第65話・ダンジョンマスター

 ダンジョンから脱出した時にまず見たのはイチャイチャラブラブしている勇気ハーレムとグラビア片手に優雅にパラソルに座って酒を飲んでいる北先生だった。


「俺が俺達があれだけ苦労してた中、先生はグラビアに飲酒、勇気ハーレムはイチャイチャラブラブ、ふざけてるのか」


 俺は怒りの余り叫ぶ。


「おいおい、どうした泰斗、急に怒り出して、気でも狂ったか」


 北先生が俺に文句を言ってくる。気が狂ったって失礼な。


「いや、北先生俺がどれだけダンジョンで苦労したと思ってるんですか。金山と戦って石嶋と戦って、悪魔と戦って、ガチ強い化け物と殺しあって、金山蘇らせてって、もう、メチャクチャ大変だったんですよ。それなのにあんたは何楽しそうなグラビア読んでるんですか」


 俺が少々切れ気味に言った言葉に対して北先生が口をあんぐり開けて俺に慌てて問いただす。


「は?待て待て待て、悪魔と戦ってて、あのダンジョンに悪魔なんていたか、どういう事だ?」


「あ、それがまあ、かくかくしかじかでかくかくしかじかでまあ、ということですねはい」


 一応今回の事件を北先生に説明する。


「なるほどね、マジか俺がお前らなら大丈夫だろなんて高をくくって職務放棄してる間にそんな大事件が起こってたのか。それは流石に俺悪いわ。ハア、めんどくさいがダンジョンに今から潜って異常及び悪魔の生き残りがいないか調べて来る、少し待ってろ」


 待つこと10分

 その間暇だったのでさっき手に貰った?献上された?スキルを使ってみた。


 結果

 光り輝くスキルの書からは極闇魔法を獲得。

 真っ黒のスキルの書からダンジョンマスターという明らかにヤバそうなスキルを獲得しました。


 うん、あれだな、極闇魔法の方はまあ理解できるし俺の戦闘能力が上がったという事で喜ぶべきなのだが、ダンジョンマスターって、ヤバくない?俺遂にダンジョンのマスターになっちゃたよ。


 取り敢えず鑑定してみようとしたのだが。

 鑑定が無効化されました。って出るの。

 ヤバくない、鑑定が無効化されたんだよ。俺の持ってる支配者とかいうチートスキルでもある程度は鑑定できたのにそれを無効化ってヤバくない。何か語彙力が崩壊するぐらいこのスキルヤバそうなんだが。

 まあ、でも確実にダンジョンを何らかの形で支配というか作り替えたりできそうなスキルだな。

 その後、このスキルで出来そうなことを何となく頭で考えていたら。


「ハア、最悪だ、マジで最悪だ、くそったれだ」


 北先生があからさまに不機嫌そうに悪態を吐きだして戻ってきた。


「どうしたんですか北先生」


「あ、泰斗、まあ、あれだ悪魔はいなかったが、ダンジョンが崩壊してた。ようはダンジョンがありますよで売りにしていたのにそのダンジョンが使えなくなってしまったということだ、上にどう報告すればいいんだ。くそったれ」


 ん、ダンジョンが崩壊していたって、もしかしなくても俺が原因じゃない、ダンジョンマスタースキルしかり明らかに半端じゃないレベルの魔力のこもった球しかりあの悪魔との戦闘しかり、俺じゃね、ダンジョンが崩壊した原因俺じゃね?

 いや、でも北先生気が付いてないし。このまま俺は知らないで通すか、いやでも、流石に俺の良心がそれは許せないし、・・・・・・よし、手伝うか、幸い俺にはダンジョンマスターというスキルに魔物の代わりに使えそうな俺の眷族がいるし、何とかできるやろ。


「北先生、多分ですが俺の力で何とか出来るかもしれません」


「え、マジで」


「はい、でも確信は持てません実際にダンジョンに行ってみないと何とも」


「そうか、でも、可能性があるのならありがたい、早速行くか、てなわけで俺と泰斗でダンジョン行くからお前らは金山を保健室に連れて行った後教室に戻って自習をしててくれ」


「「「は~い」」」


 皆が思った以上に行儀よくは~いと言って先生の言われた通りにしだす。これも【極教育】というスキルの力か?あの癖の強いクラスメートたちがここまで素直に返事するなんて、いやでも、確かに考えてみれば北先生なんだかんだ言っても強いし、教え方も上手いしちょっと納得できるな。


