第2話

 空に昇った太陽の日射しが町中を照らしていく。


 そして、マナツは木造の小さめな一軒家の前に到着した。


(サクラとの約束の時間だ。忘れずに来たぞ!)


 腕を組みながら首を傾げる。


(やっぱり、お昼って曖昧な時間指定は困るよなぁ……合ってるのかな? 大丈夫だよね?)


 玄関の扉を五回叩く。軽い音が扉から発せられる。


「サクラー、きーたよ」


 しかし、静かな時間が流れるだけだった。


(ん、気づいてない? もう一回!)


 扉を三回強く殴打する。重い音が周囲に響き渡る。


(んー……やっぱり時間間違ったかな?)


 眉尻を下げながら周囲を見渡す。


(まさか、家の中で倒れてたりしないよね!?)


 目を見開きながら扉を勢い良く開けた。


「サクラ? 居る?」


 部屋の中に視線を巡らせる。


「サクラ?」


 無表情で玄関で佇み続けた。


(あれっ!? 玄関が開いてるのに、居ない!?)


 眉尻を下げながら頭を掻く。


(うーん……。どうしよう。出かけてるのかな?)


 口に手を当てながら笑顔を浮かべる。


(あっ! 最近会得した隠密魔法、『ステルス』で姿を隠して、帰ってきたところを驚かせてあげようかな?)


 笑みを浮かべながら部屋の中に進む。


(どんな反応するんだろうなー)


 部屋は十五平方メートルほどの広さで、高さは三メートル程。二か所の壁には窓が備えられている。天井の中心からはシンプルな照明がぶら下がっていた。


 マナツは隅に設置された棚に近づいていく。


(あっ、こんなところにボクがあげた腕輪が!)


 マナツは棚の上に置かれてる、黄色い腕輪を微笑みながら眺めた。

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