊すけど」

 俺は少し殺気を放ちながらそう言った。ぶっちゃけここで壊して押し入っても良かったが、もしかしたら魔王がメチャクチャいい人で仲良くなれる可能性もあるし、一応そう忠告する。


「どうぞご自由にお入りください。私の力では貴方様からこの門を守ることは出来ませんので」

 思った以上にゴーレムは物分かりがよく簡単に通してくれる。


「おお。そうか。じゃあ遠慮なく」

 そうして魔王城の中に入ったのだったが、まあ凄く豪華だった。

 何だろう貴族のお城を見ている感じだ。全体的に金ぴか金で魔王城って感じの禍々しさはほとんど感じられないな。


 ・・・・・・・・・・・・・・・


 え?ここ本当に魔王城。

 一応この世界の魔王って人間の敵で破壊を操る化け物とか言われていなかったけ?


 ・・・・・・・・・・・・・・


 まあいっか。気にするのは面倒だな。普通に魔王に会いに行きますか。

 とその前に適当な魔物を探して魔王の場所聞きますか。

 えっと、良い感じの魔物はいますかねって、まあ、パッと見た感じは誰も居ないな。そりゃ俺みたいな化け物が来たら逃げるか。

 一応魔力は多少なりとも隠してはいるつもりなんだけどね、まあ分かるか。隠そうとしても隠せない力的な。はい結構調子に乗っているね自分ながら。


「う~ん。でも本当にいないな、どうしようか。もういいや面倒やし適当に奥に進んでみますか」


 てくてくてくてくてくてくてくてくてくてくてくてくてくてくてくてくてくてくてくてく。


 そんなわけでこの豪華な魔王城を楽しく観光気分で歩くこと20分。

 結構よさげな感じのところにたどり着きました。

 ようはどんな場所かというと、ずっと続いていた豪華な感じとは打って変わって凄い禍々しさに溢れた、いかにも魔王がいますよって感じのする扉だ。

 後魔物には結局一度も会わなかった、流石におかしいと思って闇魔法・闇探知で何か生物はいないかなと探知をしてみたら。まあ最初にあったゴーレムとこの扉の奥にいる禍々しい魔王以外いなかったです。いやはや驚きですな。何でかは知らんけど。


「さてとじゃあ開けていきますか」

 そう言って俺は扉を開いた。


 そこには無茶苦茶可愛い褐色幼女が体格に見合っていない凄く豪華な椅子に座って居眠りをしていた。


 ・・・・・・・・・・・・・


「可愛すぎだろ」

 俺はその褐色幼女を見た瞬間、彼女を思う存分に愛でたいという欲求に激しく駆られた。

 性欲とかではない。ただ超絶滅茶苦茶可愛い褐色幼女ちゃんをナデナデしたい、思う存分に甘やかしてあげたいという欲求だ。

 そして俺はその欲求に我慢できずに褐色幼女ちゃんの所まで走って向かうと、そっと彼女の頭を撫でた。


 メチャクチャにフワフワで超絶心地よくていつまでも撫でれるような感じだった。


「にゃぷ。何だお前は、どうして我の頭を撫でてるのじゃ」

 褐色幼女ちゃんが起きてそう可愛い声で言ってくる。うんマジで可愛い。しかも、のじゃって、のじゃって、ほんでもって最初のにゃぷも破壊力が強すぎる。


「ナデナデナデナデナデナデ」

 俺は褐色幼女ちゃんの頭を更にナデナデする。ナデナデしまくる。


「にゃぷ。ちょっと一旦ナデナデするのを辞めるのじゃ」

 ナデナデされて気持ち良かったのか少し顔を赤らめつつも可愛い声で怒鳴って来る。うん。もっとナデナデしたいが、褐色幼女ちゃんが嫌がってるし一旦辞めるか。


「ねえ。君お名前は何て言うの、ご両親は?」

 俺は鑑定しても良かったけど、何か褐色幼女ちゃんのプライバシーを侵害する敵対行為のような気がしたのでせずに、そう質問をする。


「名前はメイメイなのじゃ。両親は1年前に死んだのじゃ」

 いきなり恐ろしく重いのをぶち込まれた。そうか1年前に両親が他界したのか。それは酷な事を質問してしまったな。


「それは。ごめんな。酷な事を聞いてしまって」

「いいのじゃ。悲しいことじゃけど、我がいつまでも引きずってもしょうがないでごじゃるからな。それよりもお主は一体何者じゃ?そして、何で魅了が効いていないのじゃ?」

 メイメイちゃんにそう言って不思議がられる。

 魅了が効いていない?まさか、俺死霊王になって性欲がほぼというか死んでるから魅了が中途半端にしか効いてないんじゃね?というか両親の死を割り切れるんやな。心が強いな。メイメイちゃん。俺だったら絶対に無理だわ。


