第112話 二回戦目が始まる前に
ハリーさんと別れ、私は一人で会場に向かう。
二回戦目の内容変更がユリウスくんの為、というのは解っていたけど、ここまで露骨にされるのは嫌な気分になる。
ユリウスくん本人はとても良い子なだけにやるせない。
シシリーさんの話から、今のブリューナクは聖女様とやらの贔屓のせいで大変な目に遭っているのは聞いてるけど、ここまでやる?
どうせなら釣り大会を巻き込まないで欲しいところ、マリオン会長が怒るのも当然だ。
この釣り大会はフィッシュハンター達の大会。
それをたった一人を優勝させるために変えた、フィッシュハンターに関係のない者が。
気持ち新たに私は会場へ向かった。
――会場内・大広場。
二回戦に進んだ人達が集まっている。
大勢居た参加者は今は半数しかいない。
一回戦目でそれなりの数をふるい落とすと聞いていたけど、半数も落とすのか。半数まで人数を絞らないと人が多すぎて時間かかるかもだから仕方ないのかも。
キョロリと辺りを見渡すとルカルカ、ユリウスくん、ハナコさんの三人の姿が見えた。
三人ともやっぱり残ったか。ルカルカはニコニコと笑っていて、ハナコさんは緊張してるのが解る、ユリウスくんは・・・・・・。
怒ってる。
表情には出てないけど、こう体中から怒りのオーラが出てる感じ? どう表現すれば良いか解らないけど怒ってるのが解る。
そのせいかユリウスくんの近くに居る人達は少し距離をとってるよ。
事前の説明で自分の関係者がやらかしたって解ったんだろうな。
ユリウスくんもこの事態を快く思ってないって事だ、それが解って安心した。
怒れるユリウスくんを横目に見つつ会場に置かれている演説台の上にアプリコットちゃんがマイクを持って立っていた。
『皆さん、全員集まったようなので皆さんに事前に説明しましたが改めて予選二回戦目のルールをお伝えします。
ルールは至ってシンプル! 制限時間以内に相手が持っている水晶玉を奪う! これだけ!
だけど、気絶させる程度は大丈夫ですが殺傷レベルの攻撃は禁止です! それだけは気をつけて下さい!!』
アプリコットちゃんの説明を聞いてユリウスくんの怒りが大きくなるのを感じる。周囲の人もそれを感じ取って、また距離を置いてるよ。
怒るのは解るけど少しは抑えて欲しい、怖いから。
『さて、二回戦目もまた三つのフィールドに別れてもらいます! 組み分けは私の背後にある魔導式映写機で写し出されますので目を思いっきり見開いて見て下さいね~!』
元気なアプリコットちゃんの声と共にパッと魔導式映写機で組み合わせ表が現われる。
えっと、私は何処だ。
「・・・・・・・・・・・・え?」
私の名前を見つけると同時にユリウスくんの名前を見つけた。
どうやら、私は二回戦目でユリウスくんと戦うみたい。うっそ~。
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