第88話・外伝・勇者召喚
「我が国をお救いくださいませ勇者様」
俺は目が覚めたらいきなり、お姫様の着るような美しいドレスを身に纏い、金髪で緑眼のずば抜けた美貌を持つ女性にごつい甲冑をきた騎士のような人、ゆったりとしたローブをきて長いひげを持つ魔法使いあるいは賢者のような人達に囲まれながらそう言われた。
「ここは、もしかして異世界、それも勇者召喚ですか?」
俺は周りの格好に、勇者様という言葉、そしてあの悪魔との戦闘中にいきなり現れた魔法陣を考えて、その結論に至る。
「はい。その通りです。勇者様、我が国は今邪知暴虐なる帝国との戦争によって危機に陥っております。村々は帝国の兵どもによって蹂躙され、兵士たちも無残に殺され。町を砦を占領され、もう、我が国は滅亡の一歩手前です。そしてこの窮地を脱出すべく、我が国は勇者召喚の儀式を行いました、どうか、この通りです勇者様我が国をお救いください」
多分お姫様であろう人がそう言って俺に土下座をしてくる。
・・・・・・・・
可愛い女の子が今初めてあった人に土下座までするほど苦しみ切羽詰まっている、これは助けなければならない、邪知暴虐な帝国とやらをこらしめなければならないな。そうだ、でなければ勇者ではない。
「分かりました。だから顔を上げてください、そんな地べたに頭をこすりつけてはせっかくの可愛い顔が汚れてしまいます」
「勇者様、ありがとうございます、ありがとうございます、ありがとうございます」
お姫様が顔を上げて勇者もとい勇気の服にすがって嬉し泣きをする。
それを勇気そして、周りにいた騎士に魔導士達は決して咎めず、むしろ同じように嬉し泣きをした。
それほどまでに王国は切羽詰まっており、勇者というのは希望であったのである。
3分後・ようやく姫様が泣き止んだ。
「すみません、勇者様、お見苦しい姿を見せてしまって、では、今から我がお父様である国王n」
姫様が勇気を国王の下に案内しようとした時だった。
バタン
一人の兵士が息を切らしながら扉を開けて叫んだ。
「城内に帝国兵が侵入しました、狙いは王族です。姫様早く避難をををををを、あああああ」
グチャ
兵士がいきなり奇声あげて爆発した。辺りが血にまみれる。
「キャアアアアアアアアアアアアアアアア」
姫様の悲鳴が鳴り響く。
「あら、いい声で鳴くね、姫さん」
突如、爆発した兵士の所に一人の男が現れた。
「お前、何者だ」
騎士が剣を向け怯えながら叫ぶ。
「あら、そういえば紹介がまだだったね、私は帝国軍特殊部隊所属・空間魔法の使い手・スリーよろしくね、ま、全員皆殺しにするから自己紹介をしても意味はないかもだけどね」
「お前死ぬ覚悟は出来ているか」
帝国軍の言葉を聞き怒りに震えた勇気は静かにそういった。
「ハハハハハ、死ぬ覚悟ですって、私がお前らみたいな雑魚に殺されるわけがないじゃないの」
「そうか、救いようがない屑だな、お前はあの悪魔以下だ、一閃」
その攻撃に音は無かった。
一切の音を立てずに一瞬で帝国軍の首が飛んだ。
「もう、大丈夫ですよ姫様、敵は俺が倒しましたから、では、今から他にもいるであろう敵を殺してきますので、しばらく待っててください」
勇気は笑顔でそう言って、部屋から飛び出て帝国軍という敵を殺しに向かった。
――――――――――――――――――
「もっとだ、もっと殺させろ、殺せ、殺せ、殺させろ」
帝国軍特殊部隊所属・血使いの・ファイブは兵士を殺して笑っている最中に兵士の悲鳴で駆け付けた勇気によって一瞬で切り殺された。
――――――――――――――――――
「私の実験材料になりなさい」
帝国軍特殊部隊・毒使いの・シックスは兵士を使って新毒の実験をしていたところ、毒の異臭で駆け付けた勇気の放った光魔法で殺され、毒で死にかけていた人たちも、勇気の神聖魔法で治療された。
――――――――――――――――――
場所は王の間、そこには国王と帝国の暗殺者しかいない。
国王を守ろうとした騎士に魔導士達は全員殺され、近くにいた大臣に側近達は国王を見捨てて逃げていた。
辺りは騎士と魔導士の血肉が散らばっており、豪華絢爛だった王の間は地獄のような場所になっていた。
「さあ、国王よ、これで終わりだ」
「ああ、そうだな、しかし、儂を殺した所で第二、第三の王が即位する、例え、今は負けてもいつかは必ず帝国を滅ぼしてやる」
国王はそう言って、目の前にいる暗殺者を睨みつけた、しかし、国王はもうこの国は終わりだと思っていた、第二第三の王といっても今王になる資格を持つもので自分よりも優れた人はいなかった。
このまま帝国によって国は亡びそうだと思っていた。ただ最後にふと、魔導士達とともに勇者召喚の最中であろう一人娘を思い出し、彼女だけは生き残ってくれと思いながら死を覚悟したその時だった。
「光魔法・光弾」
突如光の弾が暗殺者に当たった。
「まだ、魔導士が残っていたか」
