第6話 プヴァトロンコード

自身の執務室でプヴァトロン計画機密文書を読み解いていたヘシターラミガ参謀長官は、興奮に酔いしれていた。生成方法は極めて難しいものではあるが、

この兵器の利点は特定の人物のみを殺傷する事が出来、

且つ一切の痕跡が残らない事である。

特定の人物を殺傷する場合はその人物のプヴァトロンコードを特定し、

そのプヴァトロンコードに則ったプヴァトロンガスを生成しなければならないのだ。不特定多数の人間を殺傷、いわゆる無差別に殺傷する場合は

プヴァトロンヒトコードに沿って生成すればよいと書かれている。

「確かに恐ろしい兵器だ、先の大統領が封印したのも無理はない。」

「こんなものを使用されたらたまったもんじゃない。」

「だがモノは使いようだ。」

「完成した暁には、真っ先に大統領に思いっきりカマしてやろう。」

「そして、私がこの国を総べるのだ。」

ぷぁ~っぷぁっぷぁっぷぁっ。

         そして九か月後

ヘシターラミガ参謀長官の指揮の元、生成実験が行われ精密なプヴァトロンガスの生成データが構築されついに完成したのである。

大統領執務室を訪ねたヘシターラミガ参謀長官はソファーに既に腰かけているブロンコプ大統領に語りかけた。

「ついに完成の時を経て、報告しに参ったしだいであります!」

「そうか、ごくろうだったなヘシターラミガ参謀長官。」

「そこでこのデータを見て頂きたいのです。」とヘシターラミガ参謀長官は大統領の隣に近づくと大統領の顔めがめて大放屁をお見舞いした。

ぴゅぃいいいいっ。

「なんだ?ヘシターラミっ、、、、げふっ、、、かっ、、」

ヘシターラミガ参謀長官自身が生成したプヴァトロンガスは炸裂した。

大統領は泡を吹きながら悶絶している。

すぐさまドアへ向けて走ったヘシターラミガ参謀長官は外で待機しているSPを呼び

大統領が急変した事を告げた。

「大統領が倒れた!すぐに救急車の手配を!」

大統領付属の医療チームの救護もむなしく大統領は息絶えた。

勿論解剖も行われたが痕跡など出ようはずもなかった。

こうしてヘシターラミガ参謀長官の策謀は成功し

次期大統領候補に踊り出たのである。

ヘシターラミガ参謀長官はまもなく行われる大統領選出会議の事を想いながら

勝利の美酒に酔いしれていた。

極上のワインを舌で転がしながら芳醇且つ濃厚な芳香を楽しんでいた。

勿論合間にコプコプと放屁することは忘れずにだ。

絶妙に肛門の開度を調節しながら麗しい旋律を奏でる。

ぴゅぃいっ、ぷわっ、時には繊細かつ大胆にヴァフッ。

つまみの為に用意していたハードチーズ、ミモレットを齧りながらワインを飲み進めて少し経った頃、開度全開で放屁した時だった。ばびゅぅう。

自身の屁が鼻腔に達した時異変は起こった。

「はっ、かふっ、げっえ、、、なんでぅ?どうしてぁ?」

ミモレットを齧りワインを飲んだ事でヘシターラミガのプヴァトロンコードのピースが完成し自身のみを殺傷するプヴァトロンガスを自ら放屁して吸い込み、

ヘシターラミガ参謀長官の暗殺は完了した。

数ブロック離れた屋上からヘシターラミガ参謀長官の動向をスコープで観察していたヘーシタン工作員が言った。

「サーモによる体温視認完了、撤収する。」       第一放屁 完屁。


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