「魅了が効いてないわけではないよ。メイメイちゃんを愛でたいという欲求は凄いあるよ。それにメイメイちゃんが望むことで俺の出来そうな範囲のことなら叶えて上げたいとも思ってるよ」

 これはまあ事実だ、今もメイメイちゃんをナデナデしたい、抱きしめたいという欲求を必死にこらえている。

 ついでに言えば俺は自分で言うのもアレだが結構力があるし。メイメイちゃんの為に何かしてあげれないかなとも心から思う。多分こう考えるのは意外とガッツリ魅了が効いてるんだろうな。まあメイメイちゃん可愛いから良いけど。


「じゃあ。両親を生き返らせて欲しいのじゃ」

 想像以上に難易度の高いのきちゃったよ。

 超絶完璧に保存された死体があれば。死霊王となり化け物レベルで強くなった俺なら多分蘇生出来るかもだけど、流石に1年もたってるかつ死体のなさそうな物は無理やぞ。いやもしかしたら死体保存してるかも。一応ダメ元で聞いてみますか。


「ご両親の死体が綺麗な状態で残っているなら出来るけど。死体が残っていなかったら無理だよ」

「え?それって出来るってことなのじゃ?死体が綺麗な状態で残ってるなら生き返らせることが可能ってこのなのじゃ?」

 凄い驚いてるメイメイちゃんクソ可愛い。つか、その驚きようもしかして残ってる的な感じですか?


「ああ。出来るよ。死体が綺麗な状態で残ってるならば蘇生は多分可能だよ」

 俺が再度そう言うと、物凄い満面の笑みをメイメイちゃんが浮かべてれる。超可愛い。


「残ってるのじゃ。ミスルスオジサンが氷魔法で氷漬けにして保存してくれたのじゃ。もしかしたら蘇生出来るかもしれないと言って」

 そのミスルスオジサンが誰かは分からないけど素晴らしい判断やな。しっかし氷魔法で氷漬けならば痛いの損傷も少なそうだし、結構簡単に蘇生出来そうだな。


「じゃあ。案内をして貰っていいかな?」

「分かったのじゃ。こっちなのじゃ」

 そんなわけでメイメイちゃんが俺の手を繋いでその場所まで案内してくれた。

 因みに手がプニプニでめちゃ可愛かったです。


 ―――――――――――――――


 というわけで案内された場所には立派な角と翼を携えた紫色をした筋骨隆々、THA魔王みたいなオッサンと。褐色肌でボインのTHAダークエロフもといダークエルフの氷漬けがあった。

 なるほどね、これがメイメイちゃんのご両親ですか。

 遺体の損傷はパッと見た感じなさそうだし、これは蘇生出来そうだな。

 取り敢えずまずは邪魔な氷を消滅させるか。


「消滅魔法・物体消滅・氷」

 俺は氷だけを魔法を使い消滅させて遺体を取り出す。


「さてと。じゃあ気合を入れて頑張りますか。死霊魔法・死者蘇生」

 俺は本気で魔力を込めて死者蘇生を開始させる。死んでから1年以上たっているからか、この二人が超強いのか、はたまたその両方かは分からないが。いつも行う死者蘇生とか比べ物にならないレベルで魔力が消費されていく。

