第50話・やらかしちゃったよ。いやごめんて
「お前ら、主様の為に全身全霊を持って素晴らしい家をマンションを木を作って作って作って主様に喜んで貰うぞ」
「オ~~~~~~」
凄い眷族が張り切っているな。俺としてもありがたいな。
「眷族たちよ、頑張ってくれ」
「はい、主様」
オ~~~、凄くいい返事。これは期待できそうだな。さて、出来るまでの間に八つ当たりしそうになったことに対して蘇らせた人に一応の謝罪と、今回の魔物暴走で死んだ人が他にいるならそれも蘇らせた方が良いだろうし、取り敢えずダンジョンの所まで行くか。
てくてくてくてく
俺は魔物暴走の起きたダンジョンの所まで特に急いでるわけでもないし歩いていく。
「ほい、到着」
到着すると俺が蘇らせた人と初めて会った探索者達がいた。
「これはこれは泰斗様」「どのようなご用件ですか泰斗様」「お会いできて光栄です、泰斗様」
俺が蘇らせたであろう人達が俺を泰斗様、泰斗様言って拝みだす。正直ウザイ。そう思っていたら。
「お前が泰斗か、何でこいつらは蘇らせて結衣は結衣は結衣は死んだんだよ、蘇らせてくれないのかよ」
いきなり、そこそこイケメンの人が涙で顔ぐちゃぐちゃにしながら俺に怒鳴ってきた。
つ~か、そんなこと言われても知らんがな、俺はただ目についた人を生き返らせただけだしな。
まあ、死んで間もない&体が残ってれば蘇らせれるけど。
「お前、泰斗様になんて口の聞き方と態度だぶち殺せ」
ヤベ、眷族たちがブちぎれた、早く止めないとあのイケメン君死んでしまう。
「ストップ、止めろ、止めろ、そいつを殺すな」
「はい、分かりました泰斗様」
「ハア、おい、あんた、その結衣って人の死んでから経過した時間とその人の死体の場所を教えろ」
俺は暴走しやすい眷族にため息をついた後に、そこそこ上から目線でイケメン君に言った。
俺の言葉にイケメン君は急にポカンと間抜け顔をさらして恐る恐る口を開きだした。
「も、もしかして、蘇らせてくれるのですか」
「ああ、そうだよ、だから早く死んだ時間と死体の場所を言え、時間が立てば立つほど蘇らせにくくなるぞ」
俺の言葉を聞いた瞬間、パアと驚くぐらい顔をが明るくなりかなり大きな声で
「はい、ありがとうございます、死んだ時刻は1時間前で、街を壊そうとしている魔物に殺されました、死体は死体安置所に保管しています」
死体安置所ってどこにあるのか分からん、でも、1時間なら時間は多分大丈夫だな。
「で、その死体安置所はどこだ、案内しろ」
「はい、こちらです」
てくてくてくてく
イケメン君に案内されて、歩いて3分で死体安置所とやらについた。
パッと見た感じはどこにでもある倉庫だ、ただ中に入るとそこには何十という死体が並べられていた、それも、いくつかは抉れて原型をギリギリとどめている程度だったり生首だけが残っている死体だったり、逆にかなり綺麗に残っている死体だったりと、まあ、見ててあまり気持ちのいいものではないがとにかく死体が安置されていた。
「で、結衣って人の死体はどこ」
「あ、はい、これです」
そう言ってイケメン君が指さした場所にあったのは体の半分以上抉られていてかろうじで顔が分かる死体だった。
しかし、この顔どこかで見たことがある気がする。あ、分かった葵君と同じく俺と一緒に剣の講習受けてた人だ。
じゃあこのイケメン君は彼女の逆ハーレムメンバーってわけか。まあ、でもここまで身体が抉れてて死んでから1時間以上もたってるとなると、綺麗に蘇るかどうか、もちろん死霊魔法・死者蘇生にこだわらずに死霊生産を使えば綺麗かつ強力で記憶も完璧な状態で蘇るが完全なる眷族化するから俺への忠誠心が異常なことになって元の性格が完全に変化するからな。
それは蘇りかどうか、悩むなあ、いや悩んでてもしょうがない、一か八かでやってみるか。
「死霊魔法・死者蘇生」
・・・・・・
沈黙
・・・・・・
「死霊魔法・死者蘇生」
・・・・・・
沈黙
「これは駄目だな。死者蘇生出来ないわ」
「ふざけるな、ふざけるな、ふざけるな、期待させやがって、希望を見せやがって、それでそれで絶望に叩き落すなんて、それがお前のやり方か」
イケメン君が俺にブちぎれて殴りかかって来る。
それを眷族たちが来るよりも早く毒魔法で作り出した超麻痺毒をぶっかけて黙れせる。
「さて、死霊魔法・死者蘇生は無理だけど、死霊魔法・死霊生産なら蘇らせれるよ、でも、死霊生産で蘇らせたら、性格が変わってしまうけど、どうする」
俺はイケメン君にそう言って口の麻痺だけを解毒してあげる。
「分かった、頼む。結衣が結衣が生き返るのならば何だっていい」
そう言って俺に土下座をする。
「分かった、じゃ死霊魔法・死霊生産、それと、ちょっとそれだけじゃあ不安だし死霊魔法・死霊強化、死霊魔法・死霊再生っと」
今度は沈黙ではなく、彼女の身体が浮かびあがりボロボロの顔の瞼が開くと真っ黒に輝きながら彼女のボロボロの肉がボコボコと音を立てて湧き出てやがて形を取り綺麗な肌になっていく、1分ほどで綺麗な人の形を取り蘇る。まあ、蘇るというより死体を媒体にして元の記憶を持った死霊を作り出すという表現が正しいのだが。
