第93話・王都への旅路

 というわけで、王都に向かうことになったけど。どうやって行こうか。

 お嬢様の事を考えたらあんまり派手なのは危ないしな。俺一人だったら走っていくけど。かといって適当に竜を探して殺して眷族にして飛ばすにしても、お嬢様は普通の人間だから、竜の飛行に耐えれないだろうし。後流石に目立つな。

 そうなると・・・馬車かな?でも馬車だと時間がかかりそうだし・・・もう自分で馬車作ってデスホース的な感じで眷族作って行くか。うん。それが一番良いかな。

 よし、そうするか。


「お嬢様、今から馬車の準備をしますので。少しお持ちください」


「分かったわ。その間私は漫画読んでるから」


「ありがとうございます。お嬢様、では、すぐに馬車の準備をしてきます」

 俺はそう言って、宿を出てから歩いて城塞都市を出た。


 ――――――――――

「さてと、人もパッと見た感じいないし。サクッと馬車作りますか。というわけで、千鬼死霊大行進・部分発動・馬車作り眷族」


 そうして現れたのは、立派な髭と角を携えた鬼と、上半身ムキムキで下半身はスケスケで一切見えない死霊3体だった。


「お呼びですか、主様」


「やあ何、今から耐久力の高い馬車を作ろうと思ってな、頼めるか」


「もちろんでございます。ご主人様」

 そう言って頭を一斉に下げる眷族達。


「あ、それで、どれくらいで馬車出来そう?俺としては出来るだけ早く作って欲しいんだが」


「そうですね、でしたら30分程時間をいただけますでしょうか」


「分かった、30分ね。じゃあよろしく」


「はい。最高の馬車を作って見せますよ。ご主人様」


 ――――――――――


「さてと、じゃあ俺は眷族達が頑張って馬車を作ってる間に馬となる眷族を創りますか」

 俺は邪魔にならないように馬車を作ってる位置から少し離れて呟いた。


「まずは、材料・・・そうだな、取り敢えず魔石と魔石と魔石と魔石かな。うん、魔石は万能って、流石にそれは難しいか。えっと、闇空間の中に馬の魔物の素材はあるかな」

 ・・・探すこと5分・・・


「有った、いや~~~、あるもんやな馬の魔物の素材、流石俺の眷族達だぜ」


「というわけで作っていきますか、用意するのは。馬の素材ワンセットとクズ魔石1000個にそれなりに良さげな魔石をいくつか用意してと・死霊魔法・死霊創生・死霊強化」

 俺は立派で強そうな馬を想像して魔法を唱えた。

 用意した素材が光り輝き、集まり馬となった。

 見た感じは死霊という感じではない、大きく立派な馬って言うか、いや、大きすぎない、この馬?

 大体3メートルくらいあるよ。まあ、異世界だし何でもありか。うん、そうだな。よしオッケー。さてと、眷族が馬車を作り終えるまで眷族から送られてくる大量のスキルの書を消費して待ちますか。


 ―――――25分後―――――

「さて、そろそろ馬車を見に行きますか」


 テクテクテクテク


「お、出来てるな、というか凄い豪華だな」

 出来ていた馬車の大きさは大体、縦横3メートルぐらいとかなり大きくて、タイヤも6つあり、安定性も超絶抜群、後は純粋にお姫様が乗ってるんですかってくらい豪華。マジで煌びやかで豪華。これはお嬢様も満足してくれるだろ。


「どうでしょうかご主人様」


「そうやな、まあ、良い出来だわ、というわけでありがとね、一応これ報酬な。死霊には死霊魔法・死霊強化と鬼にはこの身体強化のスキルの書を上げるわ」


「ありがとうございます。ご主人様」


「こちらこそ、良い馬車をありがとう、というわけでありがとね、千鬼死霊大行進解除」


「さてと、馬も馬車も揃ったしお嬢様の所に行きますか、死霊魔法・死霊転移」


 ――――――――――


「お嬢様、馬車と馬の準備が出来ました」


「あらそうなの、後少しこの漫画読み終わるからそれまで待ってくれる」


「分かりました。では、その間に宿の受付に出ることを言ってまいります」


「そう、分かったわ」


 ―――――受付にいき、もうすぐこの宿を出ることを伝えてお嬢様の所に戻った。


「読み終わったわ。さあ、早く行きましょう」


「そうですね、ではお手を拝借します。死霊魔法・死霊転移」

 俺はお嬢様の手を握り馬車の所まで転移した。


 ――――――――――


「これがお嬢様の為に用意した馬車でございます」


「わお、凄いわね、あんな短時間でこの立派な馬車を用意したって言うの。流石じゃないの。褒めて遣わすわ」


「ありがとうございます、お嬢様、では、早速参りましょうか」

 俺はそう言って、馬車のドアを開けて気が付く、あれ?馬車の中広くなってないと。


「何これ。おかしくない、広くない?え?」

 お嬢様が本気で驚いている。いや驚いているお嬢様可愛いな。というかこれは多分あれだな、空間魔法で馬車の中広げてくれていたのかな。

 うん。多分そうだな。いやありがたいな。これはもっと報酬渡してても良かったかもな。


「はい、お嬢様が窮屈しないように広くしておきました」

俺も今知ったけど、一応気を利かせてそう言う。


「そうなの、気が利くじゃない。まあいいわ早く行きましょう」


「そうですね」

 俺はお嬢様と一緒に馬車に乗り込む。

 馬車の中に乗り込んで気が付く、思った以上に広いなと。多分中の広さは5メートルはあるな。後何このソファー、フカフカやん。ほんで机もあるやん。つか?え?冷蔵庫がある。

