「ノブレス・オブリージュ」って何なのか説明できる?

※ 移転載しました:

https://kakuyomu.jp/works/16817330663922262667/episodes/16818023213584399338

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 こんにちは、たてごと♪ です。

 実は前章で、当該掲題について書こうと思ってたんですけど、長くなりすぎたんで分割しました(

 というわけで話は、前章から引き続き。


 つまり「貴族」とは、〈⦅「しゃく」を除いた⦆しゃくを保有する一族〉という事になるわけですが、さて〝noblesseノブレス obligeオブリージュ〟。

 これは心の中では{obligeオー、ブリッヂ}と読(

 フランス語で〈貴族の義務〉という意味で、一般には「平民へのほどこし」として表現されますけれども。

 でも逆に言うと、それしか義務無いんでしょうか。

 だとしたらかなりいびつですよね、だってその一方で税取ったりして、しいたげてるんですから。


 そうじゃないんだとしたら、その正体は何か。

 これは、おうこう貴族の成り立ちを追うと、浮かんできます。



     †



 そもそも王とは、戦士なんですよ。

 昔の時代には、法整備すらろくに成ってなかったから、賊だの暴漢だのが当たり前に、その辺をうろついてたわけです。

 それで財や食糧を強奪されたり、乱暴を働かれたりして、民衆は心底困らされていたわけですね。

 対抗しようにも、民衆は基本弱者だから、搾取される一方。

 ほうしゅうとひき換えに戦ってくれる、ようへいとよばれる戦士もいたけれど、そんなものを支払っているゆうも無い。


 そんなとき、これは哀れだと思って、成らず者をばっさばっさと退治してまわる戦士が登場してきたと。

 しかもようへいと違って、みんなのためにやるのだと、具体的にほうしゅうを要求しなかったんですね。

 こんなのには民衆も当然大喜び、大きくたたえてはよくもてなします。

 ただ、しもの屈強な戦士といえど、多数を相手にするのは分が悪い。

 そこへ、比較的戦える者らが王のこころざしに賛同して、共闘する王の従者として加わっていくわけですが、これが結局のところ貴族になるんですね。

 民のために身をていして戦ってくれるんですから、そりゃあとうといに決まってます。

 そうやって王ともどもあがたてまつられたのが、やがておうこう貴族に成ったわけですよ。

 つまりしゃくは本来、王とかが授けたりするものじゃあなくって、徳の高いその行いに対して、民衆が感謝を示したものなんですね。

 そのとき功績に応じて、ささげるさかづきくらいを変えた、というわけです。


 ほか、当然ながら民の間にだって、いさかいは生じるものですけども。

 その仲裁には、有無を言わせぬ強者に担当してもらうのが一番で、王がそれには打って付け。

 そんな経緯で戦闘だけでなく、統治もどんどん任された結果、王は指揮権もまた握るようになったんですね。

 そうすれば、たとえば〝こういう事やりたいんで、みんな必要物資とか集めてくんろ〟とか、具体的な公共問題の都度に王が号令して、その解決を図ったりする事になるでしょう。

 それをのちの愚王()が、〝民から財を一方的にき上げる事ができる特権〟などという都合のいい勘違いを、うっかりわざとしたんでしょうねえふざくんな()っていうのが多分、税の成り立ちなんですね。


 ちなみに貴族は、こうけんを認められた人たちなので、まあ国ごとの制度によっても変わりますが、免税特権なんてものを持っていたりもします。

 民からの徴税を代行する事はあっても、自身が納税する事はなく、むしろ王や国に尽くしているほうしょうとして年金の支給を受ける立場です。

 ウハウハっすね(

 ただ、年金だけじゃあちと足らん、という人らは独自に商売をして、そこに係る税は納めたかもしれません。


 ところでなんとなく思うのは、当初の王や貴族らって、戦士が本分だったわけで。

 なら本当は、政治なんてやりたくなかったんじゃないかなあ、と。

 ……そうだ売国しましょう(


 はい、王は最強の戦士なんです。

 だから魔王が、魔族最強のラスボスなのも、当然の話。

 なのにいや、人間の王様な?

 お前さあ、普段からてめえでたゆまぬ修練積んで、有事の際にはてめえで剣握りしめて魔王城とつりやがれってんですよ。

 いたいな少年を勇者に仕立てあげて、『ひのきのぼう』と『ぬののふく』渡して旅立たせてんじゃねえですよ。

 なーにが〝しんでしまうとは なさけない〟だ、この『うまのふん』野郎(



     †



 かん休題(

 そう、かん休題です(

 こう順を追って見てみると、掲題についておおまかに二つの事が察せられてきます。


 まず一つは、〝貴族の義務ノブレス・オブリージュ〟とは民を護ること、そのために命をけること。

 だから身を張って、敵をしり退けもする。

 ほどこしで民が救えるなら、それもその一環。

 よいかっこうや高い能力を示すことで、民の品位向上を促せるなら、模範的にふるまう。

 大体そんな感じの事を、自発的にすべし、とのきょううものなのだと知れるわけですね。

 ぶっちゃけ、本当にその通りにふるまえていたら、それは間違いなく貴人だし、貴族でしょう。

 当たり前ですが、貴族だから偉い、偉いから何をやってもいい、ではなく。

 偉い行いを普段からやり続けているからとうとい、ってわけですね、当たり前ですが。

 大事なことなので二k(


 そしてもう一つ、その使命は貴族のみならず、王族とて同じであるはず、王族と貴族の両方に共通するはずの使命なわけですよ。

 だとしたら、「貴族の義務ノブレス・オブリージュ」って、果たして名称として適切なんでしょうかね?

