第3話


 これで魔物の心配も無くなった。今の俺に殆ど倒せないものはいない。そして、その後もその本を歩き読みしながら、村や街を探した。


 「どんどん強くなっている感じがする。」


 と、のんきなことを言いながら、歩くこと一時間、ようやく集落を見つけた。


 「村だ!」


 喜んで村に入ろうとすると、変な空気を感じた。なかなか発展した村であり、人が住んでいそうな雰囲気はあるのに、誰一人と人影がいない。


 「もしかして、廃墟的な?何だよぉ、ようやく落ち着けると思ったのに…」


 次の瞬間、殺気を感じ、本能のままに横に避けた。


ズシィィィン!


 大きなものを叩きつけた音、振り向くと、巨大な木槌を持った巨人がいた。


 「コイツは見たことあるぜ。何せゲームばっかしてたもんな!」


 俺の推測だと、奴はサイクロプス。1つ目の巨人な悪魔だ。そして、また木槌を振り上げた。


 「クソ!」


 ギリギリ避けることは出来るものの、木槌を叩きつける衝撃は非常に強く、その反動で、地面に倒れてしまった。


 「さっきの熊よりも何倍も強いなぁ。お返しを喰らわしてやるよ!」


 そして、また手を構えた。


 「氷系特大魔法インゼオン!!!」


 すると、たちまち手から特大の吹雪が発生し、その吹雪はサイクロプスを囲み、一瞬にしてカチコチにサイクロプスを凍らせた。そして、頭から割れていき、サイクロプスは消滅した。


 「ふぅ。さっきの魔法よりも強い気がするな…」


 それもそのはず、俺はさっきまでずっと経験値の書の歩き読みをしていたのだ。レベルも格段に上がり、魔法の威力も上がったのだろう。


 「おい!見ろよ!あの冒険者、サイクロプスを一撃でやっつけたぞ!」

 「きっと勇者様なんだわ!」

 「勇者様!バンザーイ!」


 1つの倉のようなところから、沢山の村人が出てきた。


 そうか。サイクロプスが村を襲ったから隠れていたのか。


 すると、その村人の中からご老人が前に出てきた。


 「私はこの村の村長です。この度は、あの1つ目の悪魔から我々をお救いいただき、まことに感謝します。もしよろしかったら、我々のこの村でもてなさせてください。あなたは我々の命の恩人だ。」

 「良いんですか!?丁度良かった。歩き疲れていた所なんですよ。」

 「お城のように綺麗な場所ではありませんが、自分の家だと思っておくつろぎください。」


 そして、運良く村に泊まることが出来た。これで、何とか夜を過ごせるはずだ。

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