 いや、凄すぎやろ。俺の眷族有能過ぎやん。これは絶対に持っと報酬を渡すべきやったわ。


「ちょっと、あんた何乗ってるの、馬は誰が操作するの」


「いや、大丈夫ですよ。おい、馬車引き用の馬眷族。王都に向けて真っすぐ出発だ。後何かあったら言え」


「分かりました。主様」

 馬が俺にそう言うと、王都に向けて出発を始める。


「え?今の何、眷族ってどういうこと?というかもう出発してるの、全然動いてる感じないけど」

 更に驚くお嬢様。うん、やっぱり驚いているお嬢様可愛いわ。


「はい、動いてますよ。眷族ってのはそのまんま私の眷族という意味です。まあ、お嬢様何もしなくてもこのまま動いてるんで、のんびりしてください」


「そう、分かったわ。じゃあ漫画を出してくれる」


「分かりました。お嬢様。ではおくつろぎ下さい、それと、お腹が空いたり喉が渇きましたら、いつでもお申し付けください」


「そう。分かったわ」


 ――――――――――

 3時間後

 ――――――――――

 特に何事もなく順調に進んでいき、一つ目の街を通り過ぎた。

 お嬢様もソフカフのソファーで寝そべってジュースとお菓子を机に置いて漫画を楽しんでいる。

 俺も同じように向かいにあるソファーに寝そべって漫画を楽しんでいる。

 うん、凄い楽だな。王都に馬車で向かうって言ったら普通トラブルとかがありそうなもんだけどね。


「主様。目の前で馬車が盗賊らしきならず者に襲われています」


「うわ、フラグ回収早すぎだろ、まあいいや、取り敢えずどんなもんか確認してみますか。死霊魔法・死霊視界共有」(眷属との会話なので口には出していません)


 俺は馬の視界を共有させて確認する。

 ふむふむ、俺の乗っている馬車には劣るけど中々豪華そうな馬車が一台、馬に乗った身なりの汚い男どもに襲われていますね。


 あ、でも豪華そうな馬車の周りに屈強な馬に乗って鎧を着た騎士みたいな人がいるな。

 お、戦い始めた。でもあれだな、盗賊(仮)の人数は30人もいるのに対して、騎士(仮)の人数は4人だな。もちろん騎士(仮)の方が強いっちゃあ強いけど、数を考えると盗賊(仮)の方が優位だな。


 さてと、こっからどうなりますかね、お、騎士(仮)が一人殺された。均衡が崩れた、これは盗賊(仮)の勝ちかな?

 さてと、俺が手をだしてもいいけど、というか手を出して解決したいけど、今はお嬢様がいるしな。一応お嬢様に許可を取ってみますか。これで拒否されたら。しょうがないから、遠隔で死魔法・抗えぬ死使って盗賊だけ殺しますか。


「お嬢様、このすぐ近くで盗賊によって馬車が襲われていますが、助けましょうか?それとも見捨てますか?」


「そうね、う~ん、じゃあ、助けてあげなさい。そんでもって助けた報酬と言ってそれ相応の対価を貰ってきなさい」

 何故か知らないけど、ソファーの上に立って俺に指をさしながら、高らかに命令をしてきた。

 うん?漫画に影響を受けてないお嬢様?いや、まあいいけどさ。

 さてと、お嬢様のオッケーも出たし助けに行きますか。


「死霊魔法・死霊転移」

 取り敢えず、俺の馬眷属の所まで転移する。

 ドアを開けてもよかったけど、こうやって転移した方がなんとなくカッコいいんでね。

 転移をした後、俺は襲われている場所まで走った。といっても距離は100メートルぐらいしかないんで秒でつくけどね。


「はい、というわけで、到着しました。どうも皆さんこんにちは通りすがりの騎士ごっこしてる者です」

 元気よく自己紹介をしてみる。


「おい、お前死にたいのか、俺たちが誰だか分かってるのか?あ、オイ」

 盗賊(仮)の一人が俺にナイフを突きつける。

 なので闇空間から漆黒魔剣を取り出してソイツの首を切り落とした。


「ハハハハハハハハ、強い奴がいるじゃないか」

 盗賊(仮)の中でも特に筋肉がムキムキのガタイが良く大きな斧持った奴が笑いながら俺に襲いかかって来る。

 てなわけで漆黒魔剣で首を切り落とした。うん、弱すぎるな。いや、俺が強すぎるのか。そうやな邪竜を殺してレベルが大分上がったしね。


「ヒ、お頭が殺されたぞ。皆逃げろ~~~、こんな化け物勝てるわけがない」

 一人の盗賊(仮)が情けない声を上げて逃げ出す。それを皮切りに他の盗賊(仮)も逃げ出す。というかお頭って言ってるし。多分盗賊で合ってそうだな。


「あのね、逃げられると思ってるの・闇魔法・闇触手」

 取り敢えず俺は逃げ出そうとしている盗賊を全員触手で縛り上げる。


「さてと。騎士(仮)の皆さん大丈夫?というか助けて良かった?もし駄目だったら盗賊を蘇らせてやり直しさせるけど?」


「は?蘇らせる?いや。大丈夫です。あの助けて頂いてありがとうございます」

 騎士の一人が戸惑い気味で返事をしてくれた。因みに見た目は兜も被ってるフル鎧でよく分からないが、声的に多分オッサン。


「どうも。あ、一応本当に悪者か確認してみるか。悪魔法・悪感知・・・・・うん、しっかりと盗賊はアウトで騎士(仮)はセーフやな、というわけで、死魔法・抗えぬ死」

 情報が必要ならば眷族にすればいいと思い盗賊を全員殺した。後、悪感知で悪じゃないと分かったし。高潔な騎士ってので合ってる感じやな。


「は?今の魔法は一体何じゃ?」

 一人の騎士が恐れるように声を絞りだし言った。こっちの声は老人のような声だった。


「いや、何自分よりも格下の敵を皆殺しに出来る素晴らしい魔法だよ。まあいいや、さてと俺は盗賊に襲われてピンチの貴方を助けた。というわけで報酬を寄越せ」

 俺はニコリと笑って言った。


「報酬だと。ふざけんな!この化け物め、お前がいなくてもあの程度の盗賊、俺の力で追い払えたわ」

 先ほどの二人とは違った、若い青年のような声の騎士が俺に怒鳴った。

 一応悪感知では反応しなかったのを考えると見栄を張ってるって感じかな?悪い子ではないんだけど、どうしてもカッコつけたいんだろうな。

 ふむふむ。まあ、俺そういう人間嫌いだからお仕置きしますか。


「なるほどね、そういうことを言うんだ、こっちはお前らを助けた恩人なのに、じゃあ、やって貰いましょうか。死霊魔法・死霊生産・命令だ。あの騎士を殺せ」

 俺は死霊生産で盗賊全てを眷族にした後、俺の力で追い払えるとかほざいた騎士を襲わせてみた。これで勝てたら、まあ、俺が手を出したのは間違いだったと。報酬は無しにしてやってもいい。もし負けたら思いっ切り吹っ掛けてやるか。というか。普通にああいう、見栄を張って上から目線でもの言うやつ嫌いなんだよね。完璧に俺の好みの問題だな。まあ、何かあったら蘇らせればいいしね。


「了解しました。主様」

 もちろん勝負は一瞬で着いた。

 盗賊の頭ではなく俺の眷族が大きな斧を一振りしてその騎士の頭を両断した。

 まあ、ですよね。だって俺の眷族になってるから能力爆上がりしてるもん。まあでも一撃で終わりか。これは普通に戦っても負けてそうだな。クソ雑魚じゃないか。よくあんな見栄を張ったな。


「は?は?は?、ああああああああ、お前今何をした。クレイトに何をした。いや、そもそもお前は何だ。何だ」


「いや、そんな怖がられると傷つくな。まあ、いいやそれよりも早く、報酬を頂戴な。というか寄越せ」

 俺が少し横暴な態度を取ったからだろうか、それとも盗賊を蘇らせて騎士を殺したからだろうか?まあ、理由は何にせよ。俺はまだ生きている騎士に剣を突きつけられて殺気をガンガン出された。


「お前を殺す」

 何か凄いカッコつけられてそう言われた。

 いや、うん。コイツは馬鹿なのだろうか?絶対俺には勝てないの分かってるよな?何どれだけ仲間思いなんよ?いや、つか普通に報酬をくれたら蘇らせてあげたのに。

 ああ、どうしようか。もう面倒やし。全員殺して眷族にしようかな?


「死魔法・抗えぬ死」


 そして、俺に歯向かった愚かな騎士は死んだ。


「はい。というわけで、死霊魔法・死霊生産」

 俺は騎士を全員死霊にした。


「取り敢えずあんたらのご主人様を呼べ。そして報酬を寄越せ」

 俺は元騎士、いや眷族に適当に命令を出す。


「分かりました」

 眷族は馬車の扉を開けて中から可憐な美少女を連れ出して来た。

 いや、まあ、テンプレ的に何となく予想はついていたけど、うん、これはお嬢様とは違ったタイプの美少女ですな。サラサラの金髪に白い肌、手足は細いけど何故か力強さを感じる。

 そうだな、例えるならば天使のような女性だった。


 そんな、彼女は俺の顔を見た瞬間。


 オロオロロロオロロロロロ


 盛大にゲロを吐いた。

 いや、人の顔を見てゲロを吐くとか失礼の極みだろ。

 というか何?普通にショックなんだけど。

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