 とはいえ、「公の義務ロイヤル・オブリージュ」としてしまえば、今度は貴族が除外されてしまう。

 これは一体、どういう事だろう。

 そも、おうこう貴族が成り立ったのは大昔で、故事の断片を見るかぎりそのきょうは、かつてからへん的に存在していたとうかがえるもの。

 その一方で、「noblesseノブレス obligeオブリージュ」という語が登場してきたのは、大きく遅れて十九世紀のころ、との話。

 あるいは深く考えずに、作ってしまった「造語」……なんでしょうかね。


 新語のでんは、提唱者よりも、それを大きく伝えたせんどう者によって、果たされるもの。

 じゃあそのあたり、「noblesseノブレス obligeオブリージュ」についてはどうだったのか。

 あわせて語られておかしくない、王族に関する要素が、よもやげ落ちるような切り取り方を、したのではあるまいか。

 意図して切り取ったなら、そこには王族に対するなんらかの含みが、あったのではないか。

 いやまあそこは、情報が全然出てないんで、追いきれなかったんですけどね。


 誤解されがちな事で有名なことばに、〝お客様は神様です〟というのがありますけども。

 これも発端の某ハルオっち()としては、そんな横柄なことを語ったつもりなどじんも無いやつで。

 なのにこれを、〝ウケる〟とか考えた「ドゲス・ザ・クライアント()」などから〝しつように繰り返せ〟とゴリ押しされたせいで、抜けがらことばだけが一人歩きを始めたと。

 そういう事らしいですよ。

 新語は一度定着してしまえば、改められるという事がほとんどありません。

 なのでせんどう者の責任はクッソでかい、って事をそろそろ、わかっていただきたいところ、なんですけれども。

 この手合いって、ほぼほぼ「自分さえ良ければマン()」だから、きっと人の話なんかろくに聞きやしないのよね……。


 そもそもことばって二つの機能を持つもので、それは〝〟と〝こう〟。

 その意味も理解せずに、効果だけにかたよってことばしゃべる生き物は、〝ひと〟ではなく〝きゅうかんちょう〟とったと思うんですけども。

 『へんげのつえ』とかで人に化けてんのかな(



     †



 ところで貴族に悪役を演じさせるには、この〝貴族の義務ノブレス・オブリージュ〟を踏み外させればいいわけですけども。

 ただ単にそれだけの人物だと、〝あくやく〟というより〝〟。

 本物の悪役というのは、執念深くこうかつに生き延びるものなので、その人物は基本、頭が良くなくてはいけません。

 でもアレな話ですけど、頭の良い人物っていうのは頭の良い作家にしか、描写できないんですね。

 とはいえ悪役というのは、シリアスな物語を盛り上がらせるには、ほぼひっで。

 でも、頭を使えないクズを無理に持ってきても、〝瞬殺やられ役〟か、〝ご都合主義を出さないとライフをゼロにできないバイタルお化け〟にしかならないと。

 そういうのって、少なくともシリアス路線でやるかぎりでは、多分あんま面白くないんですよ。

 キレ者を登場させるのは自分には難しい、そう感じる作家さんの場合は、シリアスよりもギャグや不条理にてっしたほうが、面白味を出しやすいかもしれませんね。



     †



 そういや、イギリスに程近い人工島を領土(?)とする、「シーランド公国」という国があるんですけれども。

 その公設Webサイトにて、なんとしていて、こうにゅうすればじょくんを受けることができます。

 ……以前はURLここに貼ってたんですが、どうも


  ◦ 


という事のようなので、興味ある方はWeb検索で辿たどってみてください。

 お値段を見てみますとそう高額でもなく、最高位の〝こうしゃく〟でも8万円弱。

 とはいえこのシーランド公国は、「自然陸地が無い」ことを大きな理由として、これを国家として認めている他国家がひとつも有りません。

 したがってこうにゅうできるしゃくには、国際法上での実効性も残念ながら、有りません。

 もちろんネタとしてこうにゅうするぶんには、まあいいでしょう。

 ただしその際には、まじめに〝貴族の義務ノブレス・オブリージュ〟をちかっておくべきかと思いますよ。

 さもないと、〝ただのクズ〟になり果てますから──。


 ……あっ。

 これじゃあなんか、いいまとまり方で終わっちゃいますね。

 しまったしまった。

 それでは非常にまずいので、ここに本当のことを書いておきます。


 〝貴族の義務ノブレス・オブリージュ〟とはつまり、〈オレンジの絞りじるを民にふるまう事〉なのです。

 そのための所作が法によって厳格に定められていて、その遂行のためにはこくな精神の鍛練が必要。

 よってこれをすことのできる貴族は、このうえなく尊敬されるわけです。

 たとえば民へほどこしをする際には、このように声掛けしなければならない事になっています。

 「貴族の義務飲みます? オレンジジュース。」──。

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