インターステラー

 作品内にも登場させてますが、私の個人的信念の一つ。

「タイムマシンの原動力は愛だ」

 を体現している作品でした。

 まさしく理想の作品。

 胸を張って人に勧められる作品ですわこれ。


 まず地球がヤバい。終末世界はどんな感じかをきっちり映像でわかりやすく表現されてる。今書いてるのが終末を舞台にした作品なので、その世界観の参考になります。少女終末旅行みたいに「人がほぼ居ない終わってしまった世界」ではなく、その過程の世界を舞台にしたかったのでまさにやりたかった舞台なのです。


 そして宇宙ヤバイ。宇宙旅行してる気分にさせてくれる。もちろん100%リアルを再現しているとは思いませんが、ここまで映像化しようと思っても出来ません。別にこの作品の出来とか関係なく、インターステラーを見た次世代のクリエイターが新たな宇宙を創造してくれることが楽しみで、その土台となる作品であることは間違いありません。


 そして血なまぐさいバイオレンスなシーンも基本なかったので誰でも安心して見れますね。それこそ宇宙でチャンバラしたって嘘にしかなりませんから、こういう形の「生存競争」というとらえ方もできるかと。


 タイムパラドックス的なお話はナンセンスなのであまりしたくありませんが、簡単に言えばあれはタイムマシン(理論)の完成した世界線でしょう(タイムマシンが作られたかどうかは別の話)。

 過去に跳躍する上で五次元的アプローチは必要不可欠なので、すなわちタイムマシン理論が完成していることは五次元世界の存在証明でもあると言えます。つまり我々の世界は高次元の存在によるシミュレーションの一部でもある、と。今作で言えばそれが「未来の人類」であったというお話です。


 個人的に、最近は作品の要素を分解して売れる作品にはどういう要素が含まれているかを調べるようにしているのですが、今作であれば「親子愛」「親子の確執(すれ違い)」「裏切り」「未知の探求」「究極の選択」「箱庭」辺りでしょうか。


「親子愛」は言わずもがな、宇宙飛行士クーパーと娘マーフ、それにブランド教授と娘のアメリアです。


「親子の確執(すれ違い)」は帰ってこないクーパー、すれ違い要素は多々あるので省略。


「裏切り」は地球が助からないと黙っていた教授、帰りたい一心で信号を送っていたマン博士など。


「未知の探求」は宇宙そのもの。


「究極の選択」は自分の娘(愛する人)か、未来の人類か。


「箱庭」は滅びゆくとわかっていて何も出来ない地球。



 ラストの期待を含ませたエンドもいいですね。

 あと対比も素晴らしい。これは要素というか技法ですが、宇宙でのやり取りと地上でのやり取りがリンクしているかのような表現。ヒメノア~ルでもありましたが、これは「特殊と普通」の対比、ヒメノア~ルであれば「日常と非日常」の対比です。


 最後にわからなかったのでちょっと調べたシーン。

 マーフがトムの畑を焼いたシーンと、そもそも植物が駄目になる理由。


 植物が駄目になるのは疫病の流行で作中でも言及してましたね。忘れてた。

 メタ的な視点から考えると地球からの警告です。早くこの星から出ていけ。


 マーフがトムの畑を焼いたのは部屋を調べるためだったんですね。どちらかというと病院につれていくことがメインか。

 メタ的にはトムを土地の呪縛から解放するため(これはクーパーが帰ってきたことがわかってですが)。


 これだけ長いと中だるみもあったりするものですが、それが全く感じられない。

 むしろ中盤の23年分のメッセージが一番の感動ポイント。


 そしてこれも構成の話ですが、最初に現在(でもないけど)のマーフのインタビューで誰だろうと思わせておいての(クーパーの祖母っぽい演出ですし)、過去から現在までの一連の流れを見せてからの最後に現在(というか未来)。

 1話がラストにつながる演出はお約束の燃える展開ですから、嫌いじゃない限り取り入れても良い手法です。


 ああしまったAIについても色々言いたい。AIは人間味あふれる存在でなければいけない。人間は非情に、AIは有情に描くべし。これはエンタメ要素において黄金率。


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