第二話 会合
会合場所 吹雪
それでもなおしつこく、り組が残るのである、根拠もない、実力もないので、実績を作らせろと五月蠅いのだ。
私は辟易しながら聞いた「誰か、水の系譜を使えるのか? 他に対抗策があるのか?」と聞いたのだった。
「するとそんなものは無い、刀で十分だ!」と豪語したので、「大金槌で壊れなかった一品なんだが? それで刀か?」と聞いてやった。
すると恨みがましい目で見るのだ、「お前らの実力では、そんなものなのだろうから、術の一つでも会得してから、一言をいえ!」と確実に潰しておく。
り組からは、それ以上何も出て来なかった。
すると、こんどは、へ組と、ち組から、我々にも水を操れるものはいない、し術者もいないから、に組で担当してほしい。
というお願いが来たのである。
「それで構わないか?」と、他の九組に聞いて、同意を得ることにする。
「皆一様に、それで構わない」といい、「場所は、警察の管理する保管所になる」と、ぬ組の組長から説明を得られた。
◇
御霊神宮 美空
私は社務所に向かう途中の参道に居た、夕刻も近いので人はまばらだ。
だがじっくりと聞く内容ではないし、私にはまだお役目が残っているので社務所へ向かう。
そうして、その場から離れた。
少したって社務所が見えた時、私の背後で羽ばたく音が聞こえた、何事かと思い振り向くと、いつぞや飛んできた真っ白い鳩が、左足に通信筒を括り付け飛んできていた。
そして、私の左肩目掛け降り立つ。
どうやら彼か彼女かの、定位置になってしまったようだ。
鳩の胸を突くと、“くるっぽー”といいながら左側を見せて来た。
通信筒から
神社の長にことを話すため、社務所に急ぐ。
そして伝えると、みことちゃんにも伝えて欲しい旨をいって、社務所をでて溜まり場に向かった。
◇
溜まり場 美空・吹雪
溜まり場に行くと、吹雪さんが難しそうな顔で待っていた。
左肩の鳩は相変わらず、私の左肩に乗ったまま返信を寄こせ、といわんばかりに堂々としている。
つまり鳩を乗せたまま、戦わなくてはならないらしい、文を書くのは全て終わった後であろう。
溜まり場の時計が、十六時を指していた。
まず、吹雪さんに通信筒の中にあった文を渡した。
「そちらにも話はいったか、細かい話は皆集まってからするが、とりあえずその大壺の件だ」と吹雪さんはいった。
「火炎の壺ですから、みことちゃんは必須ですね」と私は答えた。
炎の専門家だからである。
◇
溜まり場 美空・に組の皆
十七時半になった、いつも通りみんな揃った。
吹雪さんは話始めた。
これまでの経緯と詳しい内容である。
「わらわの『防炎』が必要なのじゃな」とみことちゃんがいった。
「そうだ、最重要項目だ!」と吹雪さんが答えた。
そして警察関係ということで、
外で馬車の音がした。
◇
警察の保管所 美空・に組の皆・京志郎警部
「着きました、こちらです」と京志郎警部が案内してくれた。
大壺の緋色が夕日に映えて心なしか、すでに燃えているかのようだった。
「かかろうか、頼む」と、吹雪さんにいわれた。
私は軽く舞い『隔離世』を、一ブロックに限定して展開した。
次にみことちゃんが、みんなと警部と鳩にも『防炎』をかけた。
みんなで大壺に近い位置に近づく、五メートルほどというところか。
前衛・後衛に分かれ、前衛が三メートルほどに踏み込んだ時だった、壺から炎が上がり始めた。
「これが、火炎の壺……」と、京志郎警部から声が出た。
後衛に居る京志郎警部も、銃を抜いた。
私は大壺に先制の一撃を加えるべく、緋色の大壺を対象にして『神鳴』を落とした。
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