第16話 罠を仕掛けた奴らの後始末
魔盾亀の後ろからタマが無事に出て来る。
よくやったぞ亀。
可愛い可愛いタマが傷付くのは許せんからな。
俺はドラゴンの死体をついでとばかりにアイテムボックスに収納し、洞窟の入り口へと向かう。
せっかく無理して倒したのに他人に素材を盗られるのは癪だからな。
あの大規模魔法行使の後もクレアの尻に指を入れていた。
さすが魔力タンクと見込んだクレアだ、あれだけの大魔法を使った後もまだ魔力に余裕があり魔力を吸わせてくれた。
俺の身体にはまだ魔力が漲っていた。
「亀、タマを守れ。
クレア、一緒に来い!」
「い、い、一緒にってまだ心の準備が……」
残念さんは何を言っている?
まさか、一緒というワードで「この後生涯ずっと一緒にいようね」ってプロポーズだとでも思ってるのか?
いやいや、まさか。
そこまで残念なわけがない。
「【
俺は俺たちを罠にかけドラゴンを嗾けた連中を探知し、その全員に攻撃魔法をぶち込んだ。
魔力で探知し続けている限り、雷魔法が雨霰と降って来る極悪魔法だ。
これも魔力が潤沢にあればこそ使える魔法だった。
「クレア、魔力ドレイン」
「は、はい」
思わずクレアが尻を向けて来る。
いや、それだと確かに早いけど、皮膚に触れる通常の魔力ドレインで良いんだからな?
まあ、クレアの好意だ、使わせてもらおう。
俺は有難く、クレアの尻穴に左手の人差し指と中指を突っ込んだ。
「はう♡」
変な声を出すクレア。
これが癖になってしまっても問題だな。
そもそもこんなこと人前では使えないぞ。
あ、人前というのは第三者のことで、ぶち殺す予定の連中は、死んでそこまでの記憶なので対象外だ。
いや、それよりも、この残念さんの父親は現役剣聖だっけ?
これは真剣に嫁として考えないといけないかもしれないぞ。
「【
よし、全員片付いたな」
俺は魔法で焼いた連中を探りに行く。
雷魔法なので、感電死しているため、火魔法のように原形を留めていないなんてことがない。
懐を探り、目ぼしいものは剥いでアイテムボックスに入れる。
素性を探るのと、証拠として装備品を確保するためだ。
お金も持っているが、それは死人が持っていても無駄なのでいただく。
結果、この連中はやはり、さる侯爵家の関係者だった。
「嫌だねぇ。わざわざ証拠となるものを持たすかねぇ」
どうやら、いつまでも俺の命を狙っているぞという意思表示らしい。
逆恨みのくせに、面倒臭いな。
となると、このドラゴン素材の採取依頼も、それごと罠ということか。
これは冒険者ギルドに文句をつけないとな。
こっそり素材を採取するだけだったのに、ドラゴンを討伐してしまったではないか。
ここはドラゴン素材の採取には美味しい狩場だったのに。
殺さず落としている素材をいただく、それだとどちらも不幸にならないだろ?
俺はドラゴンに手を合わせて、この場を後にすることにした。
「タマ、クレア、帰るぞ。
そうだ、クレア、この依頼終了後はどうするんだ?」
「ど、どうするって、夫婦は一緒に住むのが……そして夜は……何言わせるんですか!」
ああ、やっぱり、嫁になるというのはクレアの中では既成事実なのか。
「そうだ、お父様に会ってもらわないと」
「は?」
「貴族は面倒な手続きが必要なんだからね」
いや、それ大丈夫なのか?
俺は平み……そういや勇者と一緒に行動している時に、伯爵位を貰ってたから一応貴族だったわ。
まだ有効なのかは知らんけど。
あの勇者パーティー壊滅事件で、あの後どのような扱いになったのかは知らないんだよな。
ああ、それと、俺がその勇者パーティーの生き残りで、魔力回復量0の魔導士だって知られたら、クレアの父親も結婚を許さないかもな。
あれ? これは都合が良くないか?
剣聖だという父親に結婚を反対されれば、丸っと上手く収まるのでは?
「そうだな、おまえの父親に会いに行くか」
このまま逃げると娘が慰み者になったとか、貴族の矜持がどうのと、例の侯爵みたいに目の仇にされるかもしれない。
向こうさんから断られるのならば問題はなくなる。
ここは、ちゃっちゃと済ませておくべき案件だな。
魔力タンクとしては優秀だけど、クレアとはここらでお別れしておくべきなんだろうな。
「気に入らない人は斬り捨てる恐い父だけど、ケインならば大丈夫だと思うよ」
待て。
それって娘の貞操を穢したと判断されたら、即刻斬り捨てられるってことじゃないか!
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