第2話


 ◆◆◆◆◆


 「あれ?あれ?あれれぇ?もしかして、もう転生し終えちゃった?」


 ノコノコと遅れてやってきた転生長・天使ダウガロン。彼は、洞窟内の「転生の間」に、転生してくるはずのイワミ ユウキがいない。


 「やってしまった。まぁ、その辺でノコノコとさ迷っているかな?」


 そして、書類を取りに行こうと、部屋に行った。


 「イヤァァァァ!??何で!何で!書類、それに!経験値の書もナイィィ!!??」


 彼は、隅から隅を探したが、書類とその本が無いことを知る。


 「さては!あのユウキという輩が盗んだのダナァ!?経験値の書を無くしては、マイムラー様(大天使)に鉄槌を喰らう。そして、天使から追放されてしまう!」


 彼は、思いっきり口笛を吹いた。すると、空の彼方から、大きな鳥が飛んできた。


 「行くぞメウン!あの憐れな男を追うのだ!」


 メウンと呼ばれる鳥は、ダウガロンを乗せて空へ飛び立った。


 ◆◆◆◆◆


 「何処に行けばいいんだ?」


 森、いくら歩いても森。村1つ見つからない。このままでは、魔物まものとやらが現れて、即死してしまう気しかしない。この世の中に復活の魔法や薬は存在するのか。またまた転生してしまうのではないか。


 それとも、死んだらあの世に戻れるのか。


 色んな憶測を考えながらも、歩いていると、案の定嫌な音がした。メキメキと草木を踏んでこちらに近付いてくる音だ。


 ウガァォァ


 草むらから飛び出たのはスライムでもゴブリンでもなく、赤い毛の色をした熊のような動物。青くて美しい眼をしているが、鋭い牙のある口から漏れるヨダレは、恐怖さをました。


 「嘘でしょおお!?」


 俺は、後ろを向いて走って逃げ出した。そしたらもちろん、奴も追いかけてきた。確か現世でも、熊に背中を見して走るのは危ないと聞いたことがあるが、だからと言って戦うことは不可能だ!銃も剣もない。あるのは「経験値の書 ∞」のみ。


 「ど、ど、どうしよう!」


 俺は、とっさに本を開いた。すると、また覚醒モードに入った。


 「そうだ!これだ!」


 俺は、足を止め、奴の方を向き、手を構えた。


 「オルガノン炎系大魔法!!!」


 すると、手から炎が現れ、その炎はたちまち奴を囲い、奴を一瞬にして焼きつくした。


 「す、スゲェ。でも、何でだ…」


 とっさに取った行動だが、なぜ、こんなものが使えたのかは分からない。だが、おそらく、経験値の書を読んだがために、即座にレベルが上がり、魔法を習得したのだろう。


 「フヘヘ…チートや。チートアイテムやな。これ。」

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