第7話 スペープリペチ特別防衛機関

ヘシターラミガ参謀長官の暗躍を阻止し且つ

ヘシターラミガ参謀長官の暗殺を遂行してから早五年。

プヴァトロンコードを軍事利用や研究開発の情報などを監視する特務機関

スペープリペチ特別防衛機関に目新しい情報は入ってこず世界の平和は

概ね保たれていた。

スペープリペチ特別防衛機関の設立は古く、ゆうに70年を超えて維持、

運営がなされていた。そもそもの始まりはプヴァトロンコードがきっかけ

ではなく、人の疾病、予防医学、細菌分析、薬品開発、細菌特定、分類を

主に活動を始めた団体であった。それらの延長線上にある研究段階で

人が人に与える健康影響が機関に蓄積されたデータから

可能性としての因果関係が疑われ始めたのが約20年前からで

人が死に至る過程が他殺の類、(物理的なダメージ、毒物、自殺)

を除く病気、先天的、後天的疾患が要因と推測される死因をデータとして

蓄積していく過程で、どうしても説明がつかない、データに当てはまらない

ケースに重きを置いて研究、情報収集を重ねた結果、人が人を意図しないにも

関わらず死に至らしめるという回答に行きついたのだ。

ただし、それが何であるかが特定されるには数年を要したのだが

まず人が食事をし、食材を体内で消化、吸収する際にガスが必ず発生する。

そしてその体内から発生するガスはDNAと同様にその個人唯一のモノと

いう事が研究によって解明に至り、それらをコード化、シリアル化し分類

することでコード同士がどう作用して影響されるのかが少しづつ明らかに

なってきたのである。ただしある特定のコード同士が影響される傾向は

解明されたものの何故特定のコード同士が影響されるのかは個人のもつ

所謂キルスイッチ、を押すカギとなるに留まっている。

そのコードが何故キルスイッチを押してしまうのかは、もはや

神のいたずらとしか言えないのである。この、人のキルスイッチが解明、

分類出来るという事は人類、即ち世界の滅亡を加速させる恐ろしい兵器

となる事を意味している。扱う人間次第で大量殺人兵器となるのは不可避。

故にこの研究事案は国家レベル且つ極秘理に進めなければならない。

一時の野心や政治利用などもってのほかである。

この事を鑑みてスペープリペチ特別防衛機関はその時代の有志により

後にプヴァトロンコードと呼ばれるガス兵器を継続研究、

二次軍事利用の阻止、防衛、情報漏洩、監視暗防を目的に特化した組織に

変貌を遂げたのである。ヘシターラミガ参謀長官の一件もいささか情報に

遅れが生じたものの、すんでの所で政治利用、破壊活動を阻止できてから

数年が立ち、小康状態も束の間、新たな不穏な動きを察知したのは

偶然の産物だった。

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