幕間 壱

幕間 夕食

 町長屋 みこと


 今日も一日のお勤めが終わり、長屋に戻ってきたのじゃ。


 麦飯に葉物の味噌汁、瓜の漬物がわらわの夕食じゃ。


 お勤めの帰りに風呂屋に寄るので、体も清潔なのじゃ。


 でも美空は今日風呂屋以降では一緒ではなかったのう、いったいどこに行ったのじゃろうか。


 でもまずは腹ごしらえじゃ。


 米などという高級品は、滅多に食べられんのう、お貴族様とか言うなら話は別じゃが。



 牛鍋屋/くろべ江 美空


 さて、一人牛鍋の時間がやって来た。


 この前、一人でつい来てしまった時に嵌ってしまったのだ。


 端のほうに席を取り、一人牛鍋を開始する。


 風祭のお婆様もよくこうやって、一人牛鍋をするらしい。


 厚手の肉の食感が、じわーっとやってくる、肉は大きく角切りにしたものが使われている。


 これを独り占めできる、この感覚が溜まらないのだ。


 他の店では、牛を薄く切って出しているのであるが、食べ応えは断然くろべ江のほうが上だ。


 牛鍋は、食欲をそそるものなのだ、この量があるから麦飯は付けず、ただひたすら牛の肉を食べるのがいいのだ。



 町長屋 薫


 今日は新鮮な川魚が手に入ったから、麦飯とお刺身と味噌汁と、お酒は飲めないけれども瓜の酒漬物だ。


 これはこれで豪華なのだ。


 最近美空さんは一人牛鍋に嵌っていると聞く、確かに行けなくはないが、夜遅いと目立つ容姿で引っかかってしまう。


 こればかりは致し方がない、残念だがそういうものだ。



 町長屋 紅葉


 アタシの夕食は簡潔だ、とはいっても今日は小魚の塩焼きが入るから、豪華なほうだといえる。


 麦飯と小魚の塩焼きと味噌汁に沢庵だ。


 アタシは麦飯を量食べるから、いつも多めに炊いてあるのだ。


 体を作るのは食と適度な運動! そういうことである。



 町長屋 2棟目 麻美


「うーん、今日のご飯は簡易モノにしよう」と呟いた。


 幸い、水団すいとんを作るにはことかかない。


 材料を刻んで、主食となる団子を練るのだ。


 そのあと一緒に煮て、程よく火が通ったところで完成である。


 慣れてしまえば何とでもなるし、味のバリエーションが多くできるのも、飽きないコツだったりする。



 風祭家邸宅 吹雪


 今日も今日とて白米が食える、重要なことだ。


 オカズも事欠かない、魚の煮つけや、温野菜ものであるからだ、当然沢庵などの漬物も豊富に種類がある。


 人は食から糧を得る、だから食が重要なのだ。


 だが、昔は麦飯や玄米だったことを考えると、食はやはり重要なのかもしれない。


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