第64話・先生方の胃に大ダメージが(1部を除く)

 職員会議


 今回の議題はSクラスの一人が悪魔に取りつかれていて、暴走して大量の悪魔をダンジョン内で解き放ってしまったことと、それによりダンジョンの機能と壁等の一部が崩壊してしまい、魔物が出現しなくなってしまったということについて話し合いが行われていた。


「北先生、この事態をどう責任取るつもりだ」


 一人の絵にかいたような20歳前後のドラ息子もといダンジョン連合のお偉いさんの息子(一応の傀儡理校長)が北に全責任を押し付けようと怒鳴り散らす。


「うるさい、黙れ親のコネで理事長になったクソガキが」


「何だと、この野郎俺にそんな口きいてパパが黙ってると思うなよ」


 ハハハハハ


 北先生の笑い声が会議場に響き渡る。

「うわ。パパっていい年してパパって皆聞いたか笑えるだろ」


「この野郎、俺を馬鹿にしやがって、ぶち殺s、スヤー、スヤー」


「香魔法・睡眠香」


 今にも暴れだしそうなクソガキを(一応学園の校長です)保健室の先生をやっている女性が眠らせた。


「お、助かったぜ、香織ありがとな、あのままじゃあぶち殺しそうだったからよう」


「ハア、止めてよね、クソガキとはいえこの学園の校長。それにダンジョン連合幹部様のご子息なのだから、まあ、殺したくなる気持ちは分からなくもないけど、いや、こんな無駄話してる暇なかったわ、早くダンジョンの問題を話し合いましょ」


「あ、それなら大丈夫だ、というか今回の問題全て解決できそうだわ」


「「「え」」」


 静観していた先生方一同その驚き発言を聞き素で「え」と言ってしまう。

 それも無理はない。何故なら今回の問題はダンジョンという修復不可能なものが壊れてしまってるのだから。そしてこの学園はダンジョンが使える学園として売り出している、つまりダンジョンが使えない=詐欺になるということだ。

 そしてそうなったらダンジョン連合の顔に泥を塗るのはもちろんのこと責任問題で首もあり得る。


 それで皆頭を抱えているのに全て解決出来そう?


 いや。どうやってダンジョンを修復するんだよと皆疑問に思うのは当然のことだ。


「おおお、皆ビックリしてる、まあ、いいや、あっと実はなうちのクラスの上野 泰斗ってやつがたまたまそのダンジョンでダンジョン操作のスキルを獲得したらしく、壊れたダンジョンの修復とか出来るようになったらしい」


 上野 泰斗 という名前を聞き皆何処か納得してしまう。非公式ながら一人で魔物暴走を食い止めて解決(女体化の件を北先生が酒に酔った勢いでばらした)。その他大量の眷属を連れており、一人で、しかも数時間で魔物暴走によって破壊されたこの学園を建て直したという意味の分からないことも成し遂げている存在。

 それにダンジョン修復が加わったところで、皆からしたら、「あ~またね」っていう感想になってしまうのはもはや当たり前のことであった。


「なるほど、あの泰斗が、だが、北先生出現しなかった魔物と石嶋の件はどうするつもりだ」


 保健室の補佐兼Cクラスの担任をしている加藤先生が北先生に尋ねる。


「あ、その件は、ありがたいことに上野 泰斗が大量の眷族を従えさせててそれを練習用にと貸してくれるそうだ。一回その眷族を見させてもらったがある程度の知性と戦闘力があり王である上野 泰斗には非常に順応で命令すれば絶対に訓練しに来た子供に大けがを負わせたりしなさそうで凄く使えそうだったりほんで、石嶋の件は不幸にも悪魔に取りつかれていた。悪魔はもう滅ぼしたから危険はない、襲われた人も大丈夫と言って問題にはしない。ほんで悪魔の方は上に報告せずに内々で終わらすぞ、これでどうだ」


 ・・・・・・


「そんな自信満々に言われても、悪魔の件を上に報告しないのは出来るかもしれないけど、ダンジョンの魔物が子供の眷族ってばれたら確実にとやかく言われるし、上に許可貰えるかどうか」


「それは知らん、あんたらに任せる」


「任せるって無責任な」


「無責任で結構、大体俺が上に報告しに行ったらグダグダ言われて切れて喧嘩だぞ、喧嘩、ただでさえ教師を強制的にやらされて上に良いきはしないのに、それでもいいのか」


 北の余りにも無責任というか他人任せの言葉に教員一同、怒りを覚えるものの、実際に上との交渉を北に任せるというのは絶望しかないため、渋々ながら北には何もさせないという判断が一番だと感じてしまう。


「お、どうやら皆異論はなさそうだな、てなわけで、俺は弟子に稽古つける時間なので帰りますわ」


 そう言って北は空間魔法を無詠唱で使いどこかに転移した。


「あの、クソ北め~~~、私達に全て押しつけととんずらしやがった」

「あいつ、ふざけてやがる、もとはといえばアイツがダンジョンの監視を怠ったからこうなってるのに」

「そうだ、そうだ、上に報告するときにどれだけ俺達の胃に負担がかかるかアイツは知らないんだ」

「本当にそれな、こちとらあいつの始末を任せれる度に胃潰瘍になって治癒魔法で治してもらってるのだぞ」「まじで許さない」「何様のつもりだ」「そうだ、精々化け物レベルに強くて教育・極スキルを持って完璧な教育が出来る位で」


 ・・・・・・・・・


「それが、出来るから許されてるのだよな」

「そうなんだよな、だってアイツ強いんだもん、強いから許されてるんだよ、マジで俺もあんな力欲しいわ」

「何言ってるんだ、無理無理、あれはマジものの化け物だぞ、お前には無理だって」

「まあ、その通りだけど、夢見るのは自由やろ」

「いや、夢見すぎ」

「お前、そんな無慈悲に言うなって俺だってあんな力欲しいよというか強いスキルが欲しいよ」

「確かに強いスキルは欲しいわ」

「でも、高いし、出ないで俺らには無理っす」

「ハハハ、違いない」「言えてる」「ああ、大金が欲しいわ」「いや、そう簡単に金が手に入るかよ」

「まあ、そうだけど」

「ハア、皆こんな無駄話してないで上に報告する資料作るわよ」

「そうだな、ぐちぐち言っても終わらないしな」

「だな、だな」「しょうがないか」「いっちょ頑張っていきますか」「おう、そうだな」


 そう結論が決定すると、教員たちは胃の痛みに耐えながら今回の問題報告書とそれに対する解決案の資料を作り、実際に上に報告する用の原稿も作り上げ、何とか上から許可を貰えたのだった。


 因みに何度かこの問題解決案に対して上から無茶ぶりが来て、胃潰瘍になりながら解決しようとしたが失敗、ダメもとで主人公もとい上野 泰斗に相談したら1分で解決されて心折れたりと。

 教員達は本当に苦労しました


 南無阿弥陀仏南無阿弥陀仏。


 ――――――――――

 今回はいつもと視点を変えて教師サイドでやってみました、保健室の先生はまた出すつもりです。

 次回は今回の問題解決に関する主人公もとい上野 泰斗の関わりをやっていきます。

 どうぞこれからも私の小説をよろしくお願いいたします。

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