第四話 瓦解

 空き地 みこと/に組の皆


 美空が攻撃を切り替えた、餓者髑髏の額にキレ込みを入れ中が見えた。


 本来は空のはずじゃ、伝承ではそうじゃ。


 美空が再び『怒雷』を放った。 


 じゃが、『怒雷』が曲がって餓者髑髏の頭部に集約されたのじゃ。


 餓者髑髏がガタガタと震え、ガチガチという激しい音がしたのじゃ。


 美空が『神符霊縛』を手繰り寄せ、引き締めたようじゃ振動が収まったのじゃ。


 今度は『怒雷』を光の球にしおったのじゃ、しかも『怒雷』の放つ光が大きくなっとるのじゃ。


 餓者髑髏の瞳が光っていたのじゃが、消し飛んだのじゃ。


 餓者髑髏は左腕を振り上げようとしたのじゃ、じゃが、紅葉が飛び上がってその左手に拳を叩きつけたのじゃ。


 それで餓者髑髏の左手は、砕けたのじゃ。



 空き地 美空/に組の皆


 私は光の球となっている『怒雷』を、破裂させることにした。


 脳と思しきものの中を回転している、それを破裂させるとどうなるか。


 試して見よう、と思う。


 球体にしている『怒雷』に精神力を叩き込んで、どんどん威力を上げていく。


 しかも上圧にしているので、上面に擦れていてそこから火花が散っている。


 一気に私は『怒雷』を、爆ぜさせた。


 餓者髑髏の頭蓋骨がバラッバラに砕け散る、のと同時に『怒雷』が散って飛んだ。


 さしもの餓者髑髏も何かが詰まっていた、部分を爆発させられては堪ったものでは無く力が抜けたようだった。


 今度は餓者髑髏に中心をおいて『神鳴』を、最大威力でぶっ放した。


 物質的に存在していた、体の部分がバラバラと瓦解していく。


 砕けた骨だけになり、黒い霞となって消えゆく餓者髑髏。


 どうやら、これで終わりのようだ『黄泉透し』を実施するももう何も存在していない。



 空き地 薫/に組の皆


 餓者髑髏の頭の切れ目、の中のほうから火花が飛び散り始めた。


 何かやるのかと思い、火力調節していた火界呪の炎を一気に全体を燃すように解放した。


 次の瞬間、餓者髑髏の頭蓋がバラバラに吹き飛んで爆発した。


 美空さんの、術だろう。


 さらに追い打ちで、別の術が見舞われる。


 餓者髑髏の残った部分が、瓦解していく。


 私はさらなる追い打ちで、その砕けた骨を粉にすべく焼き尽くした。


 黒い霞になり消え逝ったのを確認して、私は術を解いた。


 どっと疲れが来るが、立つのを維持する。


 立っていなくては、皆を心配させてしまう。



 空き地 吹雪/に組の皆


 餓者髑髏の頭蓋が爆発して雷が飛び散る、その後さらに上空から極太の雷が降って来て残りの部分に打撃を加えた。


 骨が砕け骨の山になる餓者髑髏だったもの、さらに紅い炎が燃し尽くし黒い霞になり散った。


 今回消費した弾は約五十発、ギリギリ赤字になるかどうかといったところだ。


 私は、美空さんに聞いた。


「もう終わりかな?」とそれに、美空さんが「もう大丈夫です、綺麗に消えました」と笑顔で答えてくれる。


「撤収!」と声をかけた。


 美空さんが軽く舞って『隔離世』を閉じた。


 周囲は静かだ、喧騒というほどのものではないが静寂が戻ってきた。


 そしてみなで歩いて帰る、段になって薫が歩けないのが発覚して私か紅葉かが背負うということで紅葉が背負うということでケリがつき。


 無事に皆、溜まり場まで戻ることはできたのである。



 溜まり場 美空/に組の皆〔数日後〕


 姫の使いがやってきた、給与と賞与を持って。


 給与はいつも通りだったが、賞与が結構な額であった。


 私たち組員は給与が八円(一円金貨八枚)、賞与が四十円(二十円金貨二枚)であった。


 なぜ賞与が出ることになったのか聞くと、使いの方が答えてくれた。


 今回は【り組】が全滅したので賞与をかけていた、ということであった。


 吹雪さんは複雑そうであった、そして聞いたのだ「【り組】の領域は、どうするのかな? 新たに人員を配するのか? 【と組】、【へ組】の領域を増やすのかそれとも、【ち組】の領域を増やすのかな?」と。


 使いの方が答えた「私はそこまで、詳しいことは聞いておりません。もしかするとしたら、私見ですが新たな人員を補充するのではないでしょうか」と答えられたのであった。


「そうか聞いて無いのか、すまなかった。また会議でも、開くのかと思っていたものだから」と吹雪さんが答えて、この話題は終了となった。


 そしてみんなに全て配り終え革鞄を閉じると、一礼して使いの人が去って行った。


「まあ今日は特段何かということはない、諸君牛鍋に行くから着替えて来なさい。」といわれ、また私服に着替え吹雪さんの後に付き牛鍋屋まで行って食べるのであった。

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