第87話・邪竜を手懐けるとか面白そうだけど、常識的に考えたらエサと場所でクソ面倒だな
取り敢えず聖教会のせいで脱線したけど当初の目的であるSランク目指して依頼を適当にこなしていきますか。
てなわけで、良さげな依頼がないか依頼表とにらめっこをすること5分。
何かこうかパッとしない。
うん、私的には竜退治みたいに派手で強そうな敵と戦いたい。それなのに今ある依頼で一番強そうな敵がオークの集落を潰せ、もしくは、近頃現れている盗賊団を探しだして皆殺しにしろの二つだ。
うん、何かパッとしない、いや、まあ出来るしやったら楽しそうだけど、もっとこうSランクに上がれるってぐらいド派手な依頼をこなしたいわ。まあ、そう都合よく依頼はないか、よし、この二つを受けますか。
そう思って受付に行き依頼を受けた後だった。
ドンって、勢いよく扉が開き、ゴツイオッサンじゃなくてギルドマスターが慌てて叫んだ。
「大変だ、大変だ、大変だ、魔の森に邪竜が出た、そして、今この都市に向かっている」
「「「ハアあああああああああああああ」」」
冒険者たちの叫び声が見事にはもる。
うん、マジかよ、超絶都合よくSランク行けそうな依頼起きたよ。俺の運良すぎやろ、これは俺が一人で邪竜殺すしかないな、うん。それしかない。
「おい、邪竜だと」「もうこの世界は終わりだ」「お前、今すぐ逃げなきゃ」「いや、無理だろ」「ああ、死んだ、死んだ」「いや、待てよ、諦めるな全員で挑めば」「いや、無理でしょ」「いや、無理って決めつけるなよ」「それに邪竜を殺せば英雄だぞ」「確かに邪竜殺しってそれこそ伝説の英雄のそれだな」「おう、じゃあ、俺が邪竜殺しになろうかな」「はっはっは、邪竜のエサの間違いだろ」「あ、言ったな」「いや、お前らふざけるなって、どうするんだよ、これから」「諦める」「神に祈る」「神を呪う」「絶望に打ちひしがれる」「逃げる」「お前ら身勝手だな、まあ、俺も逃げるけど」
冒険者もとい俺の眷族達がザワザワしてるなか、大きな声でいった。
「邪竜俺が殺してきます」
・・・・・・・・
「「「は」」」
しばらくの沈黙の後冒険者達にギルドマスターの声がはもった。
「いやいやいやいや、何を言ってるんだタイトよ、確かにあんたは竜殺しのAランク冒険者だ、だけど、邪竜を殺すなんて、そんな無謀なこと」
俺は喋ってる途中のギルドマスターを遮って言う。
「大丈夫ですよ。俺にかかれば邪竜くらい簡単に殺して見せますよ、その代わり邪竜を殺したら俺をSランクにしてください」
「そうか、そこまで自信満々に言いきるか、分かった、じゃあ、タイトお前に任せてみよう、ただし、危なくなったら逃げろよ、それともし本当に邪竜を討伐出来たら俺の全ての権限とコネを使ってお前をSランクにしてやる」
「分かりました、じゃあ、サクッと邪竜討伐いってきます」
俺はそう言って、冒険者ギルドから出て、邪竜が出たと言っていた、魔の森に向かった。
最初は歩いて、途中から飛行で行った所、割とすぐ邪竜というより、多分それっぽいものを見つけた。
というか、それっぽいもクソもないな、邪竜というかお前、ゴ〇ラじゃないか、ふざけてるのかよ。
マジで、はい、意味が分からない、邪竜と聞いてきてみたけど、いたのは〇ジラ。いや、マジでおかしいだろ、どうなってるんだ異世界は狂ってるのか。
しかも、このゴジ〇でかいな。多分100メートルは余裕で越えている、うん、デカいな、マジでデカいな俺が討伐もとい寝てる隙に殺した竜が何百体と束になって襲い掛かっても余裕で殺せそうだな。
というか、俺これ勝てるのか?まず大きいし、強そうだし、もし原作と似たような性能を持っていたら、多分もクソも絶対勝てないだろ。
あれだぞ、今の原作〇ジラってダンジョン出現の冒険者の影響で強さに拍車がかかってるんだぞ、ほぼ全ての物理攻撃に魔法攻撃無効化で、口から火を吐き光線を放ち、空を飛んで近くに寄るだけで弱い生物ならば死滅するほどの熱量を放ち、何とか攻撃をあててもすぐさま再生する俺かよって位の化け物じみた再生能力。
うん、勝てるかな?
いや、無理だね、勝てないね?