暗殺者は、一旦国王から離れてあたりを見渡した。しかし、そこにいたのは魔導士ではなかった。
この王国の最後の希望であり、王国最強の存在である勇者であった。
「俺の名は勇気、この国の勇者であり、お前を殺す者の名だ」
勇気は怒りに震えていた。この場所に入った瞬間散らばる人の死体を見て、そして、今まさに人を殺そうとしている存在を見て。そして勇気はこの時心の底から理解した、帝国というのは悪であると、残酷に人を殺し国を滅ぼそうとする悪であると、そして、その悪を滅ぼしてこの国を救おうと決意した。
「勇者だと、ハハハハハハ、そういえば勇者召喚とかいう糞みたいな儀式で呼ばれたお前が俺を殺すだと、ふざけているのか」
「いいや、ふざけてないね、俺はお前みたいな残酷に人を殺すクズには絶対に負けない」
「そうか、じゃあ、やれるものならやってみな」
「言われなくてもやってやるよ、勇者奥義・悪即斬」
勇気の放った攻撃は彼が悪と決めたものに対して音を超える速さで切り付ける技、これだけならば、勇気の身体能力と魔法を持ってすれば出来るが、この技の本当の効果は切り付けられた者の傷は絶対に癒えず、悪化していくという点だ。
その技はまるで吸い込まれるかのように暗殺者の腹を切り裂いた。
「グハ、痛いな、しかしこの程度の傷、帝国軍特殊部隊・再生使い・ワンの力をもってすれば簡単に再生できるはずだ。はずなのに、何故だ、何故、再生が出来ない。癒えない、癒えない、癒えない、傷口が開いていく、痛い、痛い、痛い、ああああああああ」
腹にできた傷は癒えぬまま広がっていく。
血が溢れ、肉は腐り、内臓が零れ落ち、骨が見える。
普通の人間ならば死んでいるであろう致命傷、しかし、帝国軍特殊部隊として鍛え上げられた彼は死ねず、長く苦しみを味わうことになる。
「このまま、自分の行いを後悔しながら死ね」
勇気はそう吐き捨てると、殺されそうになっていた王のところに駆けつけた。
「大丈夫ですか、大臣さんが国王様が危険だ助けに行ってくれと、救援要請を頼まれたので駆けつけました、何とか貴方だけでも助けられて良かったです」
「ああ、そうか、大臣がか、すまない、助けてくれてありがとう」
「どういたしまして、それでは、私は他に帝国軍の残党がいないか確認してきます」
勇気はそう言って、また、王城を駆けていった。
勇気が帝国軍を探して走っている最中だった。
レベルが上がりました。
急にレベルが上がったという謎の声が聞こえた。
「レベルが上がっただと、何だ、それゲームみたいなって、そんなことを考えている場合じゃない、帝国軍が他にいないかを確認しなければ」
30分後
勇気は走り回ってなんとか帝国軍を全て殺した。
ただ、本当ならば勇者というものは召喚された時は弱く、あっけなく殺され、そのまま王国は国王を失い滅亡するはずだった。
それを、勇気という規格外の力を持つ勇者が崩した。
それによって戦争はより激化する、それはやがて王国と帝国の一部分だけでなく全てに広がり両国の血と血で洗う総力戦に発展することは、この時はまだ、誰も知らなかった。
―――――――――――――――――――――――
補足説明
勇気は自分の名字を名乗ることが嫌いです。
勇気は意外とライトノベルを読んだりゲームをしているため、そういうのの知識がある程度あります。
勇気ハーレムメンバーはなかったことでお願いします。もちろん、勇気がハーレムメンバーのことを思い出して寂しくなるシーンなんかは書こうと思ってますが、新たなヒロイン姫様や今後出す予定の新たなハーレムメンバーによって心を持ち直します。
勇気が途中でレベルアップした理由は帝国軍の暗殺者が死んだからです。
何故帝国軍特殊部隊が王城に侵入もとい侵略しに来たかというと、空間魔法使いのスリーが城に行ったことのある王国の兵士を捕まえて、強制的に城に転移したのち仲間を転移させたからです。
王様を殺そうとしていた、暗殺者もとい再生使いの・ワンは本当ならばめちゃくちゃ強いです。
彼の力再生はありとあらゆる全ての傷を癒し、敵に触れたり、自分の魔力を纏ったナイフなんかを当てれば再生を過剰再生にして爆発させる感じで殺せます。
なので、王の間は血肉が散乱していました。因みに時間差なんかも可能です。
後勇気はめちゃくちゃ強いです。少なくとも勇者の力を完璧に使いこなせるようになれば眷属なしの主人公を殺せるくらいには強いです。
因みに大分前にある勇者召喚のフラグみたいのは後々しっかり回収します。
一応帝国でも勇者召喚という名前の異世界の因子を持った強い成長力を持つ者を拉致る魔法を使用していますが、今のところは雑魚ばかりが召喚され中止になりました。しかし、勇者召喚で勇気という化け物が召喚されたのを知り実験を再開します。
ほんで、異世界の因子を持ったって設定なので、後は察してください。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます