第六話 人探し
風祭探偵社 吹雪・
そうして少したつ、といっても一週間くらいであろうか、
最初は珍しくも人探しの依頼だった、但し依頼主は白根医院であり、失踪したのは女医者のうちの一人で上沼冴子というものを探してほしい。
と白根医院の医院長、白根真理が直に持ち込んだのであった。
貴方だからお願いしたい、といわれたのだ、占いで私が信用に足るという気が、出たらしい。
で人着と癖、背格好を教えてもらい、とりあえず暇だった男衆に探しに行かせた。
すれ違いになってはいけないということで、私と麻美さんは残ってどこが今一番危ないかを
昨日までの町の噂や、証言などから、危ない区画を絞り込んで、いったのである。
で待つこと一日、足を棒にして調査を終えて戻った男衆に聞くと南に向かったという情報が得られたのであった。
そして男連れであったという目撃証言も上がって来ていたのであった。
であまり仲が良くなさそうだったという証言も得られており、これは騒動の予感がしたところで、警察も巻き込んだ捜索になりそうだ、という話を電話でしたところ、出来れば警察沙汰にしたくはないといわれたが、相手次第だから官憲に頼む場合もあるといった。
刃物が出ても危険にさらせないからだ、
◇
羅生門付近団子茶屋 薫・紅葉
「なあ、
紅葉がいったあたりを見ると、胡散臭げな風体の男と、着物の似合わない女が押し問答しているところであった。
「確かに、でも面倒事は嫌よ」と紅葉を突き放す。
でもそうしているうちに男が女を突き飛ばした。
紅葉が何もいわずに立った、あーあと思ったが仕方がない、様子を静観していることにした、ただしいつでも格闘できる用意はして。
むんずと男の手を取った「女に対しての態度じゃないんじゃないか?」と紅葉が静かに聞いた。
「うるせえ! ガキは黙ってろ!」といって男は紅葉につかまれているほうの手を振りほどこうとするがビクともしない。
「ガキに何やってんだい?」と、紅葉がいった「てめえ死にてえか!」と、男はいって出刃包丁を抜いた。
私は今のうちにと、女性のほうを助け起こそうとした。
手を取って「大丈夫ですか?」と声をそっとかけた。
襟元に洋装が見えた、女性を男性から離していく。
静かにそして手早く、団小屋の影にいったん退避した。
後ろで怒気をはらんだ、男の声が聞こえるが、徹底的に無視して「怪我大丈夫ですか?」と聞いた。
後ろをチラ見した、紅葉が完全に男の両腕を掴んでいる、あれではもう動けないだろう。
顔を元に戻し、手早く怪我の具合を判断する。
怪我は軽いようだ、多分出刃で脅されていたのだろうと推測できた。
「あちらの子は大丈夫ですか?」と、問われるので「彼女に勝てるものは居ません、軍人でも同じでしょう、それよりも貴方は大丈夫ですか?」と問うた。
◇
羅生門前 紅葉
男が何か叫んでいる、だがここは私の間合いだ。
右手に出刃包丁が光っているため、周囲の観光客や普通の人は引いているはずだし、そろそろ警察が来るはずだ。
抑え込んだままでもいいが、おっとケリを放つとは、男の風上にも置けないな。
引き倒すか、右を中心に背負い投げと行くか、警察が来た、ここだ!
警察の目の前に、背負い投げを打つ、そして出刃包丁を持つ右手を締めあげて、警察に引き渡す。
ここまではいい、「君もきなさい」と、いわれるが「近衛の特殊科だ」と一言いい放つ。
それだけで、警察は追って来なくなった。
さて薫はと、気配を追って裏路地に入っていった。
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