「ほんじゃあ、泰斗ダンジョンに行きますか」


「そうですね」


 そこから北先生と俺の二人っきりでダンジョンに潜って俺が悪魔と戦った場所についた。

 結果 完全にアウトでした、明らかに空間がひび割れていて、地面もぐちゃぐちゃにひび割れている。

 これは、誰がどこからどう見てもアウトだな、というかこんなヤバいことになってたんだ、あの時は金山を生き返らしたり手達が来てくれたりでそこまで見る余裕なかったわ。


「どうだ、泰斗直せそうか」


 あ、いわれて思い出した。俺この傷を直しにここ来たんだったな。う~ん、あれだな感覚的には少々の魔力を使えば直せる気がする。ぶっつけ本番だが俺の中にあるスキルを信じてやってみますか。


「ダンジョンマスター権限発動・ダンジョン修復」


 俺がそう高らかに声を出して傷ついた地面に触れると体から100分の1程度の魔力の消費が起こった後地面が綺麗に直る。


「おーーー、凄いな泰斗、この調子であのひび割れた空間いけそうか」


「はい、多分、ダンジョンマスター権限発動・ダンジョン修復」


 もう一回そう声を出しながら飛行で飛び、ひび割れた空間を触れる。

 するとさっきと同じように魔力が消費されてひび割れた空間が綺麗に直った。


「うお、スゲーな、泰斗、これで一つ問題が解決したわ、ほんじゃ次魔物の生産の方はどうだ?」


 そうやって北先生に褒められて、少々勢いのついた俺はこのまま魔物の生産もいけると思い、試してみるが、まあ、あれだ、無理やった。何か修復は簡単に出来たけど、魔物の生産の方は無理っぽかったです。

 というか、魔物の作り方が分からない。


 落ち着いて考えればこのスキルダンジョンマスターって名前やん、魔物を生み出す、例えば、魔物創造とか魔物生産とか、そんな名前じゃないやん。

 そうなると、やっぱり俺の眷属を差し出すもとい使わせるか、ぶっちゃけSクラスの人か先生、一部のAクラスの人以外倒せないと思うが、それに俺の眷属なんでドロップ品とか落とさないと思うし、まあでも技術力を上げるという意味だと魔物よりもよっぽどいいやろ。よし、そうするか。


「てなわけで、北先生魔物を生産するとか無理だったので、俺の眷属を徘徊させるということでどうでしょうか?」


「ハア、いや、待て待て待て、何がてなわけだ、え、何魔物を生産させるのが無理だから自分の眷属を徘徊させる、ちょっと意味わからないのだが、何眷属って、それ吸血鬼とか魔人とかが引き連れてるゾンビとか蝙蝠とかの事を指すよな、おかしくない、お前人間だよな」


「いや、失礼な人間ですよ(上野 泰斗はまだ自分が死霊王だと気が付いていません)、まあいいや、ほんで、眷属というのは、口で説明するよりも見せた方が早いんで呼びます、死霊魔法・死霊召喚・闇助・剣スケルトン×10・虹スケルトン×10」


 俺が魔法を唱えたらその場に俺の眷属が現れる。それを見た北先生が何をとち狂ったかいきなり闇助に切りかかった。俺は咄嗟のことで反応できずに闇助が真っ二つにされると思ったら。


 キ~~~ン


 という甲高い音を立てて闇助が剣で受け止める。


「落ち着いてください、私は泰斗様の忠実なる眷属、泰斗様の命令がない限り貴方方には決して危害は加えません」


 闇助が北先生の剣を受け止めた状態でそうキッパリと言った。

 それを聞いた先生が剣を空間魔法で仕舞い手を挙げて俺に言った。


「これはまたいい眷属を手に入れているな。少なくとも泰斗お前が命令しておけば生徒たちに怪我は絶対に負わせなさそうだし、強さも申し分ない、これなら魔物の代わりに徘徊させるのはありだな。ほんで泰斗この眷属たちはどれくらい用意出来そうなんだ」


「材料があるだけで作ってない眷属もいるから、多分千体くらいは余裕で用意できます」


「マジか、凄いな、いやでも流石に千体もいらないわ、そうだな300体入れば十分かな」


「分かりました。じゃあ、死霊魔法・死霊召喚・剣スケルトン×140・虹スケルトン×140、ほんで命令だ。取り合えずお前らはこのダンジョンを徘徊して、人が襲い掛かってきたら大けがを負わせない範囲で反撃もとい稽古をつけてやれ、分かったか」


 俺の言葉に眷属たちがピシッと敬礼をする。息がぴったりと合っておりかなり壮観な景色だ。


「よし、じゃあ、徘徊、じゃあな頑張れよ」


 そして俺の眷属達はダンジョンを徘徊し始めた。


「これで、大丈夫でしょ北先生」


「お、おう、いや~やっぱり本当に人間か、あれだけの強さを持つ眷属を簡単に呼び出せるなんて、軽く人外の域だぞ(正解・正解・大正解)」


「失礼な、俺は人間ですよ(人間じゃありません、死霊王という人外です)」


「まあ、そこまで言うなら、まあいっかそこまで気にすることでもないし、じゃあ教室に戻るか」


「はい」

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