いやでも、落ち着け俺、別にこのゴジじゃなくて邪竜が原作のような力を持ってるとは限らない、戦ってみたら案外簡単に勝てるかもしれない、よし、いっちょやってみますか。
俺はそう思い、闇空間から漆黒魔剣を取り出して、飛行して邪竜の頭の前まで飛ぶと魔力を剣に込めて叫ぶ。
「闇魔法・闇飛ばし」
パシ
俺の放った魔法は間抜けな音を立てて、消えた。当たり前だけど邪竜には傷一つ、ついていない。
「マジかよ、これ無傷っすか、いや、まあ、今のは小手調べだ、本気で行くぞ」
俺は飛行しながらそう叫ぶと闇空間から変幻自在の弾々で作り出した、火炎や氷や雷や風刃に爆発や毒に呪い等々の様々な属性の弾を当てていくが、無傷。
・・・・・・・・・
「マジかよ、今の無傷か、あれ、これ、もしかしなくても原作の強さを持ってるんじゃ」
俺の口から出た悲壮に近い呟きは邪竜の思った以上に可愛い声にかき消された。
「ニャあああああああああああ」
邪竜から可愛い猫の鳴き声を大音量にしたような声が聞こえる。
「へ、何その微妙に癒される声はって、ヤバ」
ゴオオオオオオオ
俺に向かって邪竜が火を吐いた。
うん、しかも、凄く威力の高そうなとかそういう感想を言えるレベルじゃない、当たったら死ぬだろって位の火を吐いた。というか火じゃないな、火炎とか焔のレベルだな。
うん、え、普通に俺ヤバくない、まず、こちらの攻撃は効いていない、相手の攻撃が当たったら即死。
いや、これ何てクソゲー、あ、人生っていう名前のクソゲーが。
いや、そうじゃないな、え、どうする本気で逃げるか、幸い、この邪竜の攻撃はそこまで早くないし、結構簡単に回避出来る。
それに逃げようと思えば、死霊転移で簡単に逃げれる。でも、それすると、俺あれだけ啖呵を切って、危なくなったんで逃げましたってクソ野郎になるな、それは嫌だな。
・・・・・・
よし、決めた、やるだけやってみるか、全部試して無理だったら逃げよ。
「はい、てなわけで、不完全だけと格上殺しで重宝中の一刀根絶」
俺は今使える技でも格上相手にかなり有効な一刀根絶をぶっ放した。
しかし、効果はなかった。
というか、なんかこういつもなら感じる何かを切ったという感覚がなかった。
うん、ヤバいね、まあ、いいや、じゃあ次の方法を試していきましょう。
―――――――俺の持てる様々な力を使って攻撃すること20分―――――――
「うん、マジですか、これもダメと、え、これ残りの方法って千鬼死霊大行進を発動するか、漆黒竜を降臨させるかしかないぞって、待て、待て、待て、まだあるじゃん、試していなくて効果の非常にありそうな素晴らしい方法が、漆黒魔剣の能力を使えばいい」
「漆黒魔剣能力発動・漆黒の力よ、目の前にいる愚かな竜を滅ぼせ」
漆黒魔剣の力を使い放った漆黒の一撃は効かなかった。
まあ、はい、ですよね、正直漆黒の力は強力だけど効かないと思ってたし。まあ、他の力すべて無効化されているしね。
さて、じゃあ、大本命の塗り潰す力を使っていきますか。
これは、効く気がする、だけど、これだけの巨体だ、もし加減をミスったらここら一帯塗りつぶされて生物が生存することが出来ない不毛の地になるかもしれない、まあ、そうなったら、そうなったらだけど、まだ制御の出来てない危ない力なんで、使いたくはなかったがしょうがない、やるか。
「漆黒魔剣能力発動・塗り潰す力よ、目の前にいる愚かなる竜の全てを塗り潰せ」
バタン
俺はそう言って、塗り潰す力を使ったところ、結構余裕のあった魔力に体力のほとんどが消費され、飛行する力する維持できずに地面に落ちた。
「キッツ、何だこれ、マジかよ、そういや今までこの力をここまでの大出力で出したことなかったな、なるほど、ここまで魔力と体力を消費するか、エグイな」
俺は倒れた状態でギリギリ残ってる力を振り絞って立ち上がり、塗り潰す力を放った邪竜を見た。
そこには、頭の方からじわじわと俺の塗り潰す力に塗り潰されて少しずつ動かなくなっている邪竜がいた。
「凄いな、あれだけ攻撃してもダメージが通らなかったのに、通るか、というか頭全部塗り潰されて声すら出せずにもがいてるな、うわ、少し可哀そうだな、・・・・・・あ、動きが止まった、これは死んだかって、フラグだやべ」
俺がそう言った時だった。
ピコン
レベルが上がりました。
レベルが上がりました。
レベルが上がりました。
レベルが上がりました。
レベルが上がりました。
レベルが上がりました。
レベルが上がりました。
レベルが上がりました。
レベルが上がりました。
レベルが上がりました。
レベルが上がりました。
レベルが上がりました。
という音が俺の頭の中に響いた。
「は、え、は、え、ちょ、え、レベルが上がった、え、どういうこと、何レベルアップシステムあるのこの世界、じゃあ、これステータスとかあるんじゃって、待て待て待て待て待て、邪竜忘れてた、闇空間」
俺はかなり驚いたが、塗り潰す力で殺した邪竜を放っておいたら、塗り潰す力が感染してここら一帯が塗り潰されるのを思い出して、慌てて闇空間仕舞う。
「危ないわ、今の、いや、思い出して良かった、さて、邪竜片づけたし、さて、多分あると思われるステータスを確認しますか」
―――――――――――――――――――――――
補足説明
邪竜がゴジ〇に似てるという設定は作者が普通の邪竜を出すだけじゃ面白くないと思ったのと、あり職を読み直した直後だったからです。マジで面白かったです。
邪竜に主人公が攻撃をしていますが、全く効いていないというわけではなく、攻撃しているがそれを上回る再生速度で再生されていたという設定です。
邪竜の経験値はめちゃくちゃ高いです。
ギルドマスターを邪竜発見係にした理由は、邪竜の現れた魔の森は普通の冒険者では絶対に行けない危ない場所です。そんな魔の森はたまに一部の魔物が都市に向かう緊急事態が起こります、それを少しでも早く発見して対処するために戦闘能力のあるギルドマスターが毎朝魔の森の見回りをしています。
次回はステータス回です。
正直今回の話でやってもよかったのですけど、書いたら結構長くなりそうなので止めておきました。
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