第113話 予選二回戦目
「例のレンジャーの子と一緒のフィールドか。大丈夫なのかしら、あの子」
観客席から組み合わせ表を見たシシリーはメアリーがユリウスと戦う事になった事を知り、不安げな表情になる。
レンジャーとして活動している分、戦いに慣れているユリウスと鍛えているとはいえ実戦経験が少ないメアリー。
それに加え、二回戦目はレンジャーのサバイバル訓練を元に内容変更されたものだ。
明らかにメアリーが不利だと判断せざるおえない。
「メアリーがユリウスくんと・・・・・・」
『あらぁ、複雑?』
「うん、どっちも頑張ってほしいし勝ってほしいけど、一回戦目と違って一人しか勝ち上がれないんだよね?」
そんなシシリーの横でメロディーは自分の双子の姉と恩人であるユリウスが戦う事を知り、複雑な心境にいた。
再一回戦目でも二人は一緒だった、その時、メアリーは二人を応援していた。一回戦目は数人が勝ち残る事ができるものだったからだ。だけど二回戦目は一人しか勝ち上がれない。
――メアリーが勝ってほしい、だけどユリウスくんが負けるところを見たくない。
複雑な心にギュッと両手を握るメロディーをリンは静かに見ていた。
『んご~・・・・・・、もうお腹いっぱいにゃ~、むにゃむにゃ』
『アンタは早く起きてメアリーちゃんの応援しなさい!!!!!!』
なおタマは満腹になったせいか爆睡していた。
――予選二回戦目会場・第二フィールド前。
「すーはー・・・・・・」
深く息を吸い込み吐く。
少し手が震えてるのを感じながら前を見据える。
周りの人達は私と違って落ち着いてるように見えた。私と違って、経験豊富なフィッシュハンター達だ、経験が浅い私なんて眼中にないんだろうな。
そして、今、私が気になっている人物――ユリウスくんに目を向けた。
あの時の怒りは収まっていて、これから始まる二回戦目に集中してるようにも見える。
落ち着かないのは私だけか・・・・・・。変にソワソワする。落ち着け、絶対に勝ち抜いて優勝すると決めたんだから!!
タマから教えてもらった妨害術で頑張るぞ~!!
「あの~、皆さん、移動されましたが・・・・・・」
「あっ!! すみません!! すぐに行きます!!」
いつの間にやら、私以外の参加者は会場へと移動していた!!
スタッフさん、声かけてくれてありがとう!!
観客席からクスクスと笑い声が!! 恥ずかしい!!
「何やってんの、あの子・・・・・・」
「メアリー・・・・・・」
『あらあら』
『ふご~』
『アンタはいい加減起きなさい!!(タマを思いっきり引っぱたく)』
『痛いにゃ!!』
――第二フィールド内。
「揃いましたので、これより予選第二回戦目を開始します!! それではよーいスタート!!」
審判が試合開始の合図と共に私は猫の手~杖mode~を構えて。
「すねこすり来い来い!」
そう唱えると私の周りに風が発生して、七匹の猫の形に変わる。
「すねこすり達! じゃれちゃって~!」
『『『『『『『にゃ~!』』』』』』』
私の合図と共に七匹の風の猫達はフィッシュハンター達に向かった。
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