第2話 サイゼリヤと幼馴染

「よう、久しぶりだな。元気だった?」


俺は顔を上げ、目の前に座った女子に手を挙げる。


サイゼリヤに現地集合。

どうかと思うが、幼馴染だし。これくらいなら許してくれるだろう。俺とこいつの仲だしな。


「うん。普通に元気だよ。そっちは? 仕事ヤバくないの?」


彼女は席について、バッグを横において髪を整えながら言った。


目の前に座るこの女の名前は、才野さいのゆめは。


俺とは幼稚園からの幼馴染で、歳は一個下。


子供の頃からあまり伸びない身長と……無駄に大きくなった胸が特徴である。


高校生くらいの頃は意識してドキドキしていたが、もう長年の付き合いだから今はあまり気にならなくなった。まぁ、デカいなとは思うけど。


前はショートカットだったが、今は肩より少し長いくらいで垂らしている。


灰色のセーターと黒い中に着るやつ(名前知らない)を着て、下は水色スカート。


高校の時よりはオシャレチックになったが、今日はラフめな格好だ。


「ホワイトでもなけりゃブラックでもない。ただの安月給でございますよ。」


「あはは、そうなんだ。で、どうしたのいきなり呼び出して。」


俺が肩をすくめて答えれば、彼女も笑ってくれる。


「いやなんだ、久しぶりだし。会いたくなって。」


流石にサイゼリヤがネットでバカにされてて、それでカッとなって誘ったとは言えない。


そんな理由で誘われるのは心外だろうし、俺的にもなんか恥ずかしいから。


「……ふーん。あっそ。じゃあ、なんか頼もうか。」


彼女は何故かチラッと机を下を見て、それから意味深に微笑んでメニューを手に取る。


「てかさ、なんでサイゼ? 別にいいけど。サイゼの現地集合とか初めて聞いたんだけど。しかも夜中に。」


「まだ夜中ではないだろ。サイゼは……その、食いたかったから。駄目か?」


「いやいーよ。ここで変に高いレストランとかだったら、逆に引くわ。これくらいが私達には丁度いい。美味しいしね。」


彼女と気軽な会話を交わし、メニューを選んでいった。


サイゼリヤのために来たが、やはり幼馴染と話すのもたまにはいいなと思う今日であった。

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