「結衣、結衣、結衣、本当に生き返ったのか、結衣~~~」
イケメン君が泣きながら結衣さんに抱き着く、うわ、イケメン君の涙というか鼻水がべちゃと腕についてる気持ち悪というか汚いな。
「ご主人様、私に新たなる生と力を授けて下さりありがとうございます。ご主人様の為ならば何だっていたしましょう」
イケメン君が腕にすり寄っているのを完全に無視で俺に跪いてくる。
まあ、そうなるでしょうね。
「どうした結衣、なんで俺の事を無視するんだ、結衣返事をしてくれ」
「ご主人様、私の腕に張り付いているゴミを殺しましょうか?」
うわ、逆ハーレムメンバーの一人をゴミって言っちゃたよ。
「ゴミだと、何を言ってるんだ結衣、結衣、どうして俺に話しかけてくれないんだ、俺の事を忘れたのか?あんなに愛し合ってたじゃないか」
ガン無視だな。流石にそれはイケメン君が可哀想だし。
「結衣さんそのイケメン君とはどういう関係でどんな思いを抱いていたのか教えてくれないか」
「はい、ご主人様、あのゴミは私の盾であり金ずるでありいくらでも替えの効く道具でした」
救いようのない言葉言っちゃよ。
つーか、これ本心だな。俺が死霊にする前からそういう目的で逆ハーレム作ってたんだ。えぐいな、イケメン君完全に放心してるじゃん。
どうするんだよこの状況。
「噓だ~~~~~~、こんなのは、こんなのは、こんなななな結衣じゃない~、お前一体何をした~~~」
ありゃりゃ完全に精神が壊れたな、まあ、俺の知っちゃこっちゃない。それに今俺に攻撃しようものなら。
グシュ
イケメン君が俺に殴りかかろうと振りかぶっていた右腕が飛んだ。
「無礼にもご主人様に手を出そうとしたゴミの右腕を吹き飛ばしました。どうしましょうか殺しますか」
「いや、いい」
完全に結衣さん、性格変わってるな。さてどうするかこの状況、幸い今この場所には俺とイケメン君しか結衣さんしかいない。もうこのままイケメン君を殺して死霊にするか。いや、でも流石にそれは酷いか。
・・・・・・
よし決めた精神魔法で精神を操作するか。
「精神魔法・精神強制正常化」
で右腕はスキル再生で治してもらいますか。
俺は闇空間から再生のスキルを鑑定して取り出すと無理やり使わせて腕を生えさせる。吹き飛んだ腕は俺の闇空間に入れて証拠隠滅と。
「お~い、大丈夫かイケメン君」
「はい、すみません、取り乱してしまいました。そもそも落ち着いて考えれば結衣さんに僕が利用されていることなんて簡単に分かる事実なのに、だって、結衣さんの周りには27人も男がいましたからね」
「は、27人も男がいるだと、本当なのか結衣さん」
「いいえ、違いますよご主人様、63人です」
「63人も、え、マジで逆に凄くない、もはや尊敬に値するレベルだよ」
「お褒めに頂きありがとうございますご主人様」
褒めてはいるか。うん。いやでも結衣さんとんでもないな、余計に話がこじれた気がする、この茶番を後62回起こる可能性があるということ。え、何それめんどくさい。本当にどうしようか。
「あのう、泰斗さん、結衣を蘇らせたことには感謝していますが、もうこうなってしまったら結衣に対する愛しい気持ちも全て消えてしまいましたし、僕はこれで失礼します」
そう言ってそそくさと死体安置所からでるイケメン君。
う~ん、結衣さんの扱いどうするか、いや、別に悩む必要なんてないじゃん。今まで通りの生活をしろって命令すればいいだけじゃん。
「結衣さんは今まで通りの生活をしてください、何かあったら呼びますんで」
「分かりました。ご主人様」
「これで、全てが大丈夫、さてと千鬼死霊大行進の進み具合でも確認しますか」
そう言って死体安置所から出ようとしたとき。
「私の夫を蘇らせてください」「俺の仲間をよみ蘇らせてくれ」「俺の兄を蘇らせてく」「俺も・・・」「僕も・・・」「私の・・・」
何十人もの人が俺に死者蘇生のお願いをしてくる。
でも、流石に断るわけにもいかないな。うわ。めんどくさいな、いやでもやってやるか。もう何人も生き返らせているし、そう思い片っ端から蘇らせていく・・・
1時間後
半分は死者蘇生出来たが半分は死霊生産で蘇らせた。
死者蘇生の方は特にもめずにスムーズにいけたが、死霊生産の方は3回だけ揉めた。ただ、それ以外は思ったよりもスムーズに事が進み簡単に元の生活に戻れた。ただ揉めた3回は本当にグダグダになって今も解決してない、でも俺知らない、蘇らせたしそれでいいでしょう。
さてと千鬼死霊大行進から街が完成したという連絡が来たし行きますか。
――――――――――
てくてくてくてく
死体安置所から出て街へ向かうとそこにあったのは街というより魔境だった。
「は、ひ、ふ、へ、へ、は、待て待て待て何だこれは、一体何があった」
――――――――――
次回
【何百もの世界の意思】
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