第4話

 マナブは無表情になり、手をゆっくりとサクラの体に伸ばす。それから、衣装の隙間に手を潜らせて、膨らみに手を添える。


(これがっ、サクラのっ!)


 目を見開きながら体を硬直させて、その場に佇むサクラ。


(えっ、えっ!?)


 マナツも目を見開きながらサクラの体を見つめた。


(えっ、うぇっ!? アイツなにしてるんだよ!?)


 マナブはサクラの顔を見つめる。


(あれ、拒絶しないんだね)


 サクラは顔を引きつらせながら眉尻を下げた。


(マナブさん、なんでこんなことを?)


 サクラの衣装を内側から小さく動かし始めるマナブ。


(サクラの心と同じように、綺麗な形だ……拒みもせず、受け入れすぎず程よい弾力が心地いい)


 マナツは眉尻を上げながら二人を凝視する。


(サクラ、イヤなら早く離れろっ!)


 口の端を僅かに上げながらサクラの体を眺めるマナツ。


(なんだか興奮しちゃう! まるでイケない光景を見ているような。いやいや、イケない光景だよ!)


 マナツは顔をしかめながら頭を抱える。


(しかも知らない男に触られてるサクラで興奮するなんて、最低だボクって)


 サクラは頭を掻きながら俯く。


「……マナブさん、急にどうしたんですか?」


 マナツは目を見開きながらうろたえる。


(マナブって、ボクと名前が似ててなんだかイヤだな)


 ゆっくり首を横に振るマナブ。


「急にじゃないよ。前からだよ」


 こわばった顔を作るサクラ。


「どういうことです、か?」


 微笑みながら囁くマナブ。


「サクラのことが、ずっと前からいいなぁーって」


「そうだったんですね……」


 サクラは無表情でマナブの衣服を見つめる。


(うぅ、イヤだなぁ。でも、拒否して嫌われて関係を壊したくないし……どうしよう)


 マナツは眉尻を下げながらたじろぐ。


(サクラ? 困ってるのか?)


 無表情を作りながらその場に佇むマナツ。


(あっ、そっか。そういうことか)


 マナツは眉尻を下げながらその場に座り込む。そして、膝を抱えながら床を眺めた。

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