第八章 餓者髑髏

第一話 都の噂

 とある山中


 日が暮れて、仕方なく帰る。


 帰り道、男は塚のようなものをぶち壊してしまう。


 というかムシャクシャしていて、ついやったのだ。


 男はその夜、帰らなかった。



 市街


 その夜は、普通の夜と違った。


 誰も街路を歩いておらず、しんと静まり返っていた。


 その中を、ガチガチという大きな音と共に、彷徨いでる大きなモノがいた。


 運悪く、警察官二人が遭遇した。


 その瞬間、その山のようなモノは警察官を襲って、握り潰し食った。


 もう一人を食うまでタイムラグが出て、叫ばれた。


 だが、むしろ好都合とばかりに出て来たものを次から次に襲って食っていった。



 被害者は、十五名出た。


 内、警察官二名である。



 警察官が二名被害にあったということもあり、都警察は大規模な殺人として扱った。


 だが、犯人を導き出せなかった。


 凶器が出ないどころか、殺害方法すら不明だったのだ。


 目撃者が、出なかったというのもあった。


 現場は【ほ組】の担当、であった。


 だが都の噂として、瞬く間に広まったのであった。


 【ほ組】は、前回の大失態の件で人員補充させてもらえなかった。


 人員も半数おらず、五人組となっていた。


 運よく二級の高階たかしな賢吾けんごは生き残ったが、右目を潰されていた。


 隻眼となったのである、そして大失態をしたことを問い詰められ大分参っていた。


 しかも自身の目の前で、仲間が人を女中を斬ったのだ。


 それは、確実に人だった。


 そのことも、止められなかった責務を負わされていた。


 斬った奴は【ほ組】の三級のヤツで、三級のヤツ三人と四級の腕の立つ奴二人全員が討死した。


 残ったのは賢吾と、五級のもの四人だけだった。


 賢吾は明らかに不足な腕として残した五級のもの、四人と話し合っていた。


 今は明らかな実力不足、といわれても仕方なかった。


 事実だと受け入れざるを、得なかった。


 だが起死回生で、この一件を片付ければ勇名は戻ると思われたが相手が想像つかなかった。



 御霊神宮/社務所前 美空


 私は噂とその出所について、長と話していた。


「良くない噂がありますね」と私はいう、長がそれに答える。


「尋常ではない、人だとは思えないが。人だとしたら、人斬りではないだろうか」と見解を述べてくれる。


「新聞では何も残ってなかった、とありましたが」と私は気になったことをいった。


「都警察が、すべて引き上げたのでは? その後を見たのではないかな?」とおっしゃった。


 そういうこともあるかな、程度には思えた。



 鳳高等女学院 薫


 私は教室での、嫌な噂に辟易していた。


 自分の噂では無いから、止めようもないが明らかに殺人事件の噂であり、未解決事件だと騒ぐ者がいたのだ。


 女学生らしからぬ物言いで、はやし立てる様は記者ブンヤのようで見ていて気分を害した。



 風祭探偵社 吹雪


 鷹津風たかつかぜが帰ってきた「所長、ダメですね。一家丸ごとです」といった。


「そうか、依頼は崩れてしまったな」と私は答えた。


 これで崩れた依頼は、初となるが誰も助からなかった、というのは初めてである。


 どんな奴なのか興味はあったが、人斬りに興味はない。



 御霊神宮/お札所 みこと


 わらわは、お札が売れ行くさまを、休憩しながら眺めていた。


 いつもの休憩じゃ、気の向くままに休憩というヤツじゃ。


 美空も来ぬし、鬼の居ぬ間になんとやらじゃ。


 じゃが、今度の事件は【ほ組】の担当する領域よな。


 あヤツらに担当される方も、たまったものでは無いのじゃがな。


 と一人心地たあと、休憩室に向かったのである。


 当然、社務所の前に笑顔の美空がいて入るには入れず。


 元に戻ろうとしたところを、見つかって雷が落ちたわけじゃが。



 近衛高等女学院 紅葉


 アタシは噂をしている奴らを潰していた、最も不味いのは教師陣の耳に入ることである。


 仕事を増やされても、困るのだ。


 勉学を余分に積まれて苦しむのは、そいつらも同じなのだが懲りないのか繰り返すのである。


 もはやいっても無駄なので、見つけ次第潰すことにしているのである。

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