第二話 悪化
商家の奥の家
女学院の帰り道に、取り巻きの子の商家の奥の家に見舞いに寄った。
私は、嫌な予感を受けた。
商家に寄った時に商家の奥の家から、猛烈に嫌な予感が漂うのだ。
その子の父親がその子が出て来て、今
と、いうのだ。
私は思わず、聞いてしまった。
「いつ頃から、魘されているのですか?」と。
その問いに、父親は快く応じてくださった。
「昨日の昼頃から、ずっとなんだ。最初は頭が痛いというので、先生を呼んで来て診てもらっているから大丈夫だとは思うが……。すまなかったね、わざわざ来てもらったのに会わせられなくて」といったのだ。
「起きてないなら、仕方がありません。快復を、心よりお祈り申し上げます」と私はいって、友人たちと帰ることにした。
友人たちと帰る際に、尾行が付いたのに気が付いた。
商家のものではない、明らかに怪しい気配をまとっている。
友人たちを巻き込むことはしたくないので、気付かないふりをして通すことにした。
私一人になってからもつけられていることが分かったが、敢えて撒くでもなくそのままの帰り道でねぐらに帰った。
怪しい気配は、帰るとともに消えた。
どこの手のものかよく分らなかったが、あの怪しい気配は人ではないもの
つまり急に調子が悪くなって
邪教にはよくある話だ、だがなぜその子が狙われたのかよく分らなかった。
そして気配は消えてしまっているので、追うこともできなかった。
◇
御霊神宮 みこと
今日は、よくお守りが売れている。
商売繁盛といった札も、よく売れている。
だがその比では無い勢いで、護符に近い性質の御守りが飛ぶように売れるのだ。
何かがおかしい、そう思ったが売れるのに任せて売り切ってしまった。
追加の御守りは無いので、御守りが並んでいた箱は空のままである。
◇
怪しい動きをしているものを探す、それそのものは単純なようで非常に難しい。
特にこの種の観察・監視に慣れていないものの場合は、特に苦痛な時間のようである。
手の空いている部下を連れて、都中の見回りに駆り出した。
そこまではよかったが、そこから先は辛い戦いの始まりであった。
警官がいると目立つものは、居なくなってしまうのだ。
当たり前だが、職質をやるなら警官の服でないと不味い。
そういった、理由だった。
私服なら探しやすいのかもしれない、そう思ったが盟治の世には私服警官などというものは存在しない。
もし存在するとしたら、それは警官を
◇
溜まり場 美空・に組の皆
「……ということで、なぜか御守りが飛ぶように売れたのじゃ」とみことちゃんが話す。
「私のほうは、今日取り巻きの子が体調を崩して女学院に来れなかったから見舞いに行ったんだけど魘されて寝ているということで会えなかったわ。その子ひょっとしたら呪われているのかもしれない、なぜかは分からないけど。それと帰り道に尾行されたんだけれども、追跡者が人ではなかったから友人を巻き込みたくなかったのでここまでつけられてしまったのだけれども。それ以上のことは、しなかったわ」と薫さんがいった。
「今のところ、姫からの指示は?」と吹雪さんに聞かれた。
だが、私は「まだ何も
「そうか、まだ無いか」と吹雪さんは残念そうにいった。
「
それ以上話が進まなかった理由は、一般の商家相手に無理強いできないというのとまだ魘されているという状態だけでは手の打ちようが無いからである。
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