第四話 警察病院
風祭探偵社 嵐・麻美
電話が、鳴った。
麻美が、取った。
ここまでは、普通の対応だ。
「え! なんですって? で、私たちにアイデアを出してほしいということですか? 社長に相談してみます。私だけでは、何とも……答えようがありません」というと、受話器から口を放して「社長! 都警の波賀京志郎警部から、電話です。急ぎの案件、らしいのですが……」と私が呼ばれた。
私は電話の元に、急ぎ駆けつけた。
編み上げブーツのカツカツいう音が、室内に響いた。
そして、麻美から受話器を代わってもらう。
「で、何が急ぎなんだ? アイデアがどうのという話が聞こえたが?」と静かに諭すような口調で聞いてやる。
電話の向こう側で、バタバタと忙しく音が聞こえた。
京志郎のことだ、何かを掴まない限りここまで慌てて掛けて来ることではない。
「昨日、怪しい動きをしていた四人に職質を掛けたんですが、逃しはしなかったんですが凄く強情で我々の尋問にも耐えています。その際に職質を掛けた警官二人が毒の霧のようなモノを浴びて昏倒してしまいまして、今もまだ警察病院で倒れたままなのです。尋問のほうは拷問にかけてもいいような状況証拠が揃っていますので、そちらのほうはいいんですが、怪しい毒の霧のようなモノを浴びた二人の状況がよろしくないのでそちらにアイデアをもらおうかと思っていたところなのです。一度、警察病院に来てもらってもいいですか? 馬車は回しますので、入違いになってもいけないので俺が乗って行きます」とヒントが欲しいというような話が得られそのまま電話が切れた。
あの波賀警部が、これだけ焦る要件なのだ何かあると思い私は職員に檄というか注意喚起を行った。
「今から、警察病院に行って来る。麻美も、付いて来てくれ。他のものはいつも通りに作業を続行せよ! 一部の急件は、警察病院に人を走らせろ、それ以外はいつも通りで行け。いいな! この件は厳命とする、先走るなよ我々はブンヤじゃないんだ」といつも以上に注意喚起を飛ばした。
「分かりました。社長がいない間、こなして見せます」と最年長の、秋山さんがいった。
そして続ける「何かあれば、警察病院に鷹津風君を走らせます」とよい答えも聞けた。
大雲でない理由は、気の散らせ方が違うからだ。
目的のことに視野狭窄に陥って事故るか、その他の事件にブンヤのように首を突っ込んでしまう大雲にはこの手の連絡向きではないのだ。
そして警察の馬車が、探偵社の表玄関に付けた。
波賀京志郎警部が降りてくる、確かに髪は少し乱れ気味だ。
急いで来ました、といった様相だった。
一応霊視を、実施する。
一応、本人のようだ。
私の前まで来て、直立不動で敬礼し「ただいま、お迎えに上がりました」といった。
「詳しい話は中で、致します。麻美さんも一緒に来るのですね、どうぞこちらへ」といって馬車の扉を開けてくれる。
麻美の得物は今日、素手と銀の短剣だけだ。
私はいつものヤツを、常に持ち歩いている。
小太刀も、持って来ている。
京志郎警部が最後に乗って、御者に警察病院前に付けてくれといった。
毒とか呪いの解呪担当は本当は私ではなく、美空さんの役なんだがなと思いながら症状を見ようと思ったのであった。
警察病院にはあまり私の顔を知っている医者は居ない、都合普通の伏見大病院や他の外区にある病院や診療所には私の顔を知っているものが居るのだが……。
そんなことを思いつつ考えていると、警察病院について病室まで案内された。
二人とも、同じ病室であるらしい。
そして担当の医者に説明を受けていくが、その途中で私は口を挟んだ。
「私が、直に診る。これでも、医者の免許は持っているのでな」といった。
理由は担当の医者の説明がハッキリしなかったからだ、これでは嘘をついていますといっているようなものだったのだ。
実際に診たほうが早い、そう思ったのだった。
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