第111話 予選二回戦目はレンジャー式バトルロイヤル?
「メアリーさん!」
腹ごしらえを終え、協会施設で二回戦が始まるまで休憩していたらハリーさんがやってきた。どうやら、私の応援に来てくれたようだ。
ニコニコしながら駆け寄ってくる姿に、走らなくても逃げないのにと思ってしまう。
「予選一回戦目、突破おめでとうございます!」
「ハリーさん、ありがとう」
「次は二回戦目ですよね。確か、バトルロイヤル形式だとお聞きしたのですが・・・・・・」
「そうだよ。これがルール」
私は事前に配られた二回戦目のルール用紙をハリーさんに見せる。
ハリーさんはちょっと失礼と言って私からルール用紙を受け取り、じっくりと見ると。
「・・・・・・・・・・・・やっぱり」
「やっぱり?」
「メアリーさんの所に来る前にルールをある程度、聞いていて、もしかしてと思っていたのですが、このルール用紙を見て確信しました。二回戦目はレンジャーのサバイバル訓練に近いです」
「レンジャーのサバイバル訓練?」
「はい」
ハリーさんの言う、レンジャーのサバイバル訓練とは。
レンジャーチームと密猟者に扮した敵チームの二チームに分かれて一週間、自然の中で訓練するというものらしい。レンジャーチームは敵チームを捕まえ、敵チームは逃げ回り捕まらないように動き回るんだとか。
簡潔にまとめると鬼ごっこみたいなものかな?
「レンジャーの主戦場は自然です。その中でどう動き、どう敵を捕まえ魔獣達を守るか訓練で学んでいきます。その訓練の中でも過酷なのは、このサバイバル訓練なんです」
「は、はあ。そうなんですか」
話聞いてる限り、近いかどうか解らんのですが。
今の所、レンジャーの訓練が厳しい事ぐらいしか解らない。
「で、この二回戦目ですが、水晶玉を一つ渡されましたよね?」
「ええ、それを守りながら相手の水晶玉も奪うみたいです」
釣り大会で行われるバトルロイヤルは実に単純。
制限時間以内に自分の水晶玉を守りながら、相手の水晶玉を奪うというもの。
これなら数人残ったとしても奪った水晶玉の数で決着つけられるという話らしい、でも奪った数が同じ数だったらどうするんだろう? じゃんけんでもするのかな?
そんな事を考えてたらハリーさんがごそごそと懐から魔術式が刻まれた水晶玉を取り出して、私に見せた。
私が渡された水晶玉と魔術式が刻まれている以外、大きさが同じような気が。
「レンジャーのサバイバル訓練では敵チームをただ捕まえるだけではないのです。敵チーム一人一人が持っている収納玉、今、俺が持っているこの水晶玉を奪わなければいけないのです」
「収納玉? 何か収納できるもの?」
「メアリーさんの言うとおり収納能力を持った水晶玉です。ありとあらゆるものを収納できます」
「ありとあらゆる・・・・・・、もしかして魔獣とかも?」
「そうです、密猟者は収納玉に密漁した魔獣や魔法魚を収納して持ち運びます」
「つまりサバイバル訓練の本来の目的は密猟者から収納玉を奪う力を鍛えること?」
「はい、そうです。それが一番の目的です」
なるほどね。密猟者を捕縛するのも大事だけど、密猟者が捕まえた魔獣やらを取り返さなきゃいけない、だから、自然の中で収納玉を奪う能力を鍛えなきゃいけないのか。
ようやく、ここでハリーさんが近いと言っていた理由が解った。
「ハリーさん、その収納玉を私に持たせてくれる?」
「どうぞ」
私はハリーさんが持っていた収納玉と渡された水晶玉を比べる。
大きさも重さもほぼ同じだ。
これって、そういう事だよね。
「エヴァンスさんから少し小耳に挟んだのですがブリューナクのレンジャーが参加していると聞きました。もしかしたら、ですが・・・・・・」
「ハリーさん、もしかしたらじゃないよ。これはもう確信してもいいと思う」
二回戦目は紛れもなくブリューナクのレンジャー、ユリウスくんの為に調整されたものだ。
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