第3話 考察

 もしここまで読んでいただいた方の中には、


『別にそんな面倒くさいことしなくても普通に上から何かかければいい』


 と思う方もたくさんいることだろう。

 ――まったくその通り。

 手間の割には劇的に変化するわけでもないので、全面的にお薦めするつもりはない。

 が、しかしである。一つ考えてみてもらいたい。

 バターを塗って食べるパンと、バターを生地に練り込んだパンを食べるのとでは同じかどうか――と。

 あるいは、プレーンのパンとくるみやチョコチップが入ったパンが同じかどうかを。


 世にそういった商品があるのは事実である。と、するならば『醤油をかけた目玉焼き』と『白身が醤油味の目玉焼き』もまた別物ではないだろうか。

 そしてもう一点。私は重要な事実を提示したい。

 食卓という食事フィールドから、お弁当という食事フィールドへと目を向けた時。おかずとしての『味付きめだ』には、わざわざお魚さんの醤油さしや四角いタレビンを入れなくても良いという事実。


 以上のことを踏まえても私は十分に『味付きめだ』の可能性はあると、一人結論付けた次第だ。

 私には試すことが出来なかったが、食紅を使えば色とりどりの『色めだ』も作れるかもしれない。

 かぼちゃやほうれん草などのポタージュを混ぜ込んだ『ポタめだ』も面白いかもしれない。


 料理であろうと小説であろうと新しい発想は大事である。例え荒唐無稽であろうとも抜きんでる何かを求めなければ、大成はなしえないだろう。

 なんて偉そうにそれっぽく書いたところでこの辺で終いとしよう。

 本コンテストの募集要項にある条件の一つに料理名を考えろというのがあったので、それを最後に書いておく。


 万色ばんしょくの目玉焼き――と。


 中二病っぽくて実に良い名前だと自負している。



                         ――了――



※ すべての目玉焼きはスタッフ(作者)が美味しくいただきました。

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キミだけの目玉焼き 維 黎 @yuirei

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