第6話 黒い下着
その日も良枝さんのマンションに寄ったら、ベッドの上に黒いブラジャーとショーツ、ガーターベルト、ストッキングが並べられていました。てっきり彼女が着てくれるのかと思っていたら、私のために用意したと言います。
数日前、ファミレスの仕事が終わり、いつものように二人で帰宅しようとしたら、店の駐車場に30冊ほどのエロ漫画と写真集、官能文庫本が不法投棄されていました。集めて紐で縛り、ゴミ置き場まで運びましたが、良枝さんが「こういう本の存在は知ってたけど、実物を見るのは初めてだから読んでみたい」と数冊の文庫本を持ち帰ってました。
その中に母親が息子に女性下着を付けさせて関係を持つという近親相姦の話があり、ハートに強く刺さったから、そのシチュエーションをやりたくて用意したそうです。私は彼女のリクエストには、大概、応じてきましたが、これには抵抗がありました。
私が初めて身に付けた女性下着は、長谷部先生から渡されたジュニアサイズのブラジャーとショーツでした。新境地として絶賛された「腕輪の少年」の前に彼女は何枚かの習作を描きましたが、その中には、この下着姿もありました。
それらを付けて先生の相手を散々やったし、制服の下は女児用ショーツと貞操具で高校に行かされたこともありました。良枝さんが用意した女性下着を見て、いろんなことを思い出し、反射的に拒絶しました。
「これだけは勘弁してください。ちょっと嫌です」
当然、良枝さんは私が断わるなんぞは織り込み済みで、服を脱ぐと同じ黒の上下とガーターベルト、ストッキングを付けていました。 背が高くて脚も長く、胸も大きな白人女性のような体形の良枝さんには、びっくりするくらい、よく似合っていました。
「小説でも主人公の男の子は、
最初は、すごく嫌がっててね。同じだね。
でも、結局、母親に説得されちゃうんだよね。
だから、島崎くんも私を見て。
ほら素敵でしょう?お揃いだよ」
体格差を利用して、私をベッドに押し倒し、耳を甘噛みしながら囁きます。
「私ね、島崎くんが大好きなの。見せて欲しいな。これ、きっと似合うよ」
「島崎くんは自分の身体に変なコンプレックスがあるけど、それは違うよ。
あなたは、他の男にはない持ち物があるんだから、それを生かしなよ。
その辺のおっさんが、こんなの着ても気持ち悪いだけだよ。
島崎くんは、間違いなく似合うんだから」
「じゃあ服だけ脱いでよ。私が着せてあげるから。それならいい?
布の面積が小さいタンクトップとブリーフって考えなよ」
「せめてストッキングだけでも履くのはダメ?
ほら、ズボン脱いで。ストッキングだけ履こうよ」
良枝さんが様々な甘言を
たいして胸がないので大人用のブラジャーなんてガバガバだろうと思っていたら、意外にもそうでなかったので、どうやら、ちゃんとサイズを選んでくれたようです。
「島崎くんは男性なのに、少し胸があって、お尻が大きくてウエストも細いから、
絶対に似合うと思ったのよ。想像どおりだわ。ああ可愛い」
良枝さんにエスコートされて身に付けてしまうと、かつての記憶が呼び起され、久々に興奮しました。そんな私を良枝さんは姿見の前に立たせて、笑顔で
「島崎くんたら、あんなに嫌がっていたのに、娼婦みたいな黒い下着をつけて、
そんなに前をそんなに膨らませて。恥ずかしくないの?」
間違いなく彼女はやりたかったことは、これでしょう。恥ずかして胸と股間を手で隠すと怒られ、そのまま良枝さんに頬ばられて、すぐに果てました。あとは、ひたすら良枝さんと身体を貪り合います。良枝さんは、いつもに増して満足そうでした。
以来、二人のプレイに新しいアイテムが加わりました。最初の黒のコンビだけでなくキャミソール、ボディストッキングなども彼女が買い足してくれ、以降、私は全身の体毛を剃られるようになります。
「こんなツルツルの女の子みたいな身体じゃ、
もう同年代の若い子と浮気もできないね。
島崎くんは完全に私専属の彼氏だね」
良枝さんは御機嫌でしたが、私もいつの間にか、そんな状態に慣れていきました。大学四年になって就職活動が忙しくなる前に、私はファミレスのバイトを辞めたのですが、良枝さんとの関係は卒業まで続きました。
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