第九章 火炎の壷

第一話 緋色の大壺

 とあるお屋敷


 ある大陸から来た商人が、お屋敷に入り込みモノを売っていた。


「ご主人、この緋色の大壷は名品ですよ、百円、といいたいところですが八十円、まだ高い? 私とあなたの付き合いですからね、六十円まで負けましょう。え、もう一声? 仕方ないですね五十円、これ以上は下がりませんよ、お買い上げ、ありがとうございます」


「次はこの姿見……」


 といいながら屋敷の主人は数十点の買い物をしたのである。


 そしてその夜間に出火し屋敷を丸ごと燃し尽くしたのであった、離れや蔵も被害にあい、全ての財を、一品を除く全てを失ったのである。


 人の命が失われていないだけマシであった。


 その主人はやむを得ずその緋色の大壺を七十円で売ったのである。


 買いたたかれてもなお、その金額であった。



 といった具合に、売っては炎吹き上げ、というのがくり返されていったのだ、当然噂は広まりその壺は最後に買った古物商を最後に売れなくなった。


 だがその古物商も蔵から出火し、文字通りすべてを焼き尽くしたのであった。


 そして実調を警察が行って、その緋色の大壺だけが、無傷で発見されたのである。


 警察が管理保管したが、保管先から出火して、保管先が全焼した。


 幸い保管先は、燃え広がってもいいような、場所に設定したため。


 一つが燃えただけで済んだ、そして失火先から、その緋色の大壺だけが、無傷で焼け跡から見つかったのだ。


 そして一つの結論を見た、この大壺そのものが出火元ではないかと、どの家でも出火元とされる部屋や場所には、必ずこの大壺があったこと、だが焼けたにしては、精々煤が付いているだけで、今までこれが燃えたとは思えないということで、無視されて来た、精々焼けても割れないんじゃないか、という程度であった。


 だが警察のそれも保管所で、燃えたことで初めてコレではないか、と思われたのである。


 だが、ちょっと金槌で叩いたくらいでは割れず、欠けもせず、音が響いただけであった。


「鋼で出来とるんかね?」とは金槌を動員させた管理官であった。


 だがそのまま放置するわけにいかないので、燃えたところを片付けて、その緋色の大壺だけを置いて、四十六時中監視を一週間実行したが、何も起きなかった。


 そして、これは我々の手には負えない、と決めたのであった。


 そして放置されたが、今度は泥棒が忍び込み、その泥棒が運ぼうとしたとたんに燃え広がり人が、泥棒が犠牲になった。


 骨になるまで焼き尽くされたのである。


 金具は溶け、飴のように曲がり、とても酷い状態だった。


 監視付きで、管理されることになったが、今度は警官が襲われ、監視に付いた全員が焼け死んだのだ。


 五人で監視したが、全員焼き尽くされて死んだのだった。


 警察は消防に助けを求めた、だが結果は同じであった。


 国に助けを求め、内閣府が動き、検非違使に回ってきたのである。


 だがどこが担当するのかで少し揉めたのだ、丁度組と組の担当エリアの四つ重なるところであったからだ。



 会合場所 吹雪


 組長同士で話すことになったので、出て行くと、関係のない組も出て来ていた。


 今件に関係があるのは、に組、へ組、ち組、り組の四組だけだったはずだ。


 だが、い組をのぞく、十二組出て来ていた、関係ない組は今件ではなく、いさかいが起きては困る、ということで呼ばれた予備勢力だった。


 どこが担当するのか、といった際に新興で出来た、り組が手を上げた、十人組である上に、新興であるのでまだ実力を見せていない。


 という理由であったが、他の九組に実績が無いから却下する。


 と一撃目で否定された。


 不服として再度、り組が、というので私は「何が根拠だ? 何か根拠で、提示できるものはあるか?」と聞いた。


 すると、我々が一番新しい、装備も新品だ、と訳の分からないことをぬかすので、他の組からコンコンとお説教をもらったのである。


 そして、「新しくて強いなら、やって見ろ。お前らをまた、作り直さなければいけない者の、苦労はどうするのか?」といわれたのである。


「それは困る、また新しく人員を簡単にはそう都合できん」と私はいって止めた。


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