第四話 謝る

 御霊神宮/参道/隔離世内 美空・に組の皆


 私は軽く皆に手を振って、即その場から『天足』で皆のところに移動した。


「速いな、すべか」といいながら満身創痍でこちらを見る。


 向こうに余裕はない。


 まだ婆様も『神符霊縛』の中だ。


「百七十くらいあるな」といいながら吹雪さんはモーゼルC96を抜き切った。


 流石に何か分かるのか、相手が後退する。


 相手の武器は根元からし折れているが、油断は禁物だ。


 私も御神刀を構える。


 薫さんが剣を伸ばした、そして剣にオーラをまとわせる。


 紅葉さんはみことちゃんのガードに残った。


 吹雪さんが声をかけた「もともとそちらの不始末だと聞いている、今なら撃たないでやるがどうだ、降伏しろ!」と。


「くっ、銃か、この馬鹿垂れのせいで、私までなんで巻き込まれにゃならんのだ」と、いいながら婆様を殴ろうとするが、結界に阻まれて、殴ることすらかなわない。


「分かった武装を解く、結界はそのままでいい、こんなところを見られたら開業医として傷がつく」といって彼女は武装を解除した。


「そっちの婆様は?」というと銃口が向いたので全ての術を解き杖も手放した。


「この通りだ、すまなかった。押せば行けるかと踏んだ、我々の負けだ」といって土下座まで押し込めた。


 婆様も同様、銃が向けられると弱いらしい、同じように土下座まで行った。


「これから無茶はしないで貰えませんかね?」と私が問うた。


「分かったよく言い聞かせる、それでも無理だったらシバキ倒していい」と、いう言質も得られたのだった。


「それと同じ件でしょうが、女学院の教師が倒れた件も、治していただけますかね」と薫さんが問うた。


「分かった、任されよう。私の医院で様子を見よう。それでいいか」というので「即実行を願います」と薫さんは返答した。


「わらわ出番なしかのう」とみことちゃんがいった。


「アタシも出番はないな」と紅葉さんもいった。


 私は「そこにいると目立ちますのでこちらへどうぞ」と小道のほうに誘った、そして霊縛に使っていた神符を回収し「みんな武器を収納してくださいね」といいながら私自身も懐に鞘を出して御神刀をおさめていく。


 そしてみんなが、素手に戻ったところで「解きましょうか」といった。


 そして私は『隔離世』を正式に解除した。


 小道に退避していたのでみな参拝の人とは合わずに済んだ。


 吹雪さんは、女医さんと名刺交換をしていた。


 そして元凶のお婆様は、頭にたんこぶをいくつかつくられたらしい。


 女医さんいわく「ネタをばらされたくらいで、狼狽うろたえやがってこの馬鹿もんが!」とのことであった。


 そして私に対して「本当にすまなかった、次からは無茶は言わんようにさせるし、徹底させる」といわれたのであった。


 そしてお婆様は、小言を滾々こんこんと女医さんにいわれながら、帰途に着いたのであった。



 御霊神宮/社務所内 美空・に組の皆


 私は話せるところだけかいつまんで、長に今回の一件を報告した。


 みんなはその証人である。


「皆無事でよかった、隔離世が下りた時、生きた心地がしなかったが、無事ならそれでいいのだ」と長はいった。


「皆私にとっては、子供のようなものだからね」と長が追加した。


 といってお茶を用意させると、皆に配って「少しゆっくりするといい」といってくれたので少し休憩時間がもらえたのであった。



 風祭探偵社 吹雪


「人を雇うか」と私はなんとなく呟いた。


 秋山さんと鷹津風君が震えている、視線の先にはまたボーっと気を飛ばしている大雲がいる。



 風祭探偵社 吹雪・麻美


「少し散らかっているが、ここを片してくれ、席はここを使ってくれて構わない」と空き席を一つ潰したのであった。


 席は丁度私の右前隣りで、秋山さんの目の前だ。


 秋山さんの隣が鷹津風君で、その向かいが大雲だが、今日は偶々大雲は風邪で休んでいる。


 鷹津風君と秋山さんが、一緒に帰って来て絶句した。


「大雲は……」というので「風邪だ」と、答えて「新人を紹介しよう」といった。


斯波しば麻美あさみさんだ、これから経理は彼女に担当してもらう、大雲は外回りだ」と追加した。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る