第56話・外伝・勇者召喚(露骨なフラグ)
滅びかけのとある王国の薄暗い大広間の中、一人の王とその側近と宰相に公爵に国家魔術師が揃い。話をしていた。そう、この国の今後についてのとてもとても重大な話を。
「国王様、このままでは我が国は帝国ルンマルに滅ぼされてしまいます。そうなったらば我らは確実に処刑され、国民は奴隷のように扱われるでしょう、一刻も早く何らかの対策を立てなければ」
「分かっておる、ルマッス公爵、じゃがな、わが国にはそれを回避する手段がないのじゃよ、もう我が国はこのまま・・・いや、それを回避する方法を探してここに皆を集めたのじゃったな、何か案はないか」
「では、国王様冒険者を雇うというのはどうでしょうか、冒険者の中にはたった一人で千人分の騎士の働きをする強き者もいると聞きますし」
「残念だが、冒険者を雇う金がない。それに、強い冒険というのは癖が強いし扱いにくい。最悪軍隊の足並みを崩す敵となる」
「ならば、暗部を終結させて憎き帝国の主要人物を暗殺するのはどうでしょうか、そんな国でも頭さえなくなれば必ず混乱しますし」
「無駄だ、それは、もう試したそして全て返り討ちにあった」
「では、貴族の私兵団を強制徴兵させて戦うのは」
「無理だな、貴族共は高確率で死ぬと分かっている戦場にわざわざ自身の私兵団を送るなどはしないし、国が滅ぶと分かっていても我らに手を貸してはくれない身勝手な奴らばかりだろう、それに強制徴収なんてしようものなら帝国に滅ぼされる前に反乱で国が滅んでしまう」
「では、城と砦を使い帝国の食料切れを狙った籠城作戦は」
「無理だ、我が国にそんな大量の食糧の備蓄がない」
「では、禁忌魔法を・・・」
「そんなことしたら、魔導士協会と正教会が敵に回るぞ、そうなったら帝国が来るよりも先に内部から滅ぼされるわ」
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1時間後
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長い時間議論を繰り広げたが、何もいい案は浮かばず、皆この状況を打破できないとあきらめかけてたその時、一回も口を開かなかった、国家魔導士召喚部門・レンミヤが口を開いた
「国王様、恐れながら申し上げます。この私に一つ妙案があります」
「おお、そうか、それは真か、ならば早くその妙案とやらを聞かせてくれ、国家魔導士レンミヤよ」
「はい、その妙案とは勇者召喚でございます」
「それはならぬ、勇者召喚などという他の世界の人間に我らが国の運命を託すなど、この宰相が許さん、それならば、大人しく処刑された方がましだ」
「なんだと、このクソ宰相め、じゃあこのまま大人しく処刑されろと」
「ああ、そうだ」
「何、ふざけたことを抜かしてるんだ」
「お前こそ何ふざけたことを抜かしてるんだ」
醜い言い争いを始める宰相と国家魔導士レンミヤ。
「静まれ、事は一刻を争う、我はこの国の王としてこの国が滅ぼされない為ならば、勇者召喚とやらをやってみる価値はあると思う」
国王の鶴の一声で国の運命を召喚されてくる勇者に託されることが決まった。
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そして、勇者召喚の準備を終え、今勇者が召喚される。
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同時刻
帝国ルンマルスにて、軍事利用及び実験の為に勇者召喚が行われることが決定した。
しかし帝国は知らない自分たちが勇者とは程遠い、いや明らかに違うというか人間ですらないとある王をいや神を召喚することになるとは。
王国は知らなかった自分が呼び出した勇者が想像以上に正義感が強く愚かだという事に。
そして、世界が一変することも。まだその時は誰も知らなかった。
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