第四話 売り子
溜まり場 美空・に組の皆
「お祓いをしても、亡くなったのか重症化していたのかもな、それで祓い切れなかったのかもしれないな」と吹雪さんが状況的に見ていった。
「売り子とは厄介ですね、本体が売りに来てない以上、いくらでもいい逃れができます」と、私はいう。
「そうなのだ、でもそんな簡単に、位置を知らせられるものがあるかどうか?」と、吹雪さんは考え込んだ。
「ありますよ、お金は少し掛かりますが、新聞に載せるのです、それならば売り手にも買い手にも分かります」と私は答えたのである、新聞にはそういう欄があるのだ、新聞をよく読んでいないと分からないが、私は偶々知っていたのだ、そういう欄があるということを。
「そうか! 新聞かそれならば、元手が少なくとも行けるな、いや売り買いする金額を上げていれば、元手なんてあっという間に回収できる」と、吹雪さんがいった。
「よし、それを警部に伝えて来よう」といって吹雪さんが席を外されたのであった。
溜まり場 美空・に組の皆・京志郎警部
そして再び戻って来た時には、珍しく、京志郎警部と一緒であった。
私は新聞を見ながらどこに載っているのかと、という考察をみんなでしている最中であった。
丁度そういう時に、戻って来られたのであった。
「これじゃない?」と薫さんが指をさした場所には、“本日午の刻九条坊門小路と烏丸小路にて”と書かれていた。
「それでしょうね」と私も答えた。
「どれでしょうか?」と京志郎警部が聞いた。
それに、「今日の新聞では、ここでしたが」と薫さんが指さした。
「ありがたい、これで売り子を捕捉できるかもしれない」と、京志郎警部がいった。
「丁度良かったようだな」と吹雪さんがいう。
そしてその日は、お開きとなった。
◇
それから三日たち、“本日午の刻八条坊門小路と宇多小路にて”というのが、新聞に載りその時刻前に、警察がそのポイントを四ほうから押さえ、担ぎ屋台の男が一品も売ることなく、捕まったのであった。
そして、そこから共犯者が割れた。
ただし、共犯者は捕まえられたが、そこから
共犯者が吐かなかったから、である、だがその共犯者は、さらに三日後に警察の牢の中で、不審死をとげた。
明らかに、呪いといえるような状況で、である。
そして新聞には、その刻限と場所と時間を記したものが、載らなくなり馬車の事故は収まったのであった。
◇
溜まり場 美空・に組の皆
「馬車の事故は減りましたが、元凶が捕まっていませんね」と薫さんがいった。
「ですが、姫からの文はありません」と私がいった。
「相手が人だ、ということの表れなのかもしれないな」と吹雪さんがいった。
「でもよう、悪党だぜ」と紅葉さんはいう。
「確かに悪党じゃが、わらわの力を悪党相手にも使っていい、とは姫から言われておらぬぞ」と、みことちゃんがいった。
「悪党だからって、私たちが裁いていては、警察の仕事がなくなりますよ」と私も追加した、本来私たちは悪党を成敗するために居るわけではなく、
「そうだ、我々は力があるから、何でもできそうだが実際は、妖魔相手にだけ戦うものだ、そこを間違えてはタダの喧嘩屋以下に、成り下がるぞ」と吹雪さんがいって締めた。
ぐうの音も出ないようで、紅葉さんは沈黙した。
だが実際は、相手が何をやるかで、私たちまで引っ張りだされかねない、ということであった。
六回ほどすでに売っている、それで終わりなのかどうか? である。
◇
その後、売り手がいなくなり、共犯者も失ったそのものは、モノの数カ月で財が尽き、自身で売りに出ようとして、新聞に記事を乗せたところで、通報され警察に捕まったそうである。
こうして事件そのものは終了した。
と
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