第四話 売り子

 溜まり場 美空・に組の皆


「お祓いをしても、亡くなったのか重症化していたのかもな、それで祓い切れなかったのかもしれないな」と吹雪さんが状況的に見ていった。


「売り子とは厄介ですね、本体が売りに来てない以上、いくらでもいい逃れができます」と、私はいう。


「そうなのだ、でもそんな簡単に、位置を知らせられるものがあるかどうか?」と、吹雪さんは考え込んだ。


「ありますよ、お金は少し掛かりますが、新聞に載せるのです、それならば売り手にも買い手にも分かります」と私は答えたのである、新聞にはそういう欄があるのだ、新聞をよく読んでいないと分からないが、私は偶々知っていたのだ、そういう欄があるということを。


「そうか! 新聞かそれならば、元手が少なくとも行けるな、いや売り買いする金額を上げていれば、元手なんてあっという間に回収できる」と、吹雪さんがいった。


「よし、それを警部に伝えて来よう」といって吹雪さんが席を外されたのであった。



 溜まり場 美空・に組の皆・京志郎警部


 そして再び戻って来た時には、珍しく、京志郎警部と一緒であった。


 私は新聞を見ながらどこに載っているのかと、という考察をみんなでしている最中であった。


 丁度そういう時に、戻って来られたのであった。


「これじゃない?」と薫さんが指をさした場所には、“本日午の刻九条坊門小路と烏丸小路にて”と書かれていた。


「それでしょうね」と私も答えた。


「どれでしょうか?」と京志郎警部が聞いた。


 それに、「今日の新聞では、ここでしたが」と薫さんが指さした。


「ありがたい、これで売り子を捕捉できるかもしれない」と、京志郎警部がいった。


「丁度良かったようだな」と吹雪さんがいう。


 そしてその日は、お開きとなった。



 それから三日たち、“本日午の刻八条坊門小路と宇多小路にて”というのが、新聞に載りその時刻前に、警察がそのポイントを四ほうから押さえ、担ぎ屋台の男が一品も売ることなく、捕まったのであった。


 そして、そこから共犯者が割れた。


 ただし、共犯者は捕まえられたが、そこから本星ホンボシにはたどりつかなかった。


 共犯者が吐かなかったから、である、だがその共犯者は、さらに三日後に警察の牢の中で、不審死をとげた。


 明らかに、呪いといえるような状況で、である。


 そして新聞には、その刻限と場所と時間を記したものが、載らなくなり馬車の事故は収まったのであった。



 溜まり場 美空・に組の皆


「馬車の事故は減りましたが、元凶が捕まっていませんね」と薫さんがいった。


「ですが、姫からの文はありません」と私がいった。


「相手が人だ、ということの表れなのかもしれないな」と吹雪さんがいった。


「でもよう、悪党だぜ」と紅葉さんはいう。


「確かに悪党じゃが、わらわの力を悪党相手にも使っていい、とは姫から言われておらぬぞ」と、みことちゃんがいった。


「悪党だからって、私たちが裁いていては、警察の仕事がなくなりますよ」と私も追加した、本来私たちは悪党を成敗するために居るわけではなく、妖魔あやかしを倒すために居るのであるからして。


「そうだ、我々は力があるから、何でもできそうだが実際は、妖魔相手にだけ戦うものだ、そこを間違えてはタダの喧嘩屋以下に、成り下がるぞ」と吹雪さんがいって締めた。


 ぐうの音も出ないようで、紅葉さんは沈黙した。


 だが実際は、相手が何をやるかで、私たちまで引っ張りだされかねない、ということであった。


 六回ほどすでに売っている、それで終わりなのかどうか? である。



 その後、売り手がいなくなり、共犯者も失ったそのものは、モノの数カ月で財が尽き、自身で売りに出ようとして、新聞に記事を乗せたところで、通報され警察に捕まったそうである。


 こうして事件そのものは終了した。


 と波賀はが京志郎警部から吹雪さんが聞き出して、事件が終了していることを私たちが知るのである。

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