第二話 夜

 溜まり場 美空/に組の皆


 基本的には新聞記事と、噂の精査だった。


「私は、妖魔あやかしのせい、だと思いますが」といった。


「人斬りではない、と思うのかい?」と吹雪さんに聞かれる。


 もっともだ、とも思う。


「勘のようなものですが、恐ろしいものが出ている。ような気が、します。夜は、気を付けたほうがよろしいかと」と答えた。


「『ご神託』みたいなものかな?」といわれるが、私は「勘です」とはっきりといった。


「美空の勘は、優れておる。特にこういう時の勘は、外した事が無いのじゃ」と、みことちゃんがいった。



 【ほ組】領域 賢吾/五級四人


 そして夜が来た、見回りを開始した。


 たった二人では返り討ちに合う、可能性もかんがみて五人で。


 人っ子一人居ない、そんな夜だった。


 だが誰も出ない、何も出ないで終わった。


 人斬りも、出なかった。


 【ほ組】は領域の端から端まで回ったが、何も出なかった。



 【り組】領域 り組十人


 【り組】は十人組である、強さは中の下といったところでいうほど強くはない。


 だが、賢明さはあった。


 遭遇戦闘をやらかしたのだ、二級一人、三級三人、四級六人で挑んだが運が無かった。


 大路で遭遇戦闘をやらかし、派手にやったが一人また一人と潰されて食われていき全滅したのであった。


 そのモノは、そのまま明け方まで彷徨うと朝霞の中に消えていった。



 風祭探偵社 吹雪


「今度は何人か不明か、厄介なことに、ならなきゃいいのだが」と、私はいって新聞を置いた。


「またですか、多いですね。被害者が、依頼人でないといいんですが」と秋山さんがいう。


 確かにそうなのだ、昨日起きた最初の事件では一家全滅して依頼そのものが無くなってしまったのであった。


 そうそうあることではないが、運の悪い時は重なるものなのだ。


 それを、危惧しているのである。



 御霊神宮/社務所内 美空


 私はおさといつもの会話をしていた。


 長が新聞を見ながらいった「またか」と。


「また? ですか」と聞いた。


「穢れだからどうかと思うが、また起きたらしい」と長が隠語を踏んだのだ。


「続きますね」と私は、いうに留めた。


 そして、私は外に出た。



 鳳高等女学院 薫


 今日も今日とて、噂好きが噂をしている。


 相変わらず、人が死んでいるというのに無責任な奴らだ。


 当事者にならないと、気付かないのだろう。


 だが二日連続で人斬りか……いや美空さんは妖魔あやかしだといっていた。


 まさか本当に、妖魔案件? だとしたらかなり不味い、被害者が多すぎる。


 仮に妖魔だとして、どんな奴だ? 夜に動いて、多数を殺害するモノ?


 一人、いや一匹じゃないのか? 情報が少なすぎて、上手く考え付かないな。


 今日たまり場に行って、話し合ってみようそう思った。



 近衛高等女学院 紅葉


「てめえらいい加減にしろ」といいながら、どつき崩す。


「相変わらず、噂を振りまくような真似しやがって潰す!」といって三人しばき上げた。



 御霊神宮/お札所 みこと


 今日はよく、お守りが出るのう。


 まあ売れるのはいいんじゃが、と思う。


 それで、アレは防げぬだろうなと思いつつ。


 多分夜を避けないと、いかんのじゃろうなと思ったわけじゃが……。



 御霊神宮/参道 美空


 私が参道を歩いていると、姫の使いがやって来た。


 そして文を渡される。


 そして、一礼すると社務所のほうに向かった。


 私は溜まり場に向かうべく、急ぎ向った。



 溜まり場 美空/吹雪・みこと


 やはり、私が最初のようだ。


 いつも通り、お婆様にお願いして吹雪さんに伝えてもらう。


 吹雪さんが来た、いつも通りまず開けていない文を渡した。


 吹雪さんが読んでいる間に、みことちゃんが来た。


 吹雪さんの表情は険しい、難解なことが書かれているか? または戦力的に不味いのであろう。


「不味いな」と吹雪さんがつぶやいて、私に文を渡した。


 私も、内容を読みだした。


 確かにかなり不味い、妖魔ではあるが大物だ。


 餓者髑髏だった。


 近接組二人が不味い、特に紅葉さんは回避するより受けて立ち向かおうとするからだ。


 上手くいけばいいがそうでなければ、握り潰されたら終わりだ。


 場所まで書いてある、人気のない空き地が最初か。


 そこで仕留められなかったら、また被害が出る。


 『神符霊縛』で包んでからが勝負か、「二人がかりで、相手を束縛できればあるいは……」と私はいった。

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