第二話 会合

 会合場所 吹雪


 それでもなおしつこく、り組が残るのである、根拠もない、実力もないので、実績を作らせろと五月蠅いのだ。


 私は辟易しながら聞いた「誰か、水の系譜を使えるのか? 他に対抗策があるのか?」と聞いたのだった。


「するとそんなものは無い、刀で十分だ!」と豪語したので、「大金槌で壊れなかった一品なんだが? それで刀か?」と聞いてやった。


 すると恨みがましい目で見るのだ、「お前らの実力では、そんなものなのだろうから、術の一つでも会得してから、一言をいえ!」と確実に潰しておく。


 り組からは、それ以上何も出て来なかった。


 すると、こんどは、へ組と、ち組から、我々にも水を操れるものはいない、し術者もいないから、に組で担当してほしい。


 というお願いが来たのである。


「それで構わないか?」と、他の九組に聞いて、同意を得ることにする。


「皆一様に、それで構わない」といい、「場所は、警察の管理する保管所になる」と、ぬ組の組長から説明を得られた。



 御霊神宮 美空


 私は社務所に向かう途中の参道に居た、夕刻も近いので人はまばらだ。


 うわさ話が聞こえて来た、けがれではないがあまりよろしくない話だ、都を騒がす不審火の噂だった。


 だがじっくりと聞く内容ではないし、私にはまだお役目が残っているので社務所へ向かう。


 そうして、その場から離れた。


 少したって社務所が見えた時、私の背後で羽ばたく音が聞こえた、何事かと思い振り向くと、いつぞや飛んできた真っ白い鳩が、左足に通信筒を括り付け飛んできていた。


 そして、私の左肩目掛け降り立つ。


 どうやら彼か彼女かの、定位置になってしまったようだ。


 鳩の胸を突くと、“くるっぽー”といいながら左側を見せて来た。


 通信筒からふみを取り出し眺めた、急ぎではないが急に該当する案件だ。


 神社の長にことを話すため、社務所に急ぐ。


 そして伝えると、みことちゃんにも伝えて欲しい旨をいって、社務所をでて溜まり場に向かった。



 溜まり場 美空・吹雪


 溜まり場に行くと、吹雪さんが難しそうな顔で待っていた。


 左肩の鳩は相変わらず、私の左肩に乗ったまま返信を寄こせ、といわんばかりに堂々としている。


 つまり鳩を乗せたまま、戦わなくてはならないらしい、文を書くのは全て終わった後であろう。


 溜まり場の時計が、十六時を指していた。


 まず、吹雪さんに通信筒の中にあった文を渡した。


「そちらにも話はいったか、細かい話は皆集まってからするが、とりあえずその大壺の件だ」と吹雪さんはいった。


「火炎の壺ですから、みことちゃんは必須ですね」と私は答えた。


 炎の専門家だからである。



 溜まり場 美空・に組の皆


 十七時半になった、いつも通りみんな揃った。


 吹雪さんは話始めた。


 これまでの経緯と詳しい内容である。


「わらわの『防炎』が必要なのじゃな」とみことちゃんがいった。


「そうだ、最重要項目だ!」と吹雪さんが答えた。


 そして警察関係ということで、波賀はが京志郎きょうしろう警部が十八時半には迎えに来るらしい。


 外で馬車の音がした。



 警察の保管所 美空・に組の皆・京志郎警部


「着きました、こちらです」と京志郎警部が案内してくれた。


 大壺の緋色が夕日に映えて心なしか、すでに燃えているかのようだった。


「かかろうか、頼む」と、吹雪さんにいわれた。


 私は軽く舞い『隔離世』を、一ブロックに限定して展開した。


 次にみことちゃんが、みんなと警部と鳩にも『防炎』をかけた。


 みんなで大壺に近い位置に近づく、五メートルほどというところか。


 前衛・後衛に分かれ、前衛が三メートルほどに踏み込んだ時だった、壺から炎が上がり始めた。


「これが、火炎の壺……」と、京志郎警部から声が出た。


 後衛に居る京志郎警部も、銃を抜いた。


 私は大壺に先制の一撃を加えるべく、緋色の大壺を対象にして『神鳴』を落とした。

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