 死霊王ということで闇系統魔法は凄くコスパよく扱えるはずなのに、魔力がガンガン削られていく。吸われていく。


 これはヤバい。

 でも耐えろ俺。メイメイちゃんの両親を蘇らせてメイメイちゃんを喜ばせて上げるんだ。


「ハアアアアアアアアアアアア。行け行け行け行け行け行け行け行け行け」

 俺は気合を入れるために声を出し、更に魔力を込めていく。


 そして俺の全体の魔力の9割以上を削った辺りでいきなりだが二人の死体に何かが舞い降りた感覚がした。


「ここは一体」「我は死んだはずでは」

 ダークエルフとTHA魔王が蘇った。


「お母さん」

 メイメイちゃんがそう言ってダークエルフもといお母さんに抱き着く。うん感動の再開だな。出来れば俺もその輪に加わりたいな。


「もしかして、貴方が、いえ、貴方様が私を蘇らせてくれたのですか?」

 THA魔王もといメイメイちゃんのお父さんがそう言ってくる。まあ状況的に俺以外蘇らせてくれた人いないわな。


「そうだよ。俺が蘇らせた。いや何だ、メイメイちゃんが両親を蘇らせて欲しいって頼んできたからな。超絶可愛いメイメイちゃんの頼みだ、断れるはずがないだろ。しっかし、一体何でアンタは死んだんだ。今蘇らせてみた感じとこうして対面してみて分かったんだが。相当な魔力の持ち主だな。それこそ俺に迫る勢いだ。そんな存在があっけなく死ぬとは到底思えないのだけど」


「はい。それが神にやられました」

「神だと?」

「はい神です。この世界をお創りになられた神の一柱、光神にやられました。我、いや、私としましても精一杯戦い、何とか光神の右腕を潰すことは出来ましたが、それが限界で、心臓を貫かれて死んでしまいました」

「なるほどね。じゃあ、俺とアンタと俺の眷族で戦えば勝てそうだな」

 多分俺の方がメイメイちゃんのお父さんよりも強いと思うので、そのお父さんが右腕を潰せてるんだ。多分協力すれば勝てるやろ。

 なんなら今から倒しに行きたいわ。


 何故って?光神なんていう死霊王の俺からしたら天敵みたいな存在を残したくないからだ。

 後普通にメイメイちゃんの幸せの為だな。またメイメイちゃんの両親が光神によって殺されて、遺体も跡形もなく消滅させられたら流石に俺も蘇生が出来ないしな。


「勝てそう?もしかして光神と戦うおつもりですか?」

「そうだけど、何か、アンタでも右腕を潰せたんだろ、じゃあ協力すれば殺せるやろ」

「はい。しかしそれはかなりまぐれに近かったですし。流石に二人だけでは厳しかと」

 俺の眷族突っ込むから二人だけではないけど、でも、確かにこの世界の俺の眷族は強い奴ほとんどいないしな。結構キツイな、せめて闇助含む四天王が居てくれたら大分楽なんだろうけど。まあでも最強の切り札漆黒竜がこっちにはいるしな。でも四天王はやっぱりいて欲しいな。

 マジでアイツら化け物レベルに強いからな。ついでに俺が死霊王になったことで多分更に強くなってるだろうし。俺が召喚されたみたいにアイツらを召喚出来たらいいんだけどな。


 ・・・・・・・・・・・召喚?


 待て待て待て待て待て待て待て待て待て

 とんでもない事思いついちゃったよ。

 呼べるやん四天王。呼べるやん四天王。そうだ召喚すればいいんだ。

 俺は今死霊王だけど。確か前暇だった時に属性を変換させたら召喚王になった。

 その時はあまり深く気の留めなかったし。死霊王の方が圧倒的に強かったからすっかり記憶から削除してたけど。召喚王になって向こうの眷族達を召喚して死霊王に戻ればいいんだよ。

 完璧やん。召喚やったらこちら側で世界を渡るときの負担をなくせる、もしくはほとんど無くせるから、ノーリスクで四天王を呼べるやん。


「思いついたら即実行だ。よし召喚を始めますか。属性転換からの召喚・我が眷族【魔竜人・ダースカルム】・【骸王・デモンデスリッチ】・【万死手・ヘカントケイル】・【闇助】」

 俺は眷属の中でも最も強い力を持つ四天王を召喚してみる。


 そうしたら床に大きな魔方陣が4つ現れて俺の超絶頼りになる四天王が召喚された。


「「「「お呼びでしょうか。主様」」」」

「よし、しっかりと成功したぜ。